イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

デジタル環境に乏しい演歌歌謡曲、テレビ番組も少ない現状でどう打開するのか

Official髭男dismが今日リリースするシングルCD「I LOVE…」は、ドラマ『恋はつづくよどこまでも』(TBS 火曜22時)の主題歌に起用されデジタル先行解禁。今日発表の2月17日付ビルボードジャパンソングスチャートを制する可能性も出ています。

理由として、2月7日金曜に『ミュージックステーション』(テレビ朝日 金曜21時)に出演したことは間違いなく大きいと思われます。ダウンロードの伸びが見られたことはチャートをチェックする方がSNSで指摘していましたが、さらに。

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上記は「I LOVE…」のSpotifyデイリーチャートの推移。()内は再生回数、その左は順位を指します(リンク先はこちら)。ストリーミング指標を構成するサブスクリプションサービスのひとつ、Spotifyのデイリーチャートは土日に伸びる傾向にあるのですが、その伸びが大きくなっているのは番組効果と言えるでしょう。

 

ミュージックステーション』や『NHK紅白歌合戦』といったテレビ番組でのパフォーマンスがチャート上昇に影響するのは、チャートを追いかけるとよく解ります。ならばそのようなテレビ番組が増えるべきというのが歌手やレコード会社の声だと思うのですが、いわゆるゴールデンタイムやプライムタイムにおける音楽レギュラー番組はわずか。まして、演歌や歌謡曲を中心に取り扱う『うたコン』(NHK総合 火曜19時57分)の休止回の多さにはやきもきする音楽関係者が多いはずです。

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昨日までの『うたコン』放送回数はわずか3回。1月21日は番組開始からの総集編となり、翌週から通常モードに戻るも放送からほぼ1ヶ月が経過した『NHK紅白歌合戦』の振り返りに時間が割かれています。さらに昨日2月11日は祝日だったためかバラエティ番組に差し替えられています。

この『うたコン』は地上波ゴールデンタイムで演歌歌謡曲の新曲が披露される貴重な番組ですが、今年リリースされた新曲で披露されたのは三山ひろし「北のおんな町」、椎名佐千子「丹後なみだ駅」(いずれも1月8日発売)、氷川きよし「母」(2月4日発売)のみ。「母」以外はオリコン週間演歌・歌謡シングルランキング(→こちら)でトップ3入りを果たし、「母」は今日発表の最新ランキングで高位置に登場することが期待されます。が、「母」こそ発売前日(いわゆるフラゲ日)にタイミングよくパフォーマンス出来た一方、「北のおんな町」「丹後なみだ駅」は発売から3週間を待たないと披露出来ず、まして今年発売されたシングルが同ランキングでトップ3入りを果たした曲のうち一条貫太「北海の篝火」(1月20日付 3位)、中澤卓也「北のたずね人」(1月27日付1位)、真田ナオキ「恵比寿」(2月3日付 1位)、斬波「言羽」(同日付 2位)、丘みどり「五島恋椿」「白山雪舞い」(ダブルAサイド 2月10日付 1位)、川上大輔「永遠に覚めない夢」(同日付 2位)はすべて『うたコン』で披露されていない状況であり、これではとても今の演歌歌謡曲を押さえた番組とは呼べないのではないかというのが私見です。しかも丘みどりさんは2月4日放送回に出演していながら新曲を披露出来ないというのはあまりにも無礼ではないでしょうか。

 

以前、演歌歌謡曲のデジタル化は必要だという提案を行いましたが、それが厳しいならば既存メディアでの露出は必須とも書きました。

実は『ごごウタ』も先週ようやく新年1回目の放送となりました。”新年1回目の放送”という言葉が2月にならないと用いられないこと自体レギュラー番組としておかしいと思うのですが。しかも今週放送回が国会中継に差し替えられ同日深夜に放送が移行する可能性があります。

 

番組が少ない、放送回数が少ない、放送されたとしても演歌歌謡曲の新曲が披露出来ない、そしてデジタル環境に乏しい…この状況で演歌歌謡曲は新曲をどうやってヒットに導いていくのでしょう。メディアと歌手やレコード会社が共通の危機意識を持ち、話し合う場を設ける必要があると考えます。