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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

Official髭男dism「I LOVE...」のロングヒットを支えるドラマ『恋つづ』人気…3月9日付ビルボードジャパンソングスチャートをチェック

毎週木曜は、前日発表されたビルボードジャパン各種チャートの注目点をソングスチャート中心に紹介します。

 

2月24日~3月1日を集計期間とする3月9日付ビルボードジャパンソングスチャート。前週首位の日向坂46「ソンナコトナイヨ」は7位へダウン、新たな1位はHey! Say! JUMP「I am」でした。

まずは前週に続くチャート更新時の乱れ問題について。厳しい意見を述べるならば、このままでは信頼を自ら揺らがせるものだと強く危惧します。前週改善案を提案したので再掲、ビルボードジャパンの対策検討を求めます。

 

話をチャートに戻すと、今週はHey! Say! JUMP「I am」がシングルCDセールス指標加算初週に伴い頂点に立ちました。が、前作「ファンファーレ」が昨年9月2日付で首位を獲得したときに比べ、ポイントを4000近く落としているのが気掛かりです(昨年度末にチャートポリシーが変更されたため単純比較は出来ませんが)。またチャート構成比の9割近くを1指標で占めており、次週の急落は必至と見られます。他方、前週シングルCDセールス指標初加算に伴い首位を獲得した日向坂46「ソンナコトナイヨ」は7位となり、デビュー曲以降4曲連続でCD関連指標初加算およびその翌週と2週連続でトップ10入り。ただし、ポイント前週比は16.9%で他の坂道グループの水準(20~25%)を下回っておりこちらも気掛かりです。 

そんな中、Official髭男dism「I LOVE...」が前週に引き続き2位をキープしています。

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デジタル指標群が初加算された1月27日付の6位以来、7週連続のトップ10入り。また4週連続で2位以内をキープしているこの曲ですが、注目すべきはポイントの高さとその推移。シングルCDセールス指標が初加算された2月24日付で14337ポイントを記録した後、3月2日付では13009ポイント(前週比90.7%)→3月9日付では12894ポイント(同99.1%)と高水準をキープしているのです。シングルCDセールス指標に長けた曲がトップを獲得→急落、という状況を繰り返す中でのこの水準は極めて異例。このままいけば、米津玄師「Lemon」が成し遂げた8週連続ポイント5桁(2018年2月26日付~4月16日付)という記録に追いつき、追い越せるかもしれません*1。既にシングルCDセールス指標加算前からロングヒットの可能性を秘めていたこの曲、その可能性を示唆した際に記したロングヒットの条件(下記ブログエントリー参照)と今週のチャート構成比とを比較すれば、ストリーミング指標の割合が大きくないとはいえども「I LOVE...」は間違いなくそのフェーズに入ったと言えます。

そして「I LOVE...」はさらなるロングヒットの可能性を秘めています。その理由は主題歌に起用されたドラマの大ヒット。

 

上白石萌音さん、佐藤健さん主演のドラマ『恋はつづくよどこまでも』(TBS 火曜22時)は今クールの連続ドラマで高い視聴率を誇っています。ビデオリサーチ社調べの関東地区における視聴率は3日放送の第8話で最高視聴率を更新。

これまでの最高視聴率だった第7話を上回っており上昇傾向が見て取れます。また第6話については1週間以内に録画して観た方の視聴率(タイムシフト視聴率)が全番組でトップを獲得(ビデオリサーチ社における2月17~23日のタイムシフト視聴率および総合視聴率データはこちら)。録画視聴はドラマに有利ではありますが、その中でもトップを獲るというのは快挙と言えます。さらには。

第7話のネットでの無料見逃し配信は3サービスで合計283万回となり、同局のドラマでは『逃げるは恥だが役に立つ』(2016)の最終回を超える同局史上最高の再生回数を記録しています。

リアルタイム視聴率は地上波全体的に低下傾向ゆえ、第8話までのリアルタイム平均視聴率10.7%、10%割れ2回という記録は一見低いと思うかもしれませんが、タイムシフトおよび総合視聴率、および無料見逃し配信の再生回数を踏まえればドラマの人気は明らか。そのドラマの余韻を楽しむ方の多さがストリーミング、動画再生等接触指標群の上昇に寄与していると言えます。

そして、SNSの盛り上がりも見逃せません。

(勝手ながら引用させていただきました。問題があれば削除いたします)。

今回のブログエントリー記載のきっかけとなったひとつが、アララによる上記のつぶやき。しかも今朝の段階ではフォロワー数が32万人と4万も増加しているのです。

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今クールのドラマでは『テセウスの船』(TBS 日曜21時)および『トップナイフ』(日本テレビ 土曜22時)が『恋はつづくよどこまでも』と並びリアルタイム平均視聴率10%超えを果たしているのですが、SNSとなるとその差は歴然。また公式Instagramのフォロワーも現段階で72万を超えており、これは昨年話題となったドラマ『あなたの番です』(日本テレビ)の8月下旬における66万を上回っています(同時期同番組のTwitterフォロワー数は31万)。

ドラマ人気は視聴だけではなくSNSでも支えられており、これによりドラマの世界観に浸る方が増え、主題歌にも人気が集まるものと考えます。サブスクやYouTube等の環境が完璧に揃っていることで、浸りたい時にすぐに浸ることが出来るのです。

 

「I LOVE...」の人気は主題歌への起用は勿論のこと、たとえば『A-Studio』(TBSテレビ 金曜23時)で披露されたことが、集計期間開始前の放送ながら今週のチャートに影響していると言えるでしょう。

同番組では今週金曜に三浦大知さんが出演し「I'm Here」を披露予定。通常の音楽番組とは異なりフル尺での演奏となっていることは個人的に好感を抱いています。楽曲の良さがさらに引き出され、視聴者にまた聴きたいと思わせるのではないでしょうか。

また、これからの話とはなりますが、TBSでは春から月曜22時枠で音楽番組をスタートすることも注目。

土曜深夜のカウントダウンとは別に設けられる番組については、周囲のリアクションも概ね好評。無論、番組が始まらないことには中身を判断することは出来ませんが、コンセプト如何では他番組との差別化も図れますし、またTBSドラマの主題歌ならば確実にパフォーマンスされることでしょう。この番組の誕生もまた、チャートに貢献しそうな気がします。音楽番組の(リアルタイム)視聴率は『ミュージックステーション』(テレビ朝日 金曜21時)も含め決して高いとは言えませんがTwitterでは毎回トレンド入りしていることから、SNSの反応は小さくないことが予想されます。「I LOVE...」がロングヒットすれば、スケジュールが合えば初回にOfficial髭男dismが登場することは十分有り得そうです。

*1:なお、「Lemon」は2018年の『NHK紅白歌合戦』出場の影響もあり、2019年1月7日付から4週連続で1万ポイントを突破しています。