イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

(追記あり) 一発録りシリーズ初の商業化、DISH//「猫 ~THE FIRST TAKE Ver.~」はオリジナルバージョンに合算されない? そのチャート動向に注目

気になる動きが出てきました。

元々は2017年のシングル「僕たちがやりました」のカップリングに収録されたあいみょんさん提供曲。オリジナルアルバムには未収録ですが、一発録り動画企画を機に注目を集めています。

THE FIRST TAKEバージョンの「猫」は『3月20日の公開から1カ月足らずで1000万回再生を突破』(上記記事より)。好評を受けて4月29日にこのバージョンを配信リリースするに至ったということでしょう。実は、オリジナルバージョンの「猫」は前週発表された4月20日ビルボードジャパンソングスチャートで99位に初登場し今週も同位置につけていることから、THE FIRST TAKEバージョンが少なからず影響を与えていることが読み取れます。最新週、4月27日付ソングスチャートは下記に。

ちなみにSpotifyにて"THE FIRST TAKE Ver."と入力すると該当無し、iTunes Storeでも該当する作品が引っ掛からなかったことから、おそらく今回がTHE FIRST TAKEシリーズ初の商業化作品ではないでしょうか。

 

そうなると気になるのはチャートの扱いですが、「猫」と「猫 ~THE FIRST TAKE Ver.~」は別物としてカウントされるでしょう。というのも、ビルボードジャパンソングスチャートには合算の概念が基本的にないため。2年半前に合算について問い合わせたその内容は下記リンク先に記載していますが、現在も変わっていないと考えます。

合算されないだろうと考える理由はLiSA「紅蓮華」の扱いからも解ります。THE FIRST TAKEシリーズにおいて最も有名だろうこのバージョン、再生回数は現段階で3000万を突破しています。

「紅蓮華」THE FIRST TAKEバージョンの動画が投稿された日が集計期間に含まれる2019年12月16日付ビルボードジャパンソングスチャートでは、動画が他指標の上昇に貢献したものの動画再生指標はほぼ上昇せず。バージョンが違えば合算されないということが解ります。

このバージョンが商業化されたりラジオ番組で解禁されていないためにチャートに反映されなかったのではとも思うのですが(それこそ、星野源「うちで踊ろう」はラジオでOAされるようになったことでビルボードジャパンソングスチャートのカウント対象となったのではないかと捉えている、と以前記載しました→こちら)、仮に商業化や解禁されていたとして、「紅蓮華」と「紅蓮華 ~THE FIRST TAKE Ver.~」はあくまで別物としてカウントされ、THE FIRST TAKEバージョンの動画は後者に加算されていたことでしょう。

 

今回、DISH//が「猫 ~THE FIRST TAKE Ver.~」を商業化することはとても大きなことです。THE FIRST TAKEという企画自体にさらなる注目が集まり、その動画の再生回数がTHE FIRST TAKEバージョンの動画再生指標に加算されるだろうことを踏まえれば、動画再生とデジタル解禁効果で「猫 ~THE FIRST TAKE Ver.~」がビルボードジャパンソングスチャートにチャートインすることが予想されます。そしてオリジナルバージョンと別にカウントされたならば、チャートをチェックする方やファンの方から"合算にはならないのか?"という疑問が浮かび多くの方にその意識が共有されることで、最終的にビルボードジャパンがチャートポリシーを変更するに至るかもしれません。

 

この合算という考え方については、ビルボードジャパンと米ビルボードで完全に異なります。米の動向についてはこのブログで幾度となく記載していますが、ポッドキャストでも後日紹介する予定です。

 

※追記(4月26日5時45分):米ビルボードソングスチャートにおける"合算"について、昨日ポッドキャストをアップしました。Appleポッドキャストこちら