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チャート愛好家。ビルボードジャパンや米ビルボードのソングスチャートなどを紹介します。

最新のストリーミングソングスチャートにみる、サブスク人気曲の3つの特徴

最新3月16日付ビルボードジャパンソングスチャート。前週首位を獲得したHey! Say! JUMP「I am」が54位へ急落したことについて、昨日私見を掲載しました。

サブスクの再生回数を基とするストリーミング指標がこの1、2年で盛り上がっていることにより全体のポイントの水準が上昇、Hey! Say! JUMP(そしてサブスク未解禁勢)はそれに埋もれてしまう可能性を指摘したのですが、そのストリーミングに強い曲にはいくつかの傾向が見て取れます。そこでビルボードジャパンのストリーミングソングスチャート上位100曲から分析してみます。

こちらは最新3月16日付のストリーミングソングスチャート。

このチャートは2017年10月9日付より上位100曲が掲載されているため、チャートイン数(登場週数)における現在の最長記録は128週となります。

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曲が初めてリリースされた年を併記したのが上記。そこからチャートインしている曲を年別にまとめたのが下記。

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最新曲も多いながら、今年リリースの作品が全体の4分の1程度であり、一方では今から20年以上前の作品も登場しています。歌手別にみると。

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これらから、ストリーミングソングスチャート…すなわちサブスクで強い曲の特徴を挙げるならば。

 

① サブスク世代と言える歌手の大ヒットと、インスタントクラシックの登場

King GnuOfficial髭男dismそしてあいみょんさんは間違いなく今の時代を代表する歌手と言えますが、3組ともストリーミングの強さが際立っており、この3組でチャートイン全体の3割を誇ります。オリジナルアルバムリリース直後、その勢いがセールスに移行してストリーミングが下火となるということはなく、セールス面でもヒットしながらストリーミングも上昇しており、サブスク解禁がどれだけ意味のあることかをこの3組が証明しています。

R&B雑誌を読んでいた自分は、リリースされて間もなく”これは定番化する”と思った曲のことをインスタントクラシックと呼んでいたと記憶しています(実際、ラジオ番組で松尾潔さんがそのような発言をしています(松尾潔 2000年アメリカR&Bチャートを振り返る - miyearnZZ Labo(2015年2月12日付参照))。そういう意味においては、この3組の曲はサブスクを特に愛用するとされる世代におけるインスタントクラシックと言えるかもしれません。

そしてこの3組のみならず、たとえば歌手別で5位タイとなる5曲をランクインさせているMrs. GREEN APPLEの楽曲群や、ちゃんみな「Never Grow Up」、wacci「別の人の彼女になったよ」等も長期エントリーを果たしており、インスタントクラシックと言えそう。[ALEXANDROS]「ワタリドリ」は2015年リリースの曲ながら、ソングスチャートでは最長となる128週ランクインを果たしているのも特筆すべき状況です。デビューから長くても10年程度、サブスクが当たり前になってきた頃に登場した新しい世代がサブスク中心に支持され台頭しつつあることが伺えます。だからこそより広く認知させ、次のKing GnuOfficial髭男dismおよびあいみょんさんの位置にまで上り詰めるための手法を、レコード会社等が講じないといけないとも思っています。

 

② サブスク解禁から間もないことによる話題性の高さ

歌手別ランクイン曲数であいみょんさんに並び、7曲ランクインしているaikoさんは、2月26日のサブスク解禁で一気に注目が高まりました。

ここでも触れた、小袋成彬さんのラジオ発言(をみやーんさんが書き起こした内容)をaikoさんが知ったのがサブスク解禁のきっかけだと、aikoさん本人が『音楽と人』2020年4月号で語っているそう。

aikoさんにおいては解禁前週のラジオ出演もサブスク上昇に大きく寄与しているものと思われます。

ストリーミングソングスチャートにランクインした7曲中、最上位に「カブトムシ」(17位)が入っているのはラジオの反響も理由かと。この出演や新曲「青空」(34位)等を機にaikoさんの曲に触れる方が多いことが、解禁直後の勢いの大きさにつながっています。

 

TikTokとの相性の良さ

ビルボードジャパンでは毎週、TikTok週間楽曲ランキングとして上位20曲を紹介しています。TikTokでどう活用されているかも述べられており、非常に興味深いチャートとなっています。

最新となる3月2~8日を集計期間とするチャート(3月16日付ビルボードジャパンソングスチャートと対象期間が同一)では、上位20曲中7曲がストリーミングソングスチャートに登場。新曲のみならず過去曲が定番化したTikTok週間楽曲ランキングにおいて重複が35%というのは親和性が高い証拠と言えるでしょう。最新のTikTok週間楽曲ランキングで8位、ストリーミングソングスチャートで69位に入ったiri「会いたいわ」についてはビルボードジャパンで特集も組まれており、TikTokが無視出来ない存在でありストリーミングにも影響を及ぼすことがこの特集から見えてきます(し、特集の後半でそのことに言及されています)。

  

サブスクで強い曲の傾向を3点、示してみましたがいかがでしょうか。昨日はHey! Say! JUMPの急落について述べ、デジタル解禁の必要性を説いたのですが、高位置とは言えないものの嵐が2曲ストリーミングソングスチャートにランクインしていることを踏まえれば、やはり解禁を前向きに考える必要があると思います。今週ソングスチャートを制したJO1「無限大」がストリーミングでも54位に入っていることで所有と接触がバッティングしにくいことも想像出来るため、尚の事です。

そして勿体無いと思うのは、米津玄師さんの日本におけるサブスク未解禁でしょう。DAOKOさんへの参加曲を含む3曲がランクインしていますが、これらはいずれも高値安定しているため、解禁されたならばチャートを席巻するかもしれません。またback numberにおいてはベストアルバム『アンコール』(2016)後の曲が未だ解禁されないままですが、こちらも解禁に至れば大きく上昇することは過去曲の動向を踏まえれば容易に想像付きます。是非とも前向きな検討をお願いしたいところです。