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チャート愛好家。ビルボードジャパンや米ビルボードのソングスチャートなどを紹介します。

「夜に駆ける」等ストリーミングに強い曲が現在のビルボードジャパンソングスチャートで伸びやすい理由は他指標の衰退にあり

一昨日のブログエントリーにて、「夜に駆ける」が最新5月4日付ビルボードジャパンソングスチャートで初のトップ10入りを果たしたYOASOBIのTwitterでの好取組を記載したところ、そのYOASOBIから御礼のツイートをいただき、しかもブログを紹介してくださいました。心より感謝申し上げます。

「夜に駆ける」は昨日放送の『とくダネ!』(フジテレビ 月-金曜8時)でも取り上げられています。自分が昨日紹介した施策がチャートを押し上げたことで、やはりメディアが無視出来なくなったと言えるでしょう。そう考えれば、間違いなく自らチャンスを掴んだと言えますし、放送直後に気になって調べた方にすぐ接触出来る状況を用意するYOASOBIの姿勢は本当に素晴らしいですね。

 

さて、一昨日のブログエントリーには補足があります。

カラオケ指標が集計取り止めになった2週前のチャートにおいて、同指標上位且つ昨年以降リリースの曲の集計取り止めによるポイント減少が数百から千以上と推測しました(下記エントリー参照)。これは何気に大きな痛手である一方で、これから認知されていくであろう新鋭の歌手の作品はカラオケ指標の減少がごく僅かだったことから、カラオケ指標の集計取り止めは新鋭の歌手にとって、より浮上しやすい環境になったと言えるでしょう。

 

さらに、「夜に駆ける」をはじめとするストリーミングに長けた曲が優位になりやすい要因として、他指標の勢いが衰えていることが挙げられます。

一昨日のブログエントリーにて取り上げたストリーミング指標に強い曲についてはそのすべてがシングルCD化されていないため、シングルCDセールスおよびルックアップの2指標が未加算となりますが、CD関連の2指標が緊急事態宣言に伴う多数のCDショップやレンタル店の休業もしくは営業時間縮小により、この数週間で縮小しています。

上記ブログエントリーで示した表の最新動向は下記に。着実にダウンが進行しています。

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ちなみにアルバムを見てみると、より顕著に表れていると言えます。

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シングルCDはアイドルやK-Popアクト等、リリースされやすいジャンルに偏りがあり、その他のジャンルはタイアップの獲得が必須に近い印象があります。アイドル等においてはファンが所有を好む傾向があるため、実店舗が閉鎖してもネット購入(特典が付いている場合は尚の事)に移行する可能性が高く、ゆえにジャンルを問わずCD化の傾向が高いアルバムに比べれば売上減少はまだ食い止められていると言えるかもしれません。実際にアイドルの売上が高いことについては、先月の記事からも明らかです。

他方アルバムは予想以上に減少が進行している印象があります。CDショップに行けなくなり、欲しい作品以外をCDショップで試聴等出来なくなったためにあらかじめ買うことを決めていた作品以外は買う機会が減ったと言えるかもしれません。想起した行動制限が事実ならば下位作品は尚の事売れなくなっているかもしれず、グラフ以上にCD全体の売上が落ちていると捉えることが出来そうです。

 

ダウンしているのはCD関連指標だけではありません。

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ビルボードジャパンではダウンロード指標において毎週10位までの数値を公表しており、1位および10位の売上数をグラフ化したのが上記。1位で突出した売上をマークしたのは嵐「A-RA-SHI : Reborn」および米津玄師「パプリカ」。またここ数週はOfficial髭男dism「I LOVE...」が牽引してきましたが、「I LOVE...」は主題歌となったドラマが終了したことで売上が落ち着いています。リリース延期作品が増えたなったこともあってか、1位はこの2週続けて2万を切り、10位は7千前後となっています。最新週の動向は下記にて。

記事には『前週に引き続き、5位以下の楽曲が1万DLを切る結果に終わった』とあります。この表現がダウンロード指標の減少を如実に示しているものと考えます。

 

他指標についてはどうでしょう。ラジオエアプレイについては集計局数に変更がないためオンエアされた曲の総数が以前より落ちているとは言えないでしょう。一方でリクエストは右肩上がりとのことで、自宅で過ごしラジオを聴く(ようになった)方が増えているとは思われます。最新週と同じ集計期間における、オンエア回数を示したプランテック調べのチャートは下記に。なお、ラジオエアプレイ指標はこのプランテックのオンエア回数に、エリア別の人口と平均聴取率が加味されています。

ちなみに最新週の集計期間は首都圏ラジオ局では聴取率調査週間であり、一部放送局ではその週に豪華ゲスト等を用意するスペシャルウイークを実施。上記記事には『“昨今の人気曲”へのリクエストが多いのも特筆点』とあるのですが、これは聴取率調査週間のオンエア曲が他の週より近年のヒット曲が多くかかる傾向があるゆえと推測しています。その理由は以前記載しました。

 

Twitterや動画再生のポイント数の動向は解りかねますが、Twitterについてはたとえばテレビの音楽番組で歌手がパフォーマンス出来なくなったり、新曲が主題歌に起用されたドラマが延期となる(緊急事態宣言の継続によってはお蔵入りの可能性もあるかもしれません)等によって、新曲が話題になる機会が減っています。星野源「うちで踊ろう」や最新週で2位(総合32位)に入った「ハレ晴レユカイ」等、ネット発のムーブメントが反映されやすい形にはなっていますが、全体では下がっているでしょう。動画再生については通勤や通学で見る機会が減ったと考えられるものの、同じく通勤等で利用されるだろうストリーミングの基となるサブスク再生回数が堅調であることを考えれば、動画再生も同様の動きをしていると言えるかもしれません。ただし、Netflix等動画配信サービスが興隆してきていることから、YouTubeおよびGYAO!の再生回数を基とする動画再生はストリーミングほど伸びてはいないという見方も出来そうです。

 

 

ビルボードジャパンのソングスチャートを構成する、集計取り止め中のカラオケを除く7つの指標の状況をみると、最も影響を受けにくいのがストリーミング、次いで動画再生という結論に達しました。これは一昨日のブログエントリーで述べた、各指標の上位20曲における最新チャート100位以内在籍率の上位2つと合致します。

これを踏まえれば、外出を自粛する方に対し、デジタルで接触出来る環境に曲を制限することなくきちんと用意しておくことこそ、歌手に求められるものではないでしょうか。YOASOBIのTwitterにおける対応が有効に作用するのは、その前提をしっかり行っているからこそなのです。