イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

Eve「廻廻奇譚」、ミュージックビデオの公開タイミングに唸る

ビルボードジャパンソングスチャートは本日集計分より2021年度がスタート。2020年度の年間チャート発表は12月4日金曜午前4時となります。社会的なヒットの鑑たるこのチャートの発表に、注目しない理由はありません。

 

さて、2021年度からビルボードジャパンソングスチャートは一部が変更に。その内容とは、UGC(ユーザー生成コンテンツ)の加算を動画再生指標およびストリーミング指標から除外するということ。米ビルボードソングスチャートでは9月にUGCの加算を取り止めており、日本も追随する形です(ただしFacebookの記載内容には『予定です』とあるため、チャートポリシー変更を見送る可能性もゼロではないですが)。

となると、たとえば”歌ってみた”や”踊ってみた”等の動画の再生回数が直接寄与しなくなることで、本日からの1週間を集計期間とする12月7日付ビルボードジャパンソングスチャート(12月2日発表予定)では比較的大きな変化が生まれることでしょう。その動向を追いかけたいと思います。

 

 

さて、ビルボードジャパンソングスチャートにおいて現在好調に推移しているのがEve「廻廻奇譚」。10月3日にリリースされた、テレビアニメ『呪術廻戦』(毎日放送・TBS)のオープニングテーマとなる「廻廻奇譚」は主にダウンロードが牽引し、リリース週から7週連続でビルボードジャパンソングスチャート100位以内にエントリーを果たしています。12月23日にはアニメ映画『ジョゼと虎と魚たち』主題歌「蒼のワルツ」も収録したEPをリリースすることで、人気がさらに拡大することが予想されます(なおそのEP『廻廻奇譚/蒼のワルツ』は7曲入りでありアルバムとしてカウントされる可能性が高く、そうなればソングスチャートにおいてシングルCDセールスおよびルックアップは加算されません)。

この「廻廻奇譚」、ミュージックビデオは11月20日金曜に公開されたばかり。

この動画がビルボードジャパンソングスチャートの動画再生指標に含まれるのは11月30日付(11月25日発表予定)における集計期間後半3日分以降。ですが、下記チャート推移(CHART insight)を見ると赤で示される動画再生指標では既に100位以内に登場、それもこの3週は安定して推移しています。

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つまり、ミュージックビデオ以外の作品が動画再生指標を牽引していることになるのです。

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YouTubeで”廻廻奇譚”と検索した結果が上記(11月23日6時現在)。TOHO animation チャンネルによる動画(→YouTube)が3番手となり、ひとつ上には"someone i"というチャンネルにアップされた動画が登場します。

Eve「廻廻奇譚」のCHART insight(→こちら)に貼られている動画はこの"someone i"というチャンネルのものであり、ともすればこの動画が公式より早く(それどころか発売日にに)解禁されたことも、「廻廻奇譚」の動画再生増加の一助になったものと考えられます。おそらくはこの動画はUGCであり、となれば12月7日付ビルボードジャパンソングスチャート以降は動画再生指標にカウントされないことになりますが、公式ミュージックビデオが公開されたことで橋渡し的な役割を果たしたと言えるかもしれません。

 

 

UGCについては先に紹介したビルボードジャパンのFacebookページでの解説、およびビルボードジャパンによるポッドキャストでの解説(をブログに起こしたもの)をご覧ください。

Eve「廻廻奇譚」はビルボードジャパンソングスチャートのチャートポリシー変更直前という絶妙なタイミングでミュージックビデオを公開したことになるわけです。狙ったかどうかは不明ですが、そのタイミングの巧さには強く感心させられます。

BTS『BE』収録曲は日米&グローバルソングスチャートで100位以内にランクインする? その動向を追いかける

BTSのニューアルバム『BE』が20日金曜にリリースされました。同日公開された、アルバムからのリード曲「Life Goes On」のミュージックビデオには、ファンを中心に称賛の声が多くあがっています。

先行曲「Dynamite」は米ビルボードソングスチャートで自身初の首位を獲得し、2ヶ月に渡ってトップ10入り。BTSの所有指標の強さについては米チャート動向を追いかけている弊ブログで紹介している通りですが、「Dynamite」がラジオエアプレイで自身初のトップ50位以内に入ったことで、BTSは米において次のフェーズに入ったと言えるでしょう。一方でアメリカ以外の海外ではより接触指標に長けておりロングヒット中。日本でも「Dynamite」はストリーミングや動画再生指標が牽引し、ビルボードジャパンソングスチャートでは最高2位、さらに13週連続でトップ10入りを果たしています。ビルボードジャパンソングスチャートでのチャート推移(CHART insight)は下記に。

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こうなると注目は、先行曲やリード曲を含む『BE』収録曲のチャート動向。先述の通り米では所有指標に長けているBTSですが、接触指標でも上位をキープできれば収録曲すべてが米ビルボードソングスチャート100位以内に入ることも予想されます。というわけで、日米、そしてグローバルのSpotifyの動向をチェックします。

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アルバムリリースは日本時間の20日14時となり、日本のデイリーチャートでは同日の再生回数がいささか不利になるものと考えましたが、「Dynamite」は11月15日日曜以来となる30万台を突破し、LiSA「炎」からおよそ1ヶ月ぶりに首位の座を奪還しています。また収録曲は最も低い「Skit」でも68位ゆえ、勢いをキープすれば日曜まで全曲100位以内をキープする可能性は十分です。

日本では月曜以降200位以内に入っていた曲の多くが金曜に上昇。一方で日本オリジナル曲の3曲のうち「Stay Gold」「Lights」の20日の再生回数は前日からダウンしており、アルバム効果があまり反映されていない可能性があります。尤もこの動向は、翌週までチェックした上で判断する必要があります。

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アメリカおよびグローバルでは『BE』収録曲の勢いがより凄まじく、米では「Skit」(63位)を除けば最も低い「Stay」が23位、グローバルではその「Skit」が21位に登場。米ビルボードでは日本時間の12月1日発表予定となる12月5日付ソングスチャートで、「Skit」以外が100位以内に登場する可能性を秘めています。また米ビルボードが9月に新設したグローバルソングスチャート(12月5日付)ではより高い位置に登場することでしょう。このタイミングで、グローバルのSpotifyデイリーチャートではこれまでのヒット曲が再浮上を果たしています。

 

(なお、グローバルのSpotifyデイリーチャートで、BTSのSUGAが参加したMAX「Blueberry Eyes」がダウンしているのは個人的には残念です。9月リリースの新曲における私的トップ10ソングスプレイリストで4位に選んでいるほど素晴らしい曲ゆえ。またMAXはgnash(ナッシュ)との「Lights Down Low」も素晴らしい曲ですので、BTS経由でMAXやgnashにも注目が集まって欲しいと思っています。ちなみに、gnashについては昨日、Real Soundに記事を寄稿しました。「Lights Down Low」の見事なミュージックビデオも確認できますので是非→TikTok発信の新たな台頭 gnash「imagine if」の多角的な波及が導く、日本でのさらなるヒット - Real Sound|リアルサウンド(11月21日付))

 

日本やアメリカ、そしてグローバルソングスチャートでアルバム『BE』の収録曲のうち大半、もしくは全曲が100位以内エントリーを果たすと見込まれるのは、アルバムそして歌手自身に勢いのある証拠。その動向を注視して行こうと思います。

ちなみに、日本のチャートにおける注目点は他にも。

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日本におけるチャート推移(CHART insight)から、総合およびカラオケ指標を抜き出したものが上記。実は「Dynamite」、カラオケ指標が10月19日付で300位以内に初めてランクインを果たすと、11月16日付では初の100位以内(86位)に登場しています。洋楽のカラオケ指標300位以内登場は、日本でドラマ主題歌に起用されたことで総合7位を記録したビリー・アイリッシュ「Bad Guy」(CHART insightはこちら)でも果たせなかった快挙であり、如何に日本で浸透しているかが解ります。この点においても、BTSは日本においてさらなるステップアップを果たせたと言えるでしょう。

10月の首都圏ラジオ局聴取率調査結果、TBSラジオの単独首位が報じられない問題への疑念

10月19日から一週間にかけて行われた首都圏ラジオ局の聴取率調査は、TBSラジオが単独首位を獲得しました。前回はニッポン放送およびJ-WAVEと同率でしたが、突き放した形です。しかし、この件をきちんと報じたニュースメディアが未だない模様です。

Twitterにて”聴取率”で検索すると上位に出てくるのはこれらのニュースメディアによる記事。

他にもライブドアニュースが報じていますがこちらの出典元はオリコン。各メディアの表現はタイトルこそ差があれど、使用する写真も含め内容が似通っています。オリコンはさらに別記事でもニッポン放送の好調な番組を取り上げていますが、その一方でオリコンマイナビニュースさらにライブドアニュースのいずれにおいても、TBSラジオが局として聴取率トップに立った事実を伝えていないのです(11月21日6時現在)。

 

この報道の偏り問題については以前も指摘しています。つまり、『おそらくニッポン放送側から出るソースをほぼそのまま流している点において客観性に欠けている』のです(『』内は下記ブログエントリーより)。

 ニッポン放送の番組単位での好調っぷりを紹介してはいけないということではありません。聴取率について取り上げるならば、局として首位に立ったTBSラジオをきちんと記事しないとフェアではなく、偏っていると捉えられてもおかしくないのです。

たとえばTBSラジオの単独トップを報じた文化通信.comの発表は先に紹介したオリコン等記事の翌日(19日)であるため、先のニュースメディアはいち早く紹介したニッポン放送の情報を我先に紹介したかったのかもしれません。仮にニッポン放送が、聴取率の本来の発表がその19日だと設定されていたもののフライングで発表したのだとしたら、それもまた問題です。

 

先月のブログではTBSラジオの情報発信力の強化も必要と書きましたが、これはその強化以前の、ニッポン放送の情報のみを流すニュースメディアの問題です。実際、使われている写真も同じであり、おそらくニッポン放送の情報をただ流す形となっているのかもしれませんが、与えられた情報をただ紹介するだけのものが果たして報道と言えるでしょうか。ラジオについて取り上げる姿勢があるならば、たとえばInterFM897の11月改編問題についても大きく取り上げなければならないはずです(経営体制の変更は一部で報じられてはいましたが)。

同様に、これは何度も申し上げていることですが、ビデオリサーチ社がきちんと局や番組単位での聴取率をきちんと発表しないといけないでしょう。このままでは、聴取率でトップではない局が好調な番組だけを抽出しいち早く発表することで局としても聴取率で勝った印象を与えられるという事態が続いてしまうのではないでしょうか。

サブスク等を機にチャート急上昇中、優里「ドライフラワー」は次なるブレイク筆頭候補に

一昨日発表された11月23日付ビルボードジャパンソングスチャートで、平井大「Stand by me, Stand by you.」が初のトップ10入りを果たしました。ポイントは前週から1.6%の微増ではありますが、7週連続の上昇。今週日曜に次なるブレイクは確実? 平井大「Stand by me, Stand by you.」に注目というエントリーを書きましたが、平井大さんの今後のメディア露出がこの曲を軸に展開すれば、さらなるヒットが予想されます。

 

そしてこの「Stand by me, Stand by you.」に続くブレイクとなりそうなのが、優里「ドライフラワー」。

2週前に93位へ初登場を果たすと、39→16位と上昇。今週のポイント前週比は80%の特大アップとなり、ストリーミング(9位)および動画再生(18位)という接触指標群が牽引しています。このストリーミングの上昇については、ビルボードジャパンが同指標のチャート記事にて取り上げています。

前週35位から当週9位にジャンプアップしたのは、優里の最新曲「ドライフラワー」。10月25日に配信された同曲は、当週41位で26週連続チャートインを果たした自身の楽曲「かくれんぼ」の“アフターストーリー”を描いた新曲で、チャートイン3週目をマークし、前週比185%となる4,428,680回再生を記録した。

ストリーミングで驚異的な伸びをみせる「ドライフラワー」。TikTok発のヒットはYouTube共々、サブスクサービスの中でも若年層の支持を集めるLINE MUSICにまずは飛び火しますが、一方でヒットの動きがLINE MUSICに比べて保守的といえるSpotifyでも、今週に入り驚きの動きをみせています。

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ドライフラワー」は11月1日に200位以内へ初登場を果たすと、11月16日月曜には初の10万台に突入、さらに翌日は前日から3万近く伸ばしています。日曜から月曜にかけては再生回数がダウンすることが通常であるため、この急上昇は特筆すべきものがあります。サブスク全体でヒットの気流に乗ったであろうことが、このSpotifyの動きから解るかもしれません。

 

さて、ビルボードジャパンの記事で登場した「かくれんぼ」は昨年12月にインディよりリリースされた初の配信シングルで、TikTok等で評判となった曲。こちらも主にストリーミングが上昇し、ビルボードジャパンソングスチャートでも長期エントリーを果たしています。

この曲が評判を呼び、優里さんはYouTubeの人気チャンネル”THE FIRST TAKE”に登場。7月に「かくれんぼ」を(コロナ禍の状況下に伴う”THE HOME TAKE”として)、そして先月末に「ドライフラワー」を披露しました。

THE FIRST TAKEはおそらくソニーミュージックによる運営ゆえ、8月にソニー・ミュージックレーベルズよりメジャーデビューを果たした優里さんが同チャンネルに出演したものと考えます。とはいえメジャーデビュー曲となる「ピーターパン」ではなく「ドライフラワー」を披露したところに、売り出しの巧さを感じる自分がいます。

 

今年は瑛人「香水」やYOASOBI「夜に駆ける」等、メジャーレーベルに頼らない曲がTikTok等を発として大ヒットを遂げました(尤もYOASOBIはソニーミュージックのバックアップがありましたが)。その後もこれらの曲に続けとばかりに様々なスマッシュヒットが生まれていますが、それらが「香水」や「夜に駆ける」ほどの大ヒットに至れなかったのはラジオエアプレイの強くなさが原因のひとつとして挙げられます。TuneCore JapanやBIG UP!等の配信代行サービスが台頭していますが、おそらくこれらサービスにはラジオ局への働きかけが入っていないことが、広く世間へ認知させることに繋がらず社会的なヒットにまで至れないのではというのが自分の見方です。一方では、ラジオ局や番組の流行へのアンテナ(感度)にも疑問を抱くのですが。

その点において、優里「ドライフラワー」は一歩抜け出しそうな気配があります。

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チャート推移(CHART insight)でここ3週、ラジオエアプレイ(緑の線で表示)が100位未満ながら300位以内に入り加点対象に。未だ高い状況とは言えませんがしかし、少しずつメディアでの足がかりをつかんでいると言えるでしょう。おそらくはヒットした「かくれんぼ」のアフターストーリーという曲の位置付けがメディアでより紹介されやすい状況にあるとも言えますし、無論メジャーレーベルのラジオ対策もあるはずです。

 

 

16日には、「ドライフラワー」の双方の動画が300万再生を突破したことを優里さんがアナウンスしています。

メジャーデビューしたことでメディア露出が増え、且つメディア展開が巧くなることで、「ドライフラワー」は一歩抜きん出る存在となるかもしれません。その動向に注目です。

LiSA「炎」のロングヒットを支えるのは接触指標だけにあらず…11月23日付ビルボードジャパンソングスチャートを掘り下げる

毎週木曜は、前日発表されたビルボードジャパン各種チャートの注目点を紹介します。

11月9~15日を集計期間とする11月23日付ビルボードジャパンソングスチャート(Hot 100)、LiSA「炎」の5連覇を阻んだのはSixTONES「NEW ERA」でした。

初週CDセールスは前作「NAVIGATOR」からおよそ20万ダウンするものの、ポイントは51273→45793となりそこまで大きく落とすことはありませんでした。これはルックアップがチャート構成比のおよそ3割を占め、購入者のパソコン等への取り込みの高さ等が影響しているためと思われます。上記リンク先の記事では、首位を獲得したシングルCDセールス、ルックアップおよびTwitterを『コアファンの熱量が色濃く反映する3指標』と形容しており、ルックアップはレンタル以上に購入者による取り込みが大きいと捉えていると言えるでしょう。

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ラジオエアプレイも3位と好調な「NEW ERA」ですが、気になるのは動画再生指標。前週より上昇し40位に入りましたが、3週前の初登場時(13位)より順位を落としています。今回の集計期間中に『CDTVライブ!ライブ!』(TBS)や『ミュージックステーション』(テレビ朝日)に登場しライト層へも楽曲の認知度が高まっただろうものの、そのライト層のアクセスがそこまで多くなかった等が予想されます。これは今週月曜に記した内容の、ある種の証明になったと捉えてよいのかもしれません。

「NEW ERA」の次週の動向が気になります。前作「NAVIGATOR」は首位獲得の翌週、前週比18.0%となる9234ポイントとなり7位へダウンしています。

 

 

一方で5週連続の首位は逃したものの、LiSA「炎」は俄然好調をキープ。前週比90.1%となる27910ポイントを獲得しました。

今週も指標の前週比は【所有<接触】。シングルCDセールスが前週比71.8%、ダウンロードが同75.1%に対し、ストリーミングは同92.9%となりポイント全体の前週比を上回っています。これは首位登場以降共通の傾向であり、接触指標がチャートの勢いをキープするのに貢献していることが見て取れるのです。

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そして3週連続でチャート構成8指標すべてが10位以内に入るという快挙を達成(10位以内の指標は上記表で色付きにて表示)。次週が2020年度最後の週間チャートとなりますが、獲得ポイントを踏まえれば首位登場からわずか6週での年間チャートトップ10入りも十分あり得るわけで、「炎」の凄まじさがよく解ります。

 

なお、「炎」は所有指標でも勢いが持続。特にCDセールスは、加算5週目となる今週の売上が初週の25.3%となっています。この指標に長けているのがアイドル歌手の作品ですが、一方でその売上が初週に集中する傾向が。たとえば今年6月以降におけるジャニーズ事務所所属歌手のシングルCD売上推移をみると、加算2週目の段階で全作品が初週の7%以下に。

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先程は「炎」について、接触指標がチャートの勢いをキープするのに貢献していると書きましたが、所有指標の好調もロングヒットを間違いなく担っているのです。無論『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の影響は大きいものの、接触指標群の充実が”やっぱりCDを買おう”という所有行動を促した可能性は十分あるはずです。

今年の『NHK紅白歌合戦』出場歌手選考方法や出場/落選歌手に関する私見(8+1)

16日月曜、今年の『NHK紅白歌合戦』(以下、紅白)出場者が発表されました。

近年の紅白からは、社会的なヒット曲をきちんと拾い上げる姿勢が見て取れます。特に昨年はOfficial髭男dism、King Gnu、LiSAさんそして菅田将暉さんの初登場が顕著な例であり、「白日」「まちがいさがし」はCDセールス自体行っていないゆえ、(CDセールスに特化したランキング以上に)ビルボードジャパンソングスチャートをきちんと参考にしているという姿勢がはっきりと伺えます。このチャートが社会的なヒットの鑑になってきていると捉える身には、紅白スタッフが間違いなくビルボードジャパンソングスチャートを汲んでいると実感しますし、また「Pretender」「紅蓮華」のCDセールスが数十万規模に達しないとしても彼らの出場をおかしいと指摘する声がほぼ聞こえなかったことから、広く世間にも複合指標に基づくチャート(およびその重要性)が無意識のうちに浸透しているのではと考えます。

 

その紅白の選考基準、今回に関してはこのように記されています。

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(選考について | 第71回NHK紅白歌合戦より。URLが71回と限定されたものではないため、今後選考方法が変更される可能性を踏まえてキャプチャを実施しました。問題があれば削除させていただきます。)

複合指標から成るビルボードジャパンソングスチャートは今年の活躍に該当します。また紅白には番組独特の出演者(傾向)が存在しますが、これは世論の支持を反映させた結果と言えるでしょう。

 

それらを踏まえ、現段階で今年の紅白における気になる点を挙げてみます。

 

① YOASOBIが出演者にクレジットされていない事態

今年の紅白、初登場は10組となりました。

ここにYOASOBIの名はありません。

昨年リリースされたデビュー曲「夜に駆ける」はビルボードジャパンソングスチャートで通算6週首位を獲得し、年間1位が確実とみられます。また彼ら自身が紅白出演を切望する姿勢を『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日)等で示しています。チャートを考慮する紅白、オファーがあれば断るはずがないYOASOBI…にも関わらず、なのです。

とはいえ、追加出演として発表されるのではというのが私見。1月6日には初のEP『THE BOOK』がフィジカルでもリリースされるため、紅白出演が売上アップのステップになることは確実。おそらくは紅白を初のパフォーマンスの場と位置付けているため、今出演をアナウンスすれば他の番組に無礼に当たる(既にオファーを断っているため、紅白出演をこの段階で発表してしまえば道理が通らない)ゆえにアナウンスできないのではないかというのが自分の予想です。

実際、ファンとのエンゲージメントを人一倍大切にし、またライト層の取り込みにも長けた彼らが、紅白出演者発表以降のツイートにおいて一切紅白について言及していないのは不自然でしょう。あれだけ紅白を切望していたのですから、落選ならば夢が叶わなかったため来年頑張る等の決意表明が行われるはず。ならば、実際は既に決まっているゆえ落選のアナウンスができないと捉えるのが自然だと思うのですが、考えすぎでしょうか。

なお「夜に駆ける」はカラオケでも14週連続で2位を記録しており、世間へは十分浸透していると言えます。

 

② NiziU、櫻坂46…正式デビュー前ながら初出場

NiziUについては、プレデビューと銘打ったミニアルバムからのタイトル曲「Make you happy」がビルボードジャパンソングスチャートで最高2位、現段階で19週連続トップ10入りを記録しており社会的ヒットと言えます。一方で、NiziUの正式デビューシングル「Step and a step」リリースの翌週に「Nobody's fault」でCDデビューを果たす櫻坂46は、改名前の欅坂46として今年リリースしたのがベストアルバムのみ。アルバムはビルボードジャパンアルバムチャートで初登場首位を獲得しましたが、純然たる新曲は12月までありません。なお、ミュージックビデオは先週発表されています。

NiziUと櫻坂46の出場において、前者は適切、後者に若干の違和感というのが率直な私見ですが、櫻坂46は欅坂46時代の世論の評価も加味されているものと考えます。

 

ジャニーズ事務所所属歌手は7組、他の男性アイドルは全滅

SixTONESおよびSnow Manの選出は適切でしょう。デジタルで解禁されていない、YouTubeにアップされたミュージックビデオがショートバージョンという点は気になりますが、CDセールスはセカンドシングル以降も好調に推移しています。

ジャニーズ事務所所属歌手の作品で他に群を抜いてヒットしているのが嵐「カイト」およびKing & Prince「Mazy Night」。無論、他の出場歌手もCDセールスは初週20万前後を売り上げていますが、個人的にはDISH//「猫」のほうがよりヒットしていると考えています。「猫」はビルボードジャパンソングスチャートにおいて現段階までにオリジナルバージョンで8万ポイント以上、THE FIRST TAKE ver.で8万7千近いポイントを獲得しているのです。これは、シングルCDセールス加算2週目に急落する傾向が高いアイドルソングでは異質のロングヒットゆえの賜物であり、年間チャートでの上位進出も予想されます。

ビルボードジャパンソングスチャートは米ビルボードとは異なり様々なバージョンを合算しないため、ヒットが可視化されにくいという側面はあったでしょうが、それぞれのバージョン自体ヒットの水準に達していると言えるはず。DA PUMP三浦大知さんに大ヒットといえる曲が生まれなかったゆえ選外となったことはやむなしかもしれませんが、DISH//の活躍は男性アイドル曲で今年五本の指に入るだろうと考えるため、また曲提供したあいみょんさんが出演するならばその共演が叶わないという意味でも尚の事、DISH//の選外は強い疑問を覚えます。

 

④ オリジナルアルバムの大ヒットが考慮されていない可能性

期待を込めて”今のところ”と前置きしますが、米津玄師さんの名がありません。今年ドラマ主題歌の「感電」をヒットさせ、収録アルバム『STRAY SHEEP』がCDだけでもミリオンセールスを記録している状況にも関わらずです。

さらにはKing Gnuの落選も腑に落ちません。ビルボードジャパンの年間アルバムチャートで『CEREMONY』がトップ3に入るだろうことを踏まえれば、アルバムから「Teenager Forever」を披露して何ら差し支えないはずです。

紅白の人選からは、オリジナルアルバムが重要視されていない姿勢がみえてきます。昨年『瞬間的シックスセンス』がビルボードジャパン年間アルバムチャートでトップ10入りを果たし、ソングスチャートでもヒットを連発したあいみょんさんが選ばれなかったことも、その象徴と言えるでしょう。

他方、ベストアルバム関連ではJUJUさん、MISIAさん、鈴木雅之さん(企画盤の意味合いが強いですが)、BABYMETAL(12月23日リリース)、櫻坂46(欅坂46時代に)等がリリース。ベストアルバムのヒットも重要ですが、やはり【オリジナルアルバム<ベストアルバム】という姿勢が透けて見えるかのよう。個人的に、この姿勢は日本の音楽業界全体の問題だと考えており、ベストアルバムがサブスクの台頭(イコールプレイリストの充実)と共にヒットやリリースしにくくなる可能性を踏まえれば尚更です。

 

⑤ 年末年始リリース作品の宣伝の場になっていないかという懸念

先述したNiziUや櫻坂46のデビューシングル、BABYMETALのベストアルバムのみならず、復活出場となるMr.Children(12月2日発売『SOUNDTRACKS』)や連続出場の福山雅治さん(12月8日発売『AKIRA』)がオリジナルアルバムを12月にリリース。さらに元日には瑛人さんのファーストアルバム『すっからかん』が予定されていますが、尤もNiziU「Make you happy」や瑛人「香水」は大ヒット曲であり出場は自然なことと考えます。

紅白は2010年代に入り、おそらくはビルボードジャパンソングスチャートの採用および同チャートの認知度拡大、また大物歌手の相次ぐ登場により、出演することがイコール格好悪いという見方はほぼなくなったものと考えます。また中島みゆき地上の星」のオリコンシングルCDセールスランキング首位獲得等、出演後に(さらなる)ヒットを記録する作品が目立ちます。ならば出演しない理由はないというのが今の音楽業界におけるスタンダードな考え方だと捉えています。

とはいえさすがにリリースがなかったり、あったとしても十分なヒットに至れていない状況で、仮に年末年始リリース作品の宣伝という意味合いを強く持ち合わせて出場するならば強い違和感を覚える自分がいます。何かしらの実績があるに越したことはないでしょう。

 

AKB48落選…CDセールスのみ強い曲はヒット曲ではないという音楽業界の転換点

AKB48の紅白出場が途切れたことについては、紅白のみならず音楽業界にとってひとつの転換点と言えるでしょう。

今年はコロナ禍の影響でイベント等がままならなかったこともあってか、アイドル等CDセールスに長けた(もしくは頼った)歌手のリリースが滞ったのは事実。そんな中でAKB48が今年唯一リリースした「失恋、ありがとう」は3月30日付のビルボードジャパンソングスチャートで首位を記録。同週のCDセールスは1414077枚となり、今年最大の週間セールスを叩き出しています。

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とはいえ大事なのは、このヒットが持続しなかったという点。坂道グループでは乃木坂46が「しあわせの保護色」(4月6日付)で、日向坂46が「ソンナコトナイヨ」(3月2日付)で首位を獲得していますが、坂道グループとAKB48の動向を比較すると首位獲得前週の順位や首位獲得翌週の順位およびポイント前週比、そして首位獲得週における各構成指標のトップ10入り数に大きな差が出ていることが解ります。とりわけAKB48「失恋、ありがとう」は首位獲得週においてストリーミングおよび動画再生が100位はおろか300位以内にも入っていません。これら接触指標群はロングヒットの要となり、世間への認知度をより強く示すものと言えるわけで、この指標に弱い曲はCDセールスがいくら長けていたとしてもイコール大ヒットとは言えないと捉えられてもおかしくありません。

紅白はAKB48を落選に至らせたことで、”ミリオンセールスを獲得した曲が必ずしも大ヒットとは限らない”という姿勢を示したと言えます。この決断が、日本の音楽業界が売上絶対主義という考えを改める歴史的な転換点だと捉えるのは、決して大袈裟なことではないはずです。

 

BTS、TWICE…K-Popアクトの不出場

TWICEの落選はNiziUがその役割を担ったと捉えるのが自然なのかもしれませんが、しかし共演という手段もあったのではないかと。コロナ禍で日本に行きにくい状況ゆえ難しいのかもしれませんが。

そしてBTSについては、今年「Dynamite」が全世界のチャートを席巻。米ビルボードソングスチャートでも、(所有指標が強すぎたとはいえ)これまでにないロングヒットに至っています。 日本向けオリジナル作品をリリースしていること、「Dynamite」が日本でサブスク再生回数に基づくストリーミングを中心に大ヒットしたことを踏まえれば出場資格は十分だったと考えます。コロナ禍、さらにはスケジュールの都合等で打診したものの叶わなかったという状況かもしれませんが。

 

⑧ 2枠減の演歌・歌謡曲界が考えるべきこと

丘みどりさん、島津亜矢さんが落選し、演歌・歌謡曲歌手の枠は2枠純減。演歌・歌謡曲についてはビルボードジャパンソングスチャートでシングルCDセールス以外に長けた指標が見当たらず(ルックアップのCDセールスとの乖離も象徴的)、デジタルへの移行等様々な遅れにより広範囲の年代への拡大が進んでいない印象があります。

いや、演歌や歌謡曲業界的には中高年の取り込みが重要ゆえシングルCDセールス以外の指標を重視しなくても好いと業界内で捉えているのかもしれませんが、コロナ禍でイベント等が開催できない状況では演歌・歌謡曲業界も間違いなくその影響を受けているはず。この2枠減がコロナ禍の影響によるセールスの低下を踏まえた結果であるとするならば、シングルCDセールスに頼らないヒットを作ることは急務でしょう。

 

 

最後に、大前提の話とはなりますが。 

⑨ ”紅白”という分け方自体の違和感

そもそも論として紅組/白組という隔たりは必要なのかと思うところがあります。紅白というシステムがジェンダーへの認識に長けているとはいえない日本の象徴と考えるのは流石に大袈裟かもしれませんが、昨年のMISIAさんによる素晴らしいパフォーマンスが一石を投じながらもその意義がまったくと言っていいほどスタッフや上層部に浸透していない気がするのは気のせいでしょうか。

 

 

 

以上8+1のポイントを提示しましたが、如何でしょうか。

今後、新たな出演者発表が行われる可能性があり、そこにYOASOBIや米津玄師さん等の名が出てくることを願います。また今年はコロナ禍を踏まえた紅白となるわけで派手な演出等は難しいかもしれません。ならば、歌をきっちり魅せるという姿勢を大切にし、ワンコーラスやワンハーフではなく長尺で(特にヒットした曲はフルコーラスで)披露していただくよう、演出については願うところです。

リミックス効果で「Mood」がほぼ完勝した11月21日付米ビルボードソングスチャート、ラテンミュージックが強いグローバルチャートのトップ10をチェック

ビルボードソングスチャート、現地時間の11月16日月曜に発表された最新11月21日付ソングスチャート(Hot 100)。24Kゴールデン feat. イアン・ディオール「Mood」が通算4週目の首位を獲得しました。

2位をキープしたアリアナ・グランデ「Positions」はストリーミングが前週比17%ダウンの2120万(同指標3位)、ダウンロードが5000(同指標22位。記事には前週比記載なし)、ラジオエアプレイが前週比14%アップの3160万(同指標21位)であるのに対し、「Mood」はストリーミングが前週比32%アップの2530万(同指標1位)、ダウンロードが同86%アップの13000(同指標2位)、ラジオエアプレイが前週からほぼ1%アップの8500万(同指標1位)となり、「Positions」を大きく引き離すどころか完勝に近い状況となっています。これはデジタル2指標の集計期間初日となる6日に、ジャスティン・ビーバーとJ. バルヴィンを迎えたリミックスを新たにリリースしたゆえ。ただし曲の獲得ポイントにおけるジャスティン・ビーバーおよびJ. バルヴィン参加版のシェアがオリジナルを上回っていないため、チャート上のクレジットは24Kゴールデン feat. イアン・ディオール(名義)となっています。

 

6日リミックスリリース案件でいえば、ジャスティン・ビーバー feat. チャンス・ザ・ラッパー「Holy」が前週から4ランクアップし7位に。こちらはアコースティックバージョンが新たにリリースされたことが影響しています。ストリーミングおよびダウンロードの数値の記載はないためその影響の大きさは解りかねますが、ラジオエアプレイは前週比8%アップの4810万となり同指標10位に上昇。ラジオエアプレイのトップ10ヒットはジャスティン・ビーバーにとって16曲目、チャンス・ザ・ラッパーは3曲目。ちなみにチャンス・ザ・ラッパーにおいてはDJキャレドとジャスティン・ビーバーのコラボレーション曲(「I'm The One」(2017 5位)、「No Brainer」(2018 8位))への参加に次ぐトップ10入りとなり、すべてジャスティン・ビーバー関連曲での登場となります。

「Mood」「Holy」ともにリミックスの加勢でさらに勢いづいていますが、この2曲は以前ブログエントリーで紹介しています。

ここで取り上げたもう1曲、マルーマ「Hawái」へのザ・ウィークエンド参加版も存在感を発揮し、「Hawai」は前週の60位から12位へ上昇。曲のポイントにおけるリミックス版のシェアがオリジナルを上回ったことで、「Hawai」のクレジットはザ・ウィークエンド客演参加版となっています。マルーマはHot 100で自己最高位を更新しました。

 

ザ・ウィークエンドといえば、「Blinding Lights」が1ランクダウンしながらも5位に入り、トップ5ランクイン記録を歴代最長の33週に伸ばしています。またトップ10入りは39週となり、遂にポスト・マローン「Circles」(2019-2020)に並ぶ歴代最長タイとなりました。次週、この記録の更新がかかっています。

ロングヒットといえば、ギャビー・バレット feat. チャーリー・プース「I Hope」が遂に3位に到達。ストリーミングは前週比14%アップの980万(同指標30位)、ダウンロードは同81%アップの9000(同指標6位)、ラジオエアプレイは同2%ダウンの7810万(同指標2位)となり、ラジオエアプレイ以外が伸びています。これは集計期間中にABCで放送された第54回カントリーミュージック協会賞(CMAアワード)でふたりによるコラボレーションが披露されたため。Hot 100登場46週目にしてトップ3入りを果たし、イマジン・ドラゴンズが「Radioactive」(2012-2013)で打ち立てた記録を3週上回りました。

こちらもロングヒット関連。10位にはポップ・スモーク feat. リル・ベイビー & ダベイビー「For The Night」が登場。7月18日付で6位に初登場を果たしたこの曲は、以降10位未満ながら40位以内へ滞在し続け、今週18週ぶりにトップ10に返り咲きを果たした次第。ストリーミングは前週比6%ダウンの1850万(同指標5位)、そしてラジオエアプレイは同34%アップの1780万を獲得し、同指標初となる50位以内(42位)へ登場しています。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (1位) 24Kゴールデン feat. イアン・ディオール「Mood」

2位 (2位) アリアナ・グランデ「Positions」

3位 (5位) ギャビー・バレット feat. チャーリー・プース「I Hope」

4位 (3位) ドレイク feat. リル・ダーク「Laugh Now Cry Later」

5位 (4位) ザ・ウィークエンド「Blinding Lights」

6位 (7位) インターネット・マネー & ガナ feat. ドン・トリヴァー & ナヴ「Lemonade」

7位 (11位) ジャスティン・ビーバー feat. チャンス・ザ・ラッパー「Holy」

8位 (9位) バッド・バニー & ジェイ・コルテス「Dákiti」

9位 (6位) ジョーシュ・シックスエイトファイヴ × ジェイソン・デルーロ「Savage Love (Laxed - Siren Beat)」

10位 (12位) ポップ・スモーク feat. リル・ベイビー & ダベイビー「For The Night」

 

 

グローバルチャート速報も紹介。11月21日付グローバルチャートはバッド・バニー & ジェイ・コルテス「Dákiti」がふたつのチャートを制覇。Global 200では前週から1ランクアップしアリアナ・グランデ「Positions」から首位の座を奪還、Global 200から米の分を除いたGlobal Excl. U.S.では連覇を達成しています。

Hot 100では前週から1ランクアップの8位に入ったバッド・バニー & ジェイ・コルテス「Dákiti」。Global 200ではダウンロードが前週比33%ダウンの4000となった一方、ストリーミングが同32%アップの1億1020万となり、ストリーミング指標でトップを獲得。Global Excl. U.S.ではダウンロードが前週比12%ダウンの1000となった一方でストリーミングが同44%アップの8860万となり、こちらでもストリーミングが牽引した形です。Global 200におけるストリーミングの1億1020万という数値は、BLACKPINK「Lovesick Girls」が10月17日付で獲得した1億2380万に次ぐ歴代2位となります。

 

Hot 100で首位を獲得した24Kゴールデン feat. イアン・ディオール「Mood」はGlobal 200で1ランクアップの2位、Global Excl. U.S.では2ランクアップし3位を獲得。先述のジャスティン・ビーバーおよびJ. バルヴィン参加によるリミックス効果に伴い、Global 200ではストリーミングが前週比25%アップの7000万、ダウンロードが同83%アップの19000を獲得。またGlobal Excl. U.S.ではストリーミングが前週比22%アップの4650万、ダウンロードが同76%アップの7000となっています。ただしHot 100同様、曲の獲得ポイントにおけるジャスティン・ビーバーおよびJ. バルヴィン参加版のシェアがオリジナルを上回っていないため、チャート上のクレジットは24Kゴールデン feat. イアン・ディオール(名義)となっています。

 

マルーマ「Hawái」はGlobal 200で前週から6ランクアップの3位、Global Excl. U.S.では4ランクアップの2位に躍進。Global 200ではストリーミングが前週比53%アップの8570万、ダウンロードが同149%アップの6000を、Global Excl. U.S.ではストリーミングが前週比41%アップの6880万、ダウンロードが同223%アップの3000を獲得。Hot 100同様、ザ・ウィークエンド参加版リミックスの公開に伴う大幅上昇ですが、Hot 100とは異なりザ・ウィークエンドの名は2つのグローバルチャートでクレジットされていません。曲の獲得ポイントにおけるザ・ウィークエンド参加版のシェアがオリジナルを上回っていないためです。

 

今週のGlobal Excl. U.S.においては、バッド・バニー & ジェイ・コルテス「Dákiti」が1位、マルーマ「Hawái」が2位となり、同チャートでは初めてラテンミュージックがワンツーフィニッシュを達成しました。また2つのグローバルチャートのトップ5は、順位は異なれど双方共同じ曲で占められています。一方、Global Excl. U.S.で前週4位のLiSA「炎」は順位を2つ落とし6位へ。同チャートでは4週連続となるトップ10入りを果たしています。