イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

「Eeny, meeny, miny, moe!」に影響を与えたプレイリスト

アメリカではマーク・ロンソン feat. ブルーノ・マーズ「Uptown Funk」(→YouTube)がビルボードチャートの1位を続けていますが、70-80年代ファンクを基調とした同曲に対して、”「Uptown Funk」に影響を与えたプレイリスト”という記事が先月登場。これが実に興味深いのです。

Uptown Funk influences playlist • Nialler9

たしかに「Let's Talk」は聴いた瞬間に”これだ!”ってアガりましたね。

この記事の真意は、似てるからといって決してそれをパクリだ!と糾弾することでは決してなく、【「Uptown Funk」が気に入ったならその曲の”源”を探ってみると楽しいよ】ということにあるはず。その精神を踏まえ、同記事に倣ってちょっと書いてみたいと思います。

 

 

三代目J Soul Brothersが先月リリース、大ヒット中のアルバム『PLANET SEVEN』。季節毎のコンセプトシングルをリリースし、その中の一曲、STY氏が手掛けた「R.Y.U.S.E.I.」は昨年のレコード大賞を受賞。その勢いのままに発売された同作ですが、アルバムからは直近のシングルとは別にリードトラックを用意。アルバム冒頭に据えたその曲、「Eeny, meeny, miny, moe!」が非常に格好良い作品なのです。

2月16日付のBillboard JAPANチャートでは「R.Y.U.S.E.I.」と共に2曲同時にトップ10入り、J-WAVE TOKIO HOT 100チャート(2月15日付)を制覇。同曲収録のアルバムは初週だけで50万枚超えのセールスを記録、先週土曜にアルバムがレンタル解禁となった直後、伺った店舗では借りたくても借りられない状態…等アルバムの動向にも影響が。無論”レコ大”効果も大きいでしょうが、レコード会社などがアルバムを推す際に決してそこだけには頼らず、ミュージックビデオの制作やMステなどでのパフォーマンスによって「Eeny, meeny, miny, moe!」を起爆剤とし、それは間違いなく成功していますね。

この流麗でエレガントなR&Bテイストの同曲(作詞:TAKANORI(LL BROTHERS), ALLY / 作曲:T-SK, JONAS Zekkari, BIG-F プロデュース:HiDE Kawada for Future Unison トラックプロデュース:T-SK ボーカルディレクション:TAKANORI(LL BROTHERS) いずれも敬称略)について、”影響を与えた(であろう)プレイリスト”を挙げてみましょう。メンバーの数に合わせる形で全7曲。インターネットの反響を見た上で自分なりにまとめた結果ですので、影響を与えたか否かの最終判断は読み手(聴き手)の皆さんに委ねます。またこのブログエントリーのタイトルは先述した「Uptown Funk」の記事に倣ってみました。

 

 

1. アリアナ・グランデ feat. イギー・アザリア「Problem」

「Eeny~」が最も”この曲に似てる”と指摘されていたのがこの曲。アリアナに絶対的スターダムの地位を与えたマックス・マーティン制作曲でのイントロはたしかに想起させるに十分。そして男性のささやき声が印象的なサビに至る直前の、駆け上がる音階がもたらす高揚感は、「Eeny~」でのサビ直前の空気感(こちらはメロディラインが高低の繰り返しですが)にも影響を与えているかも。ちなみにマックス・マーティンはこの曲やテイラー・スウィフト「Shake It Off」などにより今年のグラミー賞、最優秀プロデューサー賞(ノンクラシカル部門)を初受賞。

 

 

2. ジェニファー・ロペス「Get Right」

リッチ・ハリソン制作。同曲およびエイメリー「1 Thing」はそれぞれサックス/パーカッションの印象的なループが印象的で、ビヨンセ feat. ジェイ・Zの「Crazy In Love」も含めたこの3曲が2000年代前半のR&Bおよびその後のJ-Popに大きな影響を与えたと言っても過言ではないかも。管楽器のループは先述したアリアナ曲にも影響を与えたかもしれませんね。ジェニファー・ロペスR&Bとハウスミュージック(→EDM)の両ジャンルを柔軟に行き来していて、そのスタンスは三代目における「Eeny~」と「R.Y.U.S.E.I.」の関係ともリンクしそう。

 

 

3. ジャスティン・ティンバーレイク feat. ジェイ・Z「Suit & Tie」

ミュージックビデオでの正装およびスタンドマイク、そしてエレガントな心地良さ(ブラスも好いアクセントに)は、大ヒットしたティンバランド制作のコチラが影響源か。とはいえスタンドマイクで使っているマイクの形を考えれば、中森明菜「TATTOO」の存在を忘れてはいけません。

 

 

4. 三浦大知「GO FOR IT」

作曲およびトラックプロデュースのT-SK氏(UNITED FUTURE所属)が以前手掛けていたのがこの曲。全体的な雰囲気、サビ前のメロディの、サビへ向けての高揚感の演出はこの曲が基調だといっても間違いではないかも。

 

 

5. LL Brothers「Let's Go」

(収録アルバム『BACK AGAIN』試聴はコチラ)

作詞のTAKANORI氏のユニットによるアルバム『BACK AGAIN』収録曲。LLといえば、未だに世間では”ダンス甲子園”のイメージが強いかもしれませんが、プロデューサーのGIANT SWINGとの共同作業で安室奈美恵さんやEXILEなどに良曲を提供し、また歌手活動においても力強い歌唱と肉体美が本場R&Bと遜色なく、実はジャパニーズR&Bの礎を築いてきたといっても過言ではないのです。「Let's Go」はただ力強いのみならずところどころに表れるドリーミーなたゆたうメロディラインが曲の好いアクセントになっていて、「Eeny~」のBメロや”大サビ”(以前『亀田音楽専門学校』(Eテレ)で大サビの効果を取り上げていました)はこの流れに沿ったものと言えるかも。TAKANORI氏はそのドリーミー感をより印象付けるためのスムースな歌い方をディレクションしたものと思われます。

 

 

6. EXILE「SUPER SHINE」

三代目の師匠たるEXILEの曲。ライブではダンサーがラインダンス的な、ミュージックビデオに似た並びになっているのですが(演出上でしょうか)、曲は派手さはないもののスムースで心地良いR&Bライクな作品。個人的にEXILEの中では”歌謡曲的サビの落とし込みによる大団円や大仰感がない”作品群…とりわけ『EXILE ENTERTAINMENT BEST』収録曲に好きな曲が多いのですが(それゆえに収録曲の最後を飾る「真夏の果実」は蛇足かと。あくまで私見ですが)、ベスト盤収録の大半を手掛けたGIANT SWING(T.Kura & michico両氏)による同曲の流麗さは「Eeny~」に活きている感が。

 

 

7. ショーン・ポール「Get Busy」

アメリカで大ヒットしたレゲエナンバー。レゲエ特有のリディム(ドラムおよびベースラインが作り出すリズムパターン)が「Eeny~」のサビを想起させた…のはちょっと強引かもしれないけれども聴いているとくせになる感覚は共通するものがあります。

 

 

他にも、サビ出だしのメロディの共通項としてSEKAI NO OWARI「Love the warz」を取り上げる方もいらっしゃいましたが、個人的により強い影響源と思った7曲を取り上げた次第です。

今回調べていくうちに、似ている度数が低くないとして「Eeny~」を糾弾するかのような発言も垣間見られましたが、(確かに似過ぎているのは問題かもしれないけれど)そこに執着するよりもこのブログエントリーなどをきっかけにしてその”源”を辿り、三浦大知さんやLL Brothersの作品に触れたほうがはるかに有益だと思っています。