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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

サブスク解禁した米津玄師、そのインパクトの大きさをSpotifyで確認する

8月5日、アルバム『STRAY SHEEP』のリリース日に米津玄師さんがほぼ全ての作品を、ハチ名義を含めサブスク解禁しました。

結果的に、今日発表となる8月17日付ビルボードジャパンソングスチャート(集計期間:8月3~9日)では、Sexy Zone「RUN」がここ3作を大きく上回るCDセールスを武器に首位に就くことが確実となりましたが、米津玄師さんの楽曲群の動向にも注目です。そこで、ストリーミング指標の対象サービスのひとつであるSpotifyの動向をチェックしましょう。速報段階では一度紹介しており、その表を活用します。

 

まずは『STRAY SHEEP』収録曲の動向から。

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黄色でなぞられた楽曲は、8月5日金曜開催の『フォートナイト』内イベントで披露されたもの(下記表も同様)。また表における太線は、左(~8月9日日曜)が8月17日付ビルボードジャパンソングスチャート、右(8月10日月曜)が同8月24日付の加算対象であることを示します。10日月曜が祝日で、土日に連続する祝日の再生回数が日曜並の高水準となることから、今回併記しています。

 日本におけるSpotifyデイリーチャートの切替時間が午前0時ではない模様のため、複数曲が4日火曜にもフライングで登場していますが、『STRAY SHEEP』収録曲は終日フルで加算された5日以降は全曲が50位以内をキープ。そのうち「感電」は、5日に1位となって以降2位をキープし、「Lemon」や「馬と鹿」もトップ10内にとどまっています。

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現在Spotifyで上位を占める曲との動向を比較すると、「感電」はNiziU「Make you happy」並のロケットスタートを切ったことが解ります。その「Make you happy」は1日20万再生に達したことがなく、「感電」がYOASOBI「夜に駆ける」や瑛人「香水」と並ぶ1日20万再生の仲間入りを果たしていることも注目です。

 

続けて、『STRAY SHEEP』収録曲以外の動向をみてみましょう。

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上記にはDAOKOさんとの「打上花火」や中田ヤスタカさんにフィーチャーされた「NANIMONO」も掲載。デイリーチャート200位以内の登場曲数が徐々に減っていくものの、8月10日付では『STRAY SHEEP』収録分を含む24曲が200以内に入り、その占有率は12%となっています。

 

この200位以内の占有率において、解禁日となる8月5日には3割を超えているのですが(61曲がランクイン)、Spotifyのプレイリストに呼応していることは注目に値します。

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8月12日5時40分段階における、Spotify自身が作成した【This Is 米津玄師】プレイリストは上記に。『STRAY SHEEP』収録の15曲を冒頭に据え、「NANIMONO」を含む計60曲で構成されています。8月9日の段階でもこの順番だったことから、おそらくプレイリスト公開から現在に至るまで曲順の変更はないものと思われます。この60曲がすべて、8月5日付で200位以内に登場したわけです。なお、『STRAY SHEEP』収録曲以外の動向一覧表におけるプレイリストNo.は、【This Is 米津玄師】プレイリストの掲載順を指します。

デイリーチャートの順位の前後こそ違うものの『STRAY SHEEP』未収録曲においてはプレイリストの掲載順に比較的近いこと、8月5日付デイリーチャートの米津玄師さんの楽曲で最も順位が低いのが「WORLD'S END UMBRELLA」(ハチ名義)での166位であり、以降200位までに1曲も登場しないことを踏まえるに、如何に多くの方が米津玄師さん解禁のタイミングでまずは【This Is 米津玄師】プレイリストに触れたかが理解できます。プレイリストの重要性が曲のロングヒットにつながるという見方は以前エド・シーラン「Shape Of You」やウィズ・カリファ feat. チャーリー・プース「See You Again」で触れていますが、瞬発力においても同様にプレイリストが効果的と言えそうです。つまりはライト層を如何に惹き付けるか、これがプレイリストの持つ役割なのかもしれません。またプレイリストの冒頭に『STRAY SHEEP』を、曲順そのままに用意したことにより、たとえばCDを予約したもののまだ届いていないコアなファンを含め、アルバムをチェックしたい方にも好まれたものと考えます。

下記にその【This Is 米津玄師】プレイリストを掲載します。今後は曲順が変化するでしょうが、是非チェックしてみてください。

 

『STRAY SHEEP』収録曲以外の動向をまとめた表の最後には、各日付における200位の再生回数を掲載。8月7日付ブログエントリーにおいては『米津玄師さん楽曲の再生回数は徐々に落ち着いてくるでしょうが、それでも今後200位曲の再生回数が2万を下回ることはなくなりそう』と書きましたが、今週中には2万再生を下回るかもしれません。解禁前から既に再生回数が高まっていたというのもありますが、それでも解禁日およびその翌日では前週と比べ4500回以上増えていることは特筆すべきと言えます。

 

 

総合アルバムチャートでは『STRAY SHEEP』の首位登場は間違いないでしょうが、米津玄師さんの楽曲単位での勢いはサブスクの他サービスの動向、またダウンロード等他指標への波及動向も含め、本日発表の8月17日付ビルボードジャパンソングスチャートで明らかになります。断定はまだできませんが、今回の結果は『サブスクに明るくない方の背中を押す』くらい大きなインパクトになるのではないでしょうか(『』内は米津玄師のサブスク解禁が与えるインパクトの大きさ…サブスクに関する歴史が変わろうとしている(8月7日付)より)。