イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

マーク・ロンソンの世界的大ヒットと、逆ベクトルの日本

音楽プロデューサーのマーク・ロンソンが、自身のリーダー作からの第1弾シングルとして、彼がプロデュースしたことのあるブルーノ・マーズを客演に迎えた「Uptown Funk」が、最新ビルボードシングルチャートで2週目の1位を記録。それだけではなく全英チャートも制覇し、さらにはオーストラリア、カナダ、フランス等でも1位となるなど、世界的なヒットとなっています。

その凄まじい勢いの最中にリリースされたアルバム『Uptown Special』は、一聴の段階ではありますが、60's以降のソウルのアップデートと言える内容。スティーヴィー・ワンダーのハーモニカにはじまり、先述の「Uptown Funk」は勿論のこと、”21世紀版JB降臨”とも言える「Feel Right」も収録。これが格好良いのです。しかも驚くことに、マークが”新JB”に据えたのは、ラッパーのミスティカル(!)。

音楽ライター林剛氏のツイートでは、bmr丸屋九兵衛氏が以前から唱えていたことが「Feel Right」で証明されたことを示しているかのよう。サタデー・ナイト・ライヴでのパフォーマンスを見ると。

こちらは音楽ライター長谷川町蔵氏の言葉。音も、その変則リズムなどがCD版よりライブ感強しというか、よりJBっぽくなっている気も。ミスティカルの逞しさ。そして、ブルーノの魅せ方というか、徹し方も見事。

 

(ちなみに個人的には、ミスティカルといえばケツ振りまくれ!的な「Shake Ya Ass」が真っ先に思い浮かぶのですが、2015年、彼が”新JB”になるとは思ってもいませんでした。先見の明無いですね自分)

 

上記2曲を収録したマーク・ロンソン『Uptown Special』は今週発売。その質の高さから音楽ジャーナリストが推薦ししており、たとえば高橋芳朗氏は昨日、自身がレギュラー出演するラジオ番組『ザ・トップ5』(TBSラジオ)の冒頭で”(この時間は)普段は洋楽かけないけど…”と前置きして「Uptown Funk」を紹介。いかにこの曲、アルバムが今熱いのかを示しているかのようでした。

 

輸入CD取扱店などで一大展開がなされていますね。

そしてこのツイートは、【ソニー・ミュージック洋楽】のTwitterアカウントに公式リツイートされていたのです。

 

…が。ここまで注目され世界的にも話題なのに、なぜ国内盤リリース予定がないのでしょうか? ブログ執筆段階でそういう動きが全くありません(ソニー・ミュージックのマーク・ロンソンのページはコチラ)。輸入盤激推し中であることを(公式リツイートの形で)間接的に提示する時間があったならば、2015年最初の重要作と言っても過言ではないこのアルバムを世に放つ準備してよ、と。日本の音楽市場は海外と比較してガラパゴス化しているのでしょうか?

 

”国内盤遅れ”問題はサム・スミス関連でブログエントリーしましたが、マーク・ロンソンはシングル米英制覇の現段階ですら国内盤発売に至らないどころか、レコード会社は先述したように輸入盤の展開を宣伝すらしており、穿った見方を承知で書くならば、ソニーは”マーク・ロンソンの国内盤を出すつもりはないのでは?”とすら思ってしまうのです。この”国内盤出さない問題”は国内盤遅れ問題以上に問題視しないといけませんね。

(セールスチャートの動向では、輸入盤の直後に国内盤がリリースされると売上やランクが跳ね上がるアルバムが多く、その点からも輸入盤では買わない人が少なくないことが見え、国内盤の必要性が高いと解釈しています。その点において、機会損失甚だしいなと。)

 

ソニーや、以前サム・スミスの件で言及したユニバーサルミュージックなどに、”洋楽を国内盤で出すためには何か条件があるのですか?”と問うてみたいところです。