イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

ネイサン・サイクスが放つ芳醇R&B 「Give It Up」

プリンスと併せて、ここ数日聴きまくっている曲を紹介します。

・Nathan Sykes feat. G-Eazy「Give It Up」(2016)

静止画状態でも際立つエロスっぷり。はっきりいって全編こんな感じでして。

ネイサンのファンの反応が気になるところです。

 

ネイサン・サイクスはイギリスのボーイズグループ、ザ・ウォンテッドの最年少メンバー。ザ・ウォンテッドはデビューシングル「All Time Low」が全英1位を記録し、これまでに本国でシングルトップ10入りが10曲(うち2曲が1位)、アルバム3枚はすべてトップ10入りを果たす人気グループなのです。ネイサンは2015年に「Kiss Me Quick」でソロデビュー(全英16位)、コールドプレイっぽいピアノの旋律が印象的なセカンドシングル「Over And Over Again」ではソロ初のトップ10入り(全英8位)を果たしたほか、アリアナ・グランデをフィーチャーしたバージョンも作られ(→YouTube アリアナのファーストアルバム収録曲「Almost Is Never Enough」にネイサンが客演して以来の共演)、彼のソロとしての認知度が高まりつつあったタイミングでのシングルが上記「Give It Up」。テレビ放映不可となり曲の浸透に制約がかかってしまったわけですが、その分YouTubeでの再生回数が俄然伸びていくのではないかと。

客演で参加しているG・イージーは、昨年末のメジャーデビュー作『When It's Dark Out』が全米5位を記録。そこからビービー・レクサを客演に迎えた「Me, Myself & I」がシングル化され全米最高7位・全英13位のヒットに。ネイサンは今旬なG・イージーを迎えたという形になります。

そしてbmrのツイートにもあるように、「Give It Up」でのサビはテディ・ライリー擁するR&B男性グループ、ブラックストリート「Don't Leave Me」(1997)から拝借。メロディの落とし込み方、巧いですね。

1997年当時のビルボードシングルチャートでは、シングルCDをリリースしない曲はチャートイン出来なかった(敢えてシングルを切らず、影響力の高いラジオエアプレイに特化させることでアルバム購入を促進させる方式)ゆえ「Don't...」のシングルチャートでの記録はないのですが、エアプレイ部門では最高12位を記録しており同曲は世間に浸透していたと言えるでしょう。

 

 

「Give It Up」はそのエロス際立つ画でひときわ注目を集めることになるかもしれませんが、曲が非常によく出来ているなと。先述した引用曲の落とし込みのみならず、メロディの展開の妙にも唸らされます。またディスコティークやブギーといったここ最近の流行りに、2000年前後に流行ったスムースダンサーを織り交ぜることでよりお洒落な雰囲気に仕上げていますね。個人的にこの曲を聴いて思い出したのが、ジャネイ「Saturday Night」だったりして。

あれだけエロティックにもかかわらず、「Give It Up」に品の良さが漂っていると感じるのは、ジャネイやドネル・ジョーンズ「U Know What's Up」(→YouTube こちらはTLCのレフト・アイ客演バージョン)に代表されるスムースダンサーというジャンルが持っていた気品を踏襲しているからではないかと。それでいてよりドラマティックに仕立てていることで、「Give It Up」は芳醇さも持ちあわせ、個人的には”完璧”という太鼓判を押させていただきます。

この曲はまだリリースされていませんが、Amazonでの" この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています"欄には元ワン・ダイレクションのゼイン(・マリク)のソロ作も。なるほどネイサンのたどる道はゼインのそれに似てますね。尤もネイサンは脱退してはいませんが。