face it

チャート愛好家。ビルボードジャパンや米ビルボードのソングスチャートなどを紹介します。

はじめに

(2020年9月8日更新)

ブログ【face it】担当のKeiです。チャート愛好家として、ビルボードジャパン最新チャートを様々な視点から分析し、記載しています。

お問い合わせやご意見、ご依頼などがございましたら、faceknk @ gmail.com宛にお願いいたします。もしくは、はてなユーザーの方は各エントリーにコメント出来ますので、よろしくお願いします。

 

外部メディアへの寄稿、および以前出演していたラジオ番組にて担当した音楽特集について一覧化しました。

 

2020年4月からは米ビルボード、およびビルボードジャパンのソングスチャートを紹介するポッドキャストBillboard Top Hits】も配信しています。

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「WAP」通算4週目の首位獲得、そして「Blinding Lights」には最長記録樹立と陥落という明暗が同時に…9月26日付米ビルボードソングスチャートをチェック

ビルボードのソングスチャートをチェック。現地時間の9月21日月曜に発表された9月26日付最新ソングスチャート、カーディ・B feat. メーガン・ザ・スタリオン「WAP」が通算4週目の首位を獲得。またザ・ウィークエンド「Blinding Lights」には最長記録樹立と陥落という2つの大きなトピックが生まれています。

「WAP」および2位をキープしたBTS「Dynamite」の各指標の動向をみると。

・カーディ・B feat. メーガン・ザ・スタリオン「WAP」

 ストリーミング:4150万(前週比14%ダウン 同指標1位)

 ダウンロード:12000(前週比25%ダウン 同指標3位)

 ラジオエアプレイ:3260万(前週比21%アップ 同指標21位)

BTS「Dynamite」

 ストリーミング:1260万(前週比6%ダウン 同指標17位)

 ダウンロード:78000(前週比43%ダウン 同指標1位)

 ラジオエアプレイ:1910万(前週比6%アップ 同指標47位)

「WAP」も「Dynamite」も総合ではやや大きめに落ち込んでいると言えるかもしれません。「WAP」のデジタル2指標、BTSのダウンロードが2桁ダウンとなりながら、「WAP」はラジオエアプレイが2割以上上昇し、「Dynamite」を引き離したと言えそうです。他方「Dynamite」もラジオが伸びてはいるものの2桁成長とはいかず、またストリーミングのダウン幅は小さいものの、そもそもこの数値自体が大きくないことは今後の動向において気掛かりというのが私見です。

「WAP」の通算4週目の首位獲得により、メーガン・ザ・スタリオンについては勿論のこと、カーディ・Bにおいても主演曲で最長となる首位獲得週数を更新。なお客演を含めば、カーディ・Bの最長首位獲得曲はマルーン5との「Girls Like You」(2018 7週)となります。

ザ・ウィークエンド「Blinding Lights」が5位をキープし、トップ5以内の在籍週数が28週となりました。エド・シーラン「Shape Of You」(2017)およびザ・チェインスモーカーズ feat. ホールジー「Closer」(2016-2017)の27週を上回る、単独最長記録達成です。

一方で単独首位最長記録を更新していたラジオエアプレイは遂に陥落、23週で途絶えました。前週比3%ダウンとなる7590万となった「Blinding Lights」を上回ったのはルイス・キャパルディ「Before You Go」。

総合では前週より2ランクアップの9位に入り、同曲での最高位を更新。ラジオエアプレイは前週比5%アップの7910万を獲得しています。ルイス・キャパルディがラジオを制したのは昨年11月の「Someone You Loved」以来となります。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (1位) カーディ・B feat. メーガン・ザ・スタリオン「WAP」

2位 (2位) BTS「Dynamite」

3位 (3位) ドレイク feat. リル・ダーク「Laugh Now Cry Later」

4位 (4位) ダベイビー feat. ロディ・リッチ「Rockstar」

5位 (5位) ザ・ウィークエンド「Blinding Lights」

6位 (6位) 24Kゴールデン feat. イアン・ディオール「Mood」

7位 (7位) ハリー・スタイルズ「Watermelon Sugar」

8位 (9位) ジョーシュ・シックスエイトファイヴ × ジェイソン・デルーロ「Savage Love (Laxed - Siren Beat)」

9位 (11位) ルイス・キャパルディ「Before You Go」

10位 (8位) ジャック・ハーロウ feat. ダベイビー、トリー・レーンズ & リル・ウェイン「Whats Poppin」

次週はジャスティン・ビーバーの新曲でチャンス・ザ・ラッパーを客演に迎えた「Holy」のトップ10入りが期待されます。またBTSは新たに複数のリミックスを投入し、今週のラジオエアプレイ指標では後半3日分が反映されていますがデジタル2指標では次週反映されることから、ダウンロード指標の上昇が見込まれます。ただしストリーミングおよびラジオエアプレイという(能動的か受動的かに関わらず)接触指標群が伸びない限りは、たとえ首位を奪還しても比較的速やかにダウンするのではと考えます。リミックス追加投入については、米ビルボードのチャートポリシー変更の可能性も含め以前記載しています。

 

なお前週米ビルボードが新設したグローバルソングスチャート(Global 200)では「WAP」が2週連続の首位となり、グローバルソングスチャートから米を除いたチャート(Global Excl. U.S.)ではBTS「Dynamite」が初制覇となりました。

少年隊のオールタイムベストアルバムが遂に発売されることに

切望していたベストアルバムの登場は、驚きの発表と共に行われました。

その功績を讃え少年隊の名は残すものの、退所後の3人での活動はないのは残念です。一方で、このタイミングでしかオールタイムベストアルバムはリリースされなかったのだろうとも、悲しいながらも思い至った次第。ベストアルバムの切望についてはこのブログで何度か言及していました。

『少年隊 35th Anniversary BEST』はCD3枚組の通常盤と、CD5枚組+DVD7枚組の完全受注生産限定盤(通信販売限定)とに分かれ、その内容は上記記事、ならびに少年隊のディスコグラフィーに掲載。しかし通常盤のディスク3は完全受注生産限定盤には全て未収録という状況です(「星屑のスパンコール」は、完全受注生産限定盤では「星屑のスパンコール 2020 (New Vocal)」の形で収録はされますが)。この通常盤と完全受注生産限定盤の双方を手にしないと音源が揃わないという状況は、少年隊のデビュー曲「仮面舞踏会」(1985)で既に行われたことではあるため(この点については、たとえばこちらが分かりやすいかもしれません)、ベストアルバムの収録内容等も含めファンの方に伺ってみたいという思いがあります。

 

「仮面舞踏会」のB面に収録され、後に嵐がカバーした「日本よいとこ摩訶不思議」や、「じれったいね」(1988)のアレンジ違いとなる「続・じれったいね (海外版)」が未収録なのは残念ですが、音源は手に入れたいと思っています。そして、できれば最後に3人としての姿を見たかったと思うのは自分だけではないでしょう。

米ビルボードソングスチャート活性化の意味も持つリミックス追加投入、しかしその投入がチャート対策最優先である可能性を懸念する

このブログで毎週追いかけている米ビルボードおよびビルボードジャパンのソングスチャート。この日米のチャートで大きく異なるのが、リミックスバージョンをオリジナルに合算するかしないかという差にあります。合算対象となる米ソングスチャートにおいて、リミックスの後日投入はオリジナルバージョンバージョンのチャート上昇につながる(仮にオリジナルよりもリミックスのほうが支持されればクレジットはそのバージョンとなる)ほか、新人の注目作品にベテランが客演参加することでその新人に箔が付くことにも。ドージャ・キャット「Say So」にはニッキー・ミナージュが、メーガン・ザ・スタリオン「Savage」にはビヨンセが参加したことでそれぞれ初となる米ビルボードソングスチャート制覇を成し遂げたことはまさにその象徴と言えます。無論これらリミックスの投入はチャート施策のみならず、先述した新人のフックアップやリミックスの楽しさそして文化の流布という側面が前提としてあるものと捉えています。

このような客演参加の形でのリミックスの投入が、一昨日のリリース作品でも複数みられるので今日はそちらを紹介しましょう。

 

 

9月18日付の米Spotifyデイリーチャートにて、リミックスバージョンのニューリリースとして最上位に登場したのはマネーバッグ・ヨー「Said Sum」のシティ・ガールズ&ダベイビー参加によるリミックス。オリジナルは最新9月19日付米ビルボードソングスチャートで71位にランクインしていますが、最高位は44位でありマネーバッグ・ヨーにとって自己最高位。リミックスの追加により最高位を更新する可能性は十分です。

 

今年2月、20歳という若さで亡くなったポップ・スモークですが、7月3日にリリースされたオリジナルアルバム『Shoot For The Stars, Aim For The Moon』が米ビルボードアルバムチャートで首位を獲得したのみならず、17日後にデラックスエディションが登場したこともあってロングヒットを記録し、最新9月19日付米アルバムチャートでは2位につけています。アルバムからは現在3曲が最新米ソングスチャートに登場していますが、現在21位に登場している「Mood Swings」に(オリジナルバージョンで客演するリル・ティージェイに加えて)サマー・ウォーカーが追加で客演参加したリミックスが登場。先述した9月18日付米Spotifyデイリーチャートでは116位発進となり、リミックスが合算されれば米ソングスチャートにおいてオリジナル版の最高位である17位を上回る可能性は十分です。

 

そしてBTS「Dynamite」。既に4つのリミックスが出ているのですが、9月18日にはさらに4バージョンが追加投入。加えて0.69ドルの安価販売を続けており、米ビルボードでは日本時間の9月29日に発表予定の10月3日付ソングスチャートにて「Dynamite」が首位を奪還する可能性もあるという見方があります。リミックス等戦略については以前紹介しています。

Spotifyにおける日本向けの新曲プレイリスト、New Music Friday Japanでは9月18日更新分に「Dynamite (Retro Remix)」が登場。これまでの4つのリミックスがオリジナルバージョンとそのインストゥルメンタル共々”DayTime Version”としてまとめられているのに対し(→Spotify)、Retro Remix等は(こちらもオリジナルとそのインストを含め)”NightTime Version”としてパッケージされています。Spotifyは下記に。

おそらくチャート上の施策としてBTS側が複数のリミックスを投入しているものと考えます。しかしながら、個人的にはこのようなことを感じた次第。

リミックスの投入が続けば、米ビルボードは近いうちにリミックスバージョンのオリジナルへの合算の是非も含めた議論を実施し、リミックス投入に関して何かしらの規制を伴ったチャートポリシー変更を行う可能性があるのではと考えます。今年目立ったフィジカル施策に伴うチャートの非健全化を是正すべく米ビルボードがチャートポリシー変更に至らせた前例があるゆえ、気になるのです。フィジカル施策、そして10月上旬実施予定の改正については以前紹介しています。

上記のツイートに続いて自分はこうもつぶやきました。

複数のリミキサーを起用したリミックスの複数バージョン投入、以前はよく行われていました。

 

上記は一例ですが、しかしこれらは少なくとも2名以上のリミキサーが参加し、そのリミキサーの名前が付けられているバージョンが見受けられます。一方でBTS「Dynamite」についてはリミキサーが不明であることもあり、リミックス文化を広めるという意義よりも、数多くのリミックスを投入して特に彼らの強みである所有指標(ダウンロード)の拡大に努めたいのでは…そう思われてもおかしくないのではないでしょうか。実際に米ビルボードソングスチャートにおいて「Dynamite」がこの3週間強さをキープする、その最大の理由は所有指標にあるわけです。リミックス”文化”については下記ブログエントリーをご参照ください。

上記ブログエントリーでは文化拡大のみならず、リミックスにチャートの仕掛けや戦略を活性化させる側面もあると書きました。その他にも様々な効果が期待できることからビルボードジャパンにおいても合算してほしいとの懇願を記載したのですが、BTS「Dynamite」の戦略が仮に自分の推測した意向を踏まえてのものであるならば、ビルボードジャパンのリミックス合算が叶うどころか米ビルボードソングスチャートでも合算から切り離しの方向にシフトするという懸念を抱く自分がいます。リミックスを施すならばこれまで組んできたスティーヴ・アオキ等に依頼したほうが、自分が抱いたような疑念が生まれにくくなったものと考えます。

嵐「Whenever You Call」、様々な施策がチャートアクション最大化につながっていく

嵐が昨日リリースした新曲、「Whenever You Call」が素晴らしいですね。

楽曲が公開されると音楽関係者を中心に絶賛の声が寄せられています。

ブルーノ・マーズが制作を手掛けたという報道を受けて、弊ブログではブルーノの提供曲集を記載しましたが、Dマイルについてもまとめたいですね。林剛さんが紹介していたチャーリー・ウィルソン「Forever Valentine」は、下記提供曲集にて紹介しています。

 

 

さて、嵐「Whenever You Call」については楽曲のクオリティの素晴らしさ以外にも、特筆すべき施策が沢山あるのです。そしてそれらが全て、チャートアクションに寄与することは間違いありません。

 

まずは冒頭に貼付したミュージックビデオの登場タイミング。

公式オーディオから時間を置いてミュージックビデオを公開したのはおそらく、ミュージックビデオの公開を米リリース時間に合わせたゆえと考えます(アメリカにおいては新曲が基本的に日本時間の金曜13時に公開。厳密な時間は不明ながら今回のミュージックビデオも13時頃と思われます)。「Whenever You Call」は米iTunesでも販売されているゆえ、デジタルリリースを金曜に徹底させているのは嵐の世界戦略の一環でしょう。

今週米ビルボードが2種類のグローバルチャートを新設しており、世界でヒットする曲が可視化されるようになりました。この2つのチャートについては昨日のブログエントリーで紹介していますが、嵐のリリースタイミングは新設チャートでのチャートアクションにつながるはずです。

 

このミュージックビデオはSpotifyに活用されています。Spotifyのアプリをダウンロードし、「Whenever You Call」を是非再生してみてください。すると、ミュージックビデオを用いた映像ループが登場します。5人の映像と東京の夜景がループする仕様で、曲の世界観により深く浸ることができます。

Spotifyにはこのような映像ループ機能があるのですが、日本の歌手では用いる方が少ない印象があります。それゆえ、リリースの瞬間からこのループ機能を用いる(そして以前から活用を徹底していた)嵐のデジタルの徹底っぷりに感服します。

 

嵐は今月はじまったAmazonの新しいサービスにも参加。

アレクサにおはようと呼びかけるとメッセージが登場するキャンペーンをはじめて活用したのはあいみょんさん。今月、アルバム『おいしいパスタがあると聞いて』のリリースタイミングで実施しています。

今週水曜にはシングル「Time Warp」をリリースしたPerfumeも行っていてAmazonにおける新曲プロモーションの大きな武器になりそうなこのキャンペーンに、嵐も参加したという形。Amazonもサブスクサービスを抱えており、これらサービスは自身の武器を活かした展開を行っていますが、Spotifyの映像ループといいこちらといい、嵐が新しいものをきちんと取り込んでいることが解ります。

 

さらに、サブスク再生回数増加と親和性の高いTikTokでも嵐は積極的に参加、そしてユーザーの参加を呼びかけています。ユーザーは参加することで「Whenever You Call」により浸かることができるのみならず、参加するために曲を聴くという行為も生まれますね。

 

スマートフォンといえば、嵐のハッシュタグも注目。海外の歌手によく見られる、ハッシュタグの後ろに専用の画像が付く仕様は「Whenever You Call」でも用いられており、今作ではミュージックビデオ等に登場する東京タワー、そしてメンバーの数と同じ5つの星が登場。

この専用画像、おそらくはTwitter社との協議が必要なはずで、デジタルリリースを計画的に行っている(ゆえに情報解禁時から画像が表示可能となる)ことが読み取れますし、SNS全体で曲を盛り上げようという意志も見て取れます。SNSの活用は、CDオンリーでリリースされた「カイト」とは真逆の積極的な動きです。

 

リリーススケジュール的には、金曜0時の解禁(公式オーディオの登場)→13時のミュージックビデオ解禁→21時の『ミュージックステーション』(テレビ朝日)生出演、という流れで、一日中話題を集めることに成功したと言えるでしょう。

さてひとつ気になるのは、「Whenever You Call」が公式オーディオとミュージックビデオが用意されながら、リリックビデオが出て来なかったこと。また『ミュージックステーション』では和訳が出てきませんでした。リリックビデオについては、デジタルシングルにおいてRebornシリーズ以外は用意されていなかったので「Whenever You Call」についても自然なことなのでしょうが、しかし「Turning Up」「IN THE SUMMER」と異なり全編英語である「Whenever You Call」において和訳を用意しないことは一見不親切にみえるかもしれません。実際、その不満を示した(おそらくは個人的な感情を社会的に正しいとすり替えたかのような)ネット記事が出て、一部のファンが賛同したのを目にしています。いわゆる”コレジャナイ”という指摘です。

「Whenever You Call」の歌詞は上記、Geniusに掲載されています。このサイトに歌詞が載ること自体、嵐が世界進出を行っている証拠と言えるでしょう。これは私見と前置きして書くのですが、全編英語にすることで、ファンの自発的な翻訳や解釈を促したかったのではないかと思うのです。事実、この曲の意味を知って感慨に浸る方が増えている印象があります。個人的に、「Whenever You Call」は嵐からファンの方々へのメッセージでありラブソングと捉えており、だからこそその思いを知ったときの喜びがより大きくなるべく、敢えて全編英語にして且つリリックビデオを用意しなかったのかもしれません。そして英語を聞き取ろうと(もしくは意味を知った上でさらに)何度となく聴こうとする流れが生まれるものと考えます。

 

 

一部私見が強く混ざった部分もありますが、嵐が「Whenever You Call」で行った様々な施策は、話題の高い次元での維持につながり、且つダウンロードや再生回数を伸ばすことにつながることは間違いありません。となると、ビルボードジャパンソングスチャートのみならず、先述した新たな2つのグローバルチャートでの高位置での登場も期待できるでしょう。ミュージックビデオのロケ地がBillboard Live TOKYOではないかと思われるため、尚の事ビルボード各種チャートで結果を残してほしいと思う自分がいます。

米ビルボードが新設した2つのグローバルチャートの特徴とは? ビルボードジャパンや日本の音楽業界に対する願いを合わせて記す

YouTube取扱に関するチャートポリシー変更のタイミングで、ビルボードジャパンのポッドキャスト宛に(”#ビルボードポッドキャスト”と付けて)質問したことについて。もしくは下記エントリーでも疑問を掲載し『文章化してほしい』と記しました。

そして昨日、ビルボードジャパンのチャート・ディレクターを務める礒崎誠二さんがその文章化の報告をアナウンス。非常に解りやすい内容となっています。

YouTubeデータの細分化と一部がストリーミング指標に組み入れられること、細分化されたものの詳細な説明が行われ、更に米ビルボードに倣い次年度初回(12月2日発表 12月7日付)からUGCについてカウントから除外することをアナウンスしています(代わりにUGCに関してば別途チャートを新設する予定)。自分が求めていた文章化が叶えられ、それも本当に解りやすい形で記載されていました。心より感謝申し上げます。

 

 

さて今回は、ビルボードジャパンのFacebookでも触れられていたグローバルチャートについて取り上げます。米ビルボードは今週、世界200以上の地域のデータを基に、グローバルソングスチャート(Global 200)およびグローバルソングスチャートから米を除いたチャート(Global Excl. U.S.)を新設しました。これらチャートは『主要デジタル・プラットフォームにおける定額課金型(サブスクリプション)と広告支援型の公式オーディオとビデオ・ストリーミング、そしてダウンロードにそれぞれ比重をつけて算出し、ランク付けしたもの』となります(『』は下記記事より)。

2つのチャートは200位まで用意されているものの、100位より下は米ビルボードの有料会員のみ見られる仕様に(ただし上記記事ではいくつかの順位が判明)。そこで無料会員でも確認可能な100位までをチェックし、米ビルボードソングスチャート(Hot 100)と比較してみましょう。

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左から順にHot 100、Global 200そしてGlobal Excl. U.S.。いずれも9月19日付であり、また今週Hot 100で29位に初登場を果たしたSZA feat. タイ・ダラー・サイン「Hit Different」がGlobal 200では36位に入っていることから、Global 200の集計期間はHot 100に準ずるものと考えます。Global Excl. U.S.では「Hit Different」は100位以内にランクインしていないものの、同チャートの”米を除外”という性質上このチャートの集計期間も同じであり、すなわち米における集計期間は9月4日金曜からの一週間だと思われます。

 

3つのチャートについては指標の比重が若干異なります。

広告支援型の公式オーディオやビデオストリーミングといったいわばユーザーが無償で享受できる分の比重が、Hot 100とGlobal 200では大きく異なり、Global Excl. U.S.では尚の事無償サービスの比重が軽くなっています。 

Hot 100においてはダウンロードと各種ストリーミングにラジオエアプレイが加わりますが他チャートは含まないため、Hot 100→Global 200ではカントリー曲が一層されます。ラジオエアプレイはデジタルに比べて上昇までのスピードが遅く一方では長く残りやすい、またヒップホップが強くなくカントリーが得意とする指標であるため、ラジオエアプレイの除外はカントリーにとって打撃と言えます。

またGlobal 200そしてGlobal Excl. U.S.は新設されたチャートであり、今後リカレントルールを敷くかは不明です。リカレントルールとは一定期間以上ある順位を上回って在籍し続けた曲がその順位を下回ればチャートから除外されるというもので、チャートに新しい曲がランクインしやすくばなるための措置なのですが、新設2チャートではHot 100で除外された曲が登場しているのが面白いところ。リル・ナズ・X feat. ビリー・レイ・サイラス「Old Town Road」やエド・シーラン「Perfect」、果ては「Shape Of You」の登場には驚かされます。ビルボードジャパンのソングスチャートではリカレントルールが存在しないため「Shape Of You」がチャートインし続け、疑問の声があったことを受けて以前下記エントリーをアップしたのですが、新設されたチャートを見る限りロングヒットを支えるのは日本だけではないことが判ります。

 

Global 200→Global Excl. U.S.においては、ヒップホップのランクダウンと、一方でラテンの上昇が特徴的。ラテンの躍進は昨日のビルボードジャパンによるランクイン歌手の地域別の割合で示されている通りです。

邦楽については、Global 200における100位以内のランクインがYOASOBI「夜に駆ける」(80位)のみだったのに対し、Global Excl. U.S.では同曲の37位を筆頭に複数ランクイン。米津玄師「感電」(46位)、YOASOBI「群青」(56位)、あいみょん「裸の心」(58位)、瑛人「香水」(79位)、NiziU「Makeyouhappy」(84位)と6曲が100位以内に入っています。『“Global Excl. U.S.”には9アーティストによる12曲がチャート入りしている』とあるため、101~200位には邦楽がさらに6曲入っていることが判ります(『』内は上記記事より)。Global Excl. U.S.は米での流行を最も差し引いたものであっても米英の強さが目立つのですが、歌手の出身別でみるとグローバルなラインナップであることが把握できますし、日本の歌手が入ることで世界における知名度向上にもつながるはずです。

Global Excl. U.S.では韓国の歌手も躍進していますが、100位以内のランクインはBTS「Dynamite」を皮切りに5曲と、日本より少ないのが印象的。とはいえ米チャートではその「Dynamite」や、BLACKPINKとセレーナ・ゴメスによる「Ice Cream」も入っており、K-Popは海外での成功で知名度が向上し世界中で聴かれるようになった印象があります。一方で邦楽については、ほぼ日本市場だけで売上を稼いでいると言えるでしょう。SpotifyにおけるBTSの200位以内ランクイン地域と(ランクインした歌手で最も多くの地域で聴かれている)YOASOBIのをみると、地域数の差に驚かされます。日本自体の市場は大きいものの、あまりに閉鎖的と言える状況が理解できるはずです。

 

 

今回新設された2つのチャートにおける願いを記すならば、どのようにデータが供給されているのかがまずは気になります。先に9月19日付3チャートは9月4日金曜からの1周間が集計対象期間だろうと推測しましたが、仮に日本のデータがビルボードジャパンで取りまとめたものによるものならば、ビルボードジャパンが9月9日に発表した9月14日付ソングスチャートが基礎になっており、その集計期間は8月31日月曜からの1週間。すなわち日本のデータにおいては4日分古いことになるわけです。またデータ供給元のいくつかがビルボードジャパンのFacebookで紹介されていますが、日本独自で展開するLINE MUSICやAWA等が含まれているのかが解りかねます。記載例の中に日本未展開のTIDAL等があるため、地域限定のサブスクサービスについても情報を拾い上げていると思われますが、集計期間の明確化共々この点についてもビルボードジャパンや米ビルボードで説明してほしいと願っています。

 

そしてもうひとつ。日本と海外ではリリース日が異なります。CDリリースに比重が置かれている日本ではそのCDリリースが基本的に水曜となっていますが、海外ではCD需要の減少とデジタルでの一斉配信化により数年前から金曜が標準的なリリース日となりました。ビルボードジャパンソングスチャートは構成8指標がすべて月曜を集計の起点としていますが、これでは集計期間の後半にリリースされる海外作品が不利になるだろうという懸念があります(そのことはここで幾度となく記載しています)。しかし今回のGlobal 200等の新設により、仮に日本のデータをビルボードジャパン発とすれば4日分”鮮度が落ちる”と言えるわけです。金曜リリース作品のインパクトを高めるためにも、ビルボードジャパンの各種チャートを金曜起点にすることはできないでしょうか。尤もこれはビルボードジャパンのみならずCDの比重が高いランキングを送出するオリコン、そして音楽業界全体が取り組まなければならない課題ではあるのですが、CDも金曜リリースで統一されればCDショップの土日の集客力は上昇するものと考えるゆえ、尚の事変更すべきと思うのです。

ちなみにその日本で未だに強いCDセールスは新設されたチャートから除外されました。米でもフィジカルは存在しますが、CD専門店が日本ほど存在せずフィジカルを売る場所も歌手のホームページやAmazon等であること、歌手のフィジカル販売ではCDよりもレコードやカセットテープが作られているだろうこと(たとえばBTS「Dynamite」はCDのみ制作されていません)、そして今年に入り流行したフィジカル施策を米ビルボードが10月以降実質無効化することもあり、CDはカウントから除外して然るべきとの措置を採ったのだと考えます。米ビルボードでは今年に入り、フィジカル施策を用いてソングスチャートの1位に初登場しながらも翌週には急落する状況が目立っていたことを踏まえれば、フィジカルセールスが大きく影響しすぎることがチャートの健全化を妨げると考えたとしてもおかしくないでしょう。そしてこのフィジカルに強い楽曲の瞬間風速的なヒットはビルボードジャパンソングスチャートとよく似ているかもしれません。日本においてはさらに、CDセールスが強い曲にはデジタル未解禁のものが多く、たとえば米ビルボードが新設チャートのプレイリストをサブスクサービス等に用意して、収録されていない曲がある、いわば”穴がある”とクレームが来る可能性があるでしょう。その穴の原因が日本のデジタルに対する後ろ向きな姿勢だと知れば、世界の方々はどう思うでしょうか。

ビルボードが新設チャートにおいてCDセールスを除外したことの詳細な理由、それに対するビルボードジャパンの考えを伺いたいと同時に、ビルボードジャパンソングスチャートの集計開始日の金曜への変更について願っています。

 

 

たとえば本日リリースされた嵐「Whenever You Call」が、日本時間の9月29日発表予定となる10月3日付米ビルボードGlobal 200そしてGlobal Excl. U.S.にランクインするものと考えます。仮にこの曲が上位に入ることがあれば、そしてその勢いが持続すれば、日本においてCDセールスに特化しすぎない、またデジタルでのセールスを前向きに検討する起爆剤となるのではないかと思いますし、それを期待したいところです。

9月21日付ビルボードジャパンソングスチャートでも目立つアイドル曲急落の理由とは、そしてNiziU「Make you happy」再燃から今後のヒントを探る

毎週木曜は、前日発表されたビルボードジャパン各種チャートの注目点を紹介します。

9月7~13日を集計期間とする9月21日付ビルボードジャパンソングスチャート(Hot 100)はYOASOBI「夜に駆ける」が8週ぶり、通算5週目の首位を獲得しました。

前回首位を獲得した7月27日付以降はSixTONES「NAVIGATOR」→嵐「カイト」→Sexy Zone「RUN」→Twenty★Twenty「smile」→関ジャニ∞「Re:LIVE」→JO1「OH-EH-OH」→STU48「思い出せる恋をしよう」と、全てアイドルグループが制覇。しかし翌週の順位は「NAVIGATOR」および「カイト」が7位にとどまった以外はトップ10をキープできず、前週首位の「思い出せる恋をしよう」に至っては100位以内にもとどまっていません。

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この急落は前週予想した通り、CDセールス加算初週に他指標が追いつかないためではあるのですが(ジャニーズ事務所所属歌手においてはダウンロードやストリーミング、曲によっては動画も未解禁であることからデジタル以外の指標に頼らざるを得ません)、さらに初週のCDセールスが前作の半分以下だったことが気になります。今週同指標を制し総合でも9位に入ったBOYS AND MEN「Oh Yeah」も同じ状況です。

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チャート構成比も前週のSTU48「思い出せる恋をしよう」同様にシングルCDセールスが全体の9割以上を占めていますが、CDセールスも「思い出せる恋をしよう」同様に前作から半減(「ガッタンゴットンGO!」の初週売上が115241枚(1月6日付)に対し、今週の「Oh Yeah」の売上は55996枚。リンク先はCDセールスの記事)。6月以降にCDリリースを再開したジャニーズ事務所所属歌手が新型コロナウイルスに伴う緊急事態宣言の発令以前と変わらないかもしくは売上を伸ばしている一方、ジャニーズ事務所所属歌手以外のアイドルにおける急落が気にるのです。

これは推測の域を出ませんが、メディア露出の多いアイドル(それこそジャニーズ事務所所属歌手はその代表格)以外においては、握手会やイベント等ファンとの密接な接触ができる機会をCDの特典として提供することをセールスの起爆剤としていたと思われます。それがコロナ禍により自粛せざるを得なくなったことで、接触ができなくなったことを嘆くファンがCD購入を止めたのではないかと。CDを売れば数十万のセールスが確実に見込める乃木坂46欅坂46が最新曲をデジタルでのみリリースしたことも、このことが背景にある気がします。

 

その背景ゆえでしょうか、先月以降LINE MUSICの再生回数キャンペーンが増加しているように感じていましたが、CDセールスが見込めなくなったことでデジタルにて補完するという動きの表れなのかもしれません。キャンペーンの商品がグッズであることが多く、より再生回数が多いとより当選確率がアップという文言が熱意を持った方の参加意欲を掻き立てるだろうことを踏まえると、アイドルやK-Pop等熱心なファンの多いジャンルとLINE MUSICの再生回数キャンペーンは相性が良いだろうことが考えられ、CDセールスを主軸としてきたアイドルの運営側がデジタル再生回数増加を狙うのは自然なことと言えそうです。

 

 

このLINE MUSICキャンペーンを巧く活用し、今週ステップアップに至れたのがNiziU 「Make you happy」。前週より順位を4つ上げ、7月13日付以来となるトップ3へ返り咲きを果たしました。

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総合ポイントは前週比121.3%と大きく伸びていますが、特に牽引したのがストリーミング指標。再生回数は前週比134%を記録しています。

上記記事にあるように、NiziUの初となるテレビ番組でのパフォーマンスが伸びた要因と言えますが、この前後にLINE MUSICにおける再生回数キャンペーンを投入したことが功を奏したはずです。

キャンペーン期間は9月7~13日、すなわち最新9月21日付ビルボードジャパンソングスチャートと完全に重なります。『THE MUSIC DAY』以外にも期間中にはNiziUをフィーチャーした番組が複数放送され彼女たちに注目が集まったわけですが、そのタイミングでキャンペーンを投入することでテレビ出演効果を最大化することに成功したと言えるでしょう。

LINE MUSICの再生回数キャンペーンは主に配信開始日を起点として行われている印象がありましたが、NiziU「Make you happy」からはキャンペーン開催期間に特段決まりがないことが判ります。アメリカではビルボードソングスチャートでの上昇を狙うべくピンポイントでiTunes Store安価販売が実施されることもあり(0.99ドルもしくは1.29ドルの通常価格を1週間のみ0.69ドルとして売り出す手法。ただし最新週で2位のBTS「Dynamite」は3週続けて0.69ドルとこれまでほぼみられない手法を用いています)、タイミングを見極めたキャンペーンの投入は今後増えていくのではないでしょうか。

 

元来NiziU「Make you happy」はCDリリースされていないため、CDセールスおよびルックアップを抜いた6指標で勝負をせざるを得ませんでしたが、接触指標群が安定したことで最新チャートでのストリーミング爆発に繋がったと言えます。今週はトップ10入りした曲のうちCD未リリースが6曲、しかもトップ3は全て未リリースであることから、所有指標をCDに頼らず且つロングヒットに至る曲の多さが伺えます。今日の前半で紹介したアイドルについては(そして所有指標が安定するジャニーズ事務所所属歌手の作品においても言えますが)、CDセールスに頼らず如何に存在感を出し、総合的な売上面でコロナ禍以前と変わらぬ状況を築き上げていくかの真価が問われていると感じます。今回のNiziU「Make you happy」の動向が何かしらのヒントになるのではないでしょうか。