face it

チャート愛好家。ビルボードジャパンや米ビルボードのソングスチャートなどを紹介します。

2020年上半期の社会的な、もしくはチャートを語る上で欠かせないヒット10曲を選んでみました

今年上半期に社会的にヒットした、もしくはチャートを語る上で欠かせない曲を10曲選んでみました。昨年については下記ブログエントリーをご確認ください。

邦楽についてはビルボードジャパンの上半期ソングスチャート(Hot 100)を参照。

これまでは邦楽洋楽共に5曲ずつを選んできましたが、今回は邦楽に比重を置いています。基本的には昨年12月~今年5月リリースの作品を取り上げますが、リリースがそれ以前でもこの時期にヒットしたものであれば取り上げます。

 

 

Official髭男dism「I LOVE...」

主題歌に起用されたドラマ『恋はつづくよどこまでも』(TBS)共々大ヒットし、自身の「Pretender」に続く上半期ソングスチャート2位を記録。コロナ禍で新ドラマが開始見合わせとなり『恋つづ』が再放送されたことも影響し、首位在籍7週を含む14週連続2位以内を達成。この影響もあり、昨秋リリースのアルバム『Traveler』も上半期アルバムチャート2位に入るロングヒットに。下記ブログエントリーは「I LOVE...」および『Traveler』のチャート推移。

 

King Gnu「Teenager Forever」

上半期アルバムチャートを制した『CEREMONY』から、リリース直前にミュージックビデオが解禁されたリード曲。「白日」の大ヒットと『NHK紅白歌合戦』(NHK総合)でのパフォーマンスで認知度や注目度を高めた彼らが、この曲のパフォーマンスで実力を存分に知らしめたことは間違いなく、アルバムは初週CDセールス24万を突破。「白日」共々アルバムの大ヒットを牽引した曲となりました。アルバムの動向は下記に。

 

星野源「うちで踊ろう」

コロナ禍の状況下で星野源さんが示した一筋の光と言える曲。曲に込めた思いは下記ブログエントリーで紹介した分を含め、『星野源オールナイトニッポン』(ニッポン放送 火曜25時)のみやーんさんによる書き起こしを参照してください。フリーダウンロードのためダウンロード指標が加算されないことや、サブスク解禁が後日になったことによりネットのバズがチャートには大きく反映されていませんが(最高13位、100位以内在籍7週)、男性アイドルグループが大挙入るようになったTwitter指標を制しチャート上昇の原動力にしたのは見事でした。

 

④ YOASOBI「夜に駆ける」

小説を基に曲を書き下ろすという新しいスタイルで音の世界感を多メディアで訴求、動画やサブスクといった接触指標群から大ヒットに至った未CD化曲。さらにTwitterアカウントにおけるファンとのエンゲージメントの徹底が、全ての歌手の運営側にとって手本となることは間違いありません。無論このヒットの前提には、ボーカロイドというジャンルやニコニコ動画等動画投稿の日本での醸成、そして曲のキャッチーさがあります。

 

⑤ 瑛人「香水」

完全インディペンデント、すなわちレコード会社にも芸能事務所にも所属しない歌手の作品がビルボードジャパンソングスチャートを制したのはおそらく初。コロナ禍の影響でCDリリースが延期され未CD化曲のヒットが目立つようになったことも、自粛期間でサブスクやTikTokを利用する方が増えただろうことも要因ですが、インディペンデントで活動する歌手を支えるサービス(「香水」におけるTuneCore Japan等)の存在が、日本の音楽業界に新たな可能性を示したと言えるのではないでしょうか。TikTokのカバー動画が大きな影響を及ぼしたことを踏まえるに、昨年「Old Town Road」で米ソングスチャート19週首位という新記録を樹立したリル・ナズ・Xを彷彿とさせるのです。

 

⑥ 藤井風「優しさ」

小学生の終わりに父親に”これからはYouTubeの時代”と言われたのを機に演奏動画を投稿しはじめた藤井風さん。「何なんw」「もうええわ」といった目や耳を惹くタイトルでも注目を集めましたが、ソウルや昭和歌謡等様々なジャンルを咀嚼して築いた世界観は唯一無二。アルバム『HELP EVER HURT NEVER』はビルボードジャパンアルバムチャートで初登場首位を記録し、現在までに3週連続トップ5入りを達成。レンタル解禁によりロングヒットも見込まれます。TikTokYouTube等、動画が高く支持される方がさらなる注目を集めているのが2020年上半期(後半)の特徴です。

 

Snow Man「D.D.」

ジャニーズ事務所所属、SixTONES「Imitation Rain」と同日CDデビュー(上半期ソングスチャートで順位がより高いこちらを選出)。レコード会社の異なる2組ながら、相手のシングルCDに自身のシングル表題曲を収録する手法を採り、両者を合算したオリコンシングルCDランキングでは初週ミリオンを達成。その勢いは純粋に凄いと思う一方、オリコンの姿勢(ミリオンを強く打ち出したメディアも含め、疑問を下記ブログエントリーに記載)、またトップ10入りはわずか5週という状況を踏まえれば、社会的ヒットに至ったと断言するのは難しく、次のシングルで真価が問われるものと考えます。”デジタルに放つ”というキャッチコピーを打ち出した以上、デジタルをきちんと解禁し接触指標群を充実させられるか、下半期に注目です。

 

⑧ ロディ・リッチ「The Box」

日本でもTikTok発のヒットが徐々に生まれてきていますが、今年アメリカで11週連続首位を達成したロディ・リッチ「The Box」はこのTikTokの影響が大きく、特にイントロのシンセの音が窓を拭く音を想起させるとして投稿された下記動画は現段階で180万ものいいねを記録。

@jaywill4real

This how Roddy Ricch made The Box 😂😂 ##music ##foryou ##foryoupage ##featureme

♬ The Box - Roddy Ricch

ビルボードソングスチャートではサブスクや動画の再生回数に基づくストリーミング指標で13週もの首位を獲得。TikTok発のヒットは接触行動につながりやすいという表れと言えるでしょう。

 

⑨ ドレイク「Toosie Slide」

コロナ禍の空気をうまく捉えたミュージックビデオも話題になったドレイクの米ソングスチャート首位獲得曲。この曲もTikTokがヒットの契機になりましたが、インフルエンサーがリリース直前にこの曲を用いたダンス動画をアップし、”ドレイクの未発表曲が!”と話題になったことも首位に至る要因に。実はインフルエンサーに前もって曲を渡していたというこの仕掛け、今後戦略的に用いられるかもしれません。ドレイクはこの曲を含むミックステープをリリースし、今年中にはアルバムもリリース予定とのこと。

 

⑩ ザ・ウィークエンド「Blinding Lights」

米ソングスチャートを通算4週制覇。アルバムは発表から2週間で複数回のデラックスエディションがリリースされており、サブスク時代においてこの試みは理解出来なくはないものの購入者への配慮がないのでは、という疑問を感じてはいます。

しかしながらこの策の成功もあってか、「Blinding Lights」は最新6月13日付ソングスチャートまで9週連続でラジオエアプレイ指標を制覇。総合ソングスチャートは6週連続で首位が入れ替わる中、この曲は現在も3位と好位置をキープしており、今年を代表する1曲となりそうです。R&Bを基軸としながらジャンルレスなサウンドを展開するのも、今の時代を如実に示しているものと考えます。

 

 

以上10曲、いかがだったでしょうか。厳しい指摘をさせていただいた曲については下半期以降の展開に期待しています。

自分がスタッフの一員を務める『わがままWAVE It's Cool!』(FMアップルウェーブ 日曜17時 サイマルラジオで全国どこからでも聴取出来ます)において今月後半から来月前半の間に、弘前大学ラジオサークルOBのしょうごくんによる上半期ヒット曲総ざらい特集を放送予定です。現役大学院生の彼が選ぶ今年上半期のヒット曲にも是非注目してください。