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ミュージックビデオのフルバージョン公開はゴールではない? さらなる活用の重要性をYaeji「Waking Up Down」が示している

日本の音楽業界ではミュージックビデオに関するニュースが今週増えている気がします。たとえば昨日、Mr.Childrenがこれまで制作したミュージックビデオのうち20本をフルバージョンで公開。

月曜にはKing & Prince「Mazy Night」のミュージックビデオが2番終わりまでの比較的長尺で公開され、”ほぼフル”がTwitterでトレンド入り。

そして昨日、米津玄師「馬と鹿」のミュージックビデオ再生回数が1億回を突破しました。

 

そんな中、ミュージックビデオにおいて個人的に言及したいのが、韓国生まれでニューヨーク在住のYaeji(イェジ)による「Waking Up Down」。この曲は先月の私的トップ10のひとつに選んでいます。

上記エントリーでも言及しましたが、サウンドのみならずSpotifyにおける映像のループも中毒性を高める要因となっています。Spotifyでは曲によって、ジャケットではなくミュージックビデオの一部が画面に短尺で登場するのですが、「Waking Up Down」におけるその映像は、ビデオに登場するキャラクターの緩いダンスをピックアップしループさせたものなのです。


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(※Spotifyのループを紹介するためにキャプチャしました。問題があれば削除いたします。)

この短尺版の映像はSpotify向けに作られたものと思われますが、自分はこれにより「Waking Up Down」の中毒性にどっぷりと浸かったわけです。おそらく同様の中毒性を感じた方はいらっしゃることでしょう。このキャラクターはYaeji本人が制作したそうで、初のミックステープ『What We Drew』収録曲をSpotifyで再生すると、ミュージックビデオが制作された曲についてはその映像だったり、またはYaeji本人が手掛けたキャラクターがループされる仕様が全曲に施されています。国内盤CDもリリースされていて、そちらを手にしたいとも思うようになりました。

 

SpotifyにおけるYaeji「Waking Up Down」の施策は、Spotifyにアクセスしてもらうためにはどうすべきかを考え、ミュージックビデオをさらに活用したという一歩進んだ方法と言えます。このSpotifyでのループ映像のみならず、TikTokInstagramで公開前のミュージックビデオの一部を小出ししたり、今人気の星野源「うちで踊ろう」(→YouTube)に近い形でセッションやリアレンジ用の動画として(編集したものを)提示するという、いわばミュージックビデオの再活用が今後流行するかもしれません。この進歩した施策に触れると、元のミュージックビデオ自体をフルで公開していなかったり、制作した全作品を出していなかったり、フルで公開しても一方のサブスクでは未公開のままでいるという手法に対して前時代的だという認識を抱く方は少なくないかもしれません。歌手側が公開範囲を狭める理由は理解出来ても、ユーザーは果たして納得するでしょうか。Yaejiの手法ははるかに進んでいるものと考えます。