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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

嵐「カイト」、CDリリース日ながらデジタル未配信の理由を考える

嵐がシングルCDとして今日発売した「カイト」が、今朝の段階でもデジタル配信されていません。たとえばSpotifyでは最新のリリースとして表示されるのが前週金曜にリリースされたデジタルシングル「IN THE SUMMER」のままであり、その「IN THE SUMMER」については嵐自身の各種SNSやサブスクサービス等で何度か宣伝されている一方、Twitterで「カイト」について触れているのは現段階で一度きりなのが気になっています。

昨年11月3日のデジタルシングル「Turning Up」を皮切りにデジタル化を加速させた嵐が、それ以降で初のシングルCDとなる「カイト」について配信を行わないのが気掛かりです。このようなブログエントリーを掲載したこともあり、尚更です。

サブスク未解禁なのは楽曲提供した米津玄師さん自身がサブスク未解禁だからという見方もあるかもしれませんが、菅田将暉まちがいさがし」やFoorin「パプリカ」等提供曲がサブスクでヒットした状況を踏まえればこの視点は誤り。米津玄師さんはYouTubeやダウンロードには積極的であるため尚の事です。

 

邪推かもしれないと前置きして書くならば、嵐がシングルCDセールスで一度もミリオンセールスを達成していないことが背景にあるのでしょう。嵐が活動休止を発表した後、 97万以上を売り上げていたデビュー曲「A・RA・SHI」をミリオンにしたいというファンの呼びかけがありながら、既に廃盤されていたため叶わなかったということがありました。また今回の「カイト」は映像盤(DVDもしくはBlu-ray)が同梱されたバージョン、曲数の多い通常盤のほか、特製ジャケットとブックレットが付いたファンクラブ限定盤と3種発売となっており、2種から3種にすることでシングルCDセールスが伸びることは「I seek / Daylight」の動向からも明らか。そしてTwitterで”嵐 シングル ミリオン”と検索すると、初のミリオンセールスをもたらしたいと願うファンの思いが多く登場することから、所有可能な環境をCD購入のみにとどめたことは解らなくはありません。

ただ、活動休止前最後のシングルCDであるだろうことを踏まえれば、フラゲ日と発売日の動向をみないことには断言できないもののミリオンを突破する可能性は高いでしょう。ファンクラブ盤を用意することでミリオンセールスの可能性が幾分計算できたはずであり、『NHK紅白歌合戦』で既に披露されその動画も上がっていることで既に多くのライト層を生んでいる「カイト」がなぜデジタルを外すのか、やはり理解に欠けます。今の時代、ライト層が気軽にダウンロードではなくCDの所有行動を起こすことは容易ではない上に、ビルボードジャパンソングスチャートが社会的ヒットの鑑になりつつある状況ではライト層の拡充がヒットの前提にあるのは自明、なのですが。

 

SNSにおいて「カイト」が「IN THE SUMMER」と比べて圧倒的に紹介されていないことは不自然ですが、仮に「カイト」の未デジタル化が既定路線だったならば、敢えてつぶやかなかったと捉えるのが自然でしょう。SNSとサブスク等の親和性を踏まえれば、つぶやかれた曲がサブスクになかったときのダメージは大きいためつぶやかないほうが得策となり、そうすればデジタルで存在しないことが気付かれずに済む可能性が高まります。

 

「カイト」が仮に解禁されるならばある程度シングルCDセールスが落ち着いた頃になるのではと予想しますが、一方でシングルCDに同梱されたミュージックビデオをYouTubeにアップすればCD購入の優位性が…と思う方が万が一いらっしゃるならば、それを考慮して敢えてアップしないという可能性もありそうです。この選択肢を選んだとしたら、「Turning Up」以降デジタルに前向きだった嵐の姿勢に対し違和感を抱いてしまいます。「カイト」がリリースされた今、ダウンロードやストリーミングで手に入れようとして、見つからずに同様の不満を抱えるようになった方は少なくないはずです。