イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

米シングルチャート、来週は荒れる予感

ビルボードシングルチャートを定点観測。日本時間の火曜早朝に発表された、12月3日付最新チャート。 "マネキン・チャレンジ"ムーブメントに乗って、レイ・シュリマー feat. グッチ・メイン「Black Beatles」が2週目の首位を獲得しました。最新チャートについての詳細は下記をご参照ください(トップ10カウントダウン動画もあります)。

2017年度チャート、初週を制した「Black Beatles」はデジタルダウンロード(前週比7%上昇)、ストリーミング(前週比25%上昇)の2指標で首位に。特に後者については5410万回再生という大記録を達成し、アデル「Hello」がチャートに初登場した際の6160万回再生以来となる5千万超えを果たしました。

先週のチャート紹介でも伝えましたがこの曲の原動力は"マネキン・チャレンジ"にほかなりません。近い将来ブームが沈静化した際にこの曲が勢いを失うかどうか...それまでにチャート構成指標のもうひとつ、ラジオエアプレイがどこまで伸び(て他指標を補完す)るかが勝負の分かれ目でしょう。ちなみに「Black Beatles」、ラジオエアプレイでは先週の44位から28位にジャンプアップ、それも前週比63%も上昇しています。

 

次週のチャートでは、アメリカで20日(日曜日)に開催されたアメリカン・ミュージック・アワード(以下AMA)の受賞結果およびパフォーマンスが反映されるとみられますが、最高賞にあたる"アーティスト・オブ・ジ・イヤー"を獲得したアリアナ・グランデによる、ニッキー・ミナージュをフィーチャーした「Side To Side」が3ランクアップし4位に到達しました。

AMAの結果は下記に。

パフォーマー一覧については、米ビルボードが厳しくも"ワーストからベストまで"とランキングを付けて紹介しています。

このランキングでも「Side...」はトップでした。

 

「Side...」はデジタルダウンロード5位(前週比10%上昇)。ストリーミング6位(前週比5%上昇)、ラジオエアプレイ6位(前週比18%上昇)といずれの指標も安定。アリアナ、そしてニッキーにとってトップ5入りは、ジェシー・Jを招いた3氏による「Bang Bang」(2014 最高3位)以来とのこと。アリアナにとってトップ5にランクインした曲は他にもイギー・アゼリアを迎えた「Problem」(2014 最高2位)、ゼッドとの「Break Free」(2014 最高4位)がありますが未だに1位はなく(それゆえ彼女が今年のAMA最高賞を獲るというのは個人的には意外でした。いい意味で一般投票が大きく影響したのかもしれませんし、「Side…」の勢いが投票に反映されたとも言えるでしょう)、それゆえ今回のAMAの勢いがアリアナに初の1位をもたらす可能性もあり得るのではないかと。無論、AMAの他のパフォーマンス曲が上昇&盛り返す可能性もありますし、来週付アルバムチャートでブルーノ・マーズ『24K Magic』(SNSを見ると自分の周囲には称賛、喝采の声が溢れています)がデビューすることからタイトルトラックも上昇必至でしょう。今週はトップ10から圏外へ落ちた曲がなく凪の状態でしたのが、来週は大いに荒れそうです。ただ、「Black…」の勢いはそれ以上かもしれませんが。

 

もうすぐトップ10として米ビルボードが紹介しているのはこちら。

・アミーネ「Caroline」(18→13位)

ヘイリー・スタインフェルド & グレイ feat. ゼッド「Starving」(19→14位)

・アレッシア・カーラ「Scars To Your Beautiful」(22→17位)

そして、先々週亡くなったレナード・コーエン1984年発表の代表曲「Hallelujah」が59位にランクイン。オリジナル版のトップ100登場はこれが初となります。

デジタルダウンロードは前週比1177%上昇、ストリーミングも279%上昇というのは、彼の声を聴きたい人々の多さの表れでしょう。

この曲が様々なミュージシャンにカバーされたことでレナード・コーエンの名が広まり、2010年代のアルバムチャートでの成功につながっていくのですが(そのあたりについては、レナード・コーエンの死と、チャート上の成功をもたらしたもの(11月12日付)に記載しました)、遂にシングルチャートでも本人の作品登場というのは感慨深いものがあります。出来ることならレナードが生きているうちに叶ってほしかったという思いも拭えませんが、今回のチャートインを機にこの曲がもっと広まっていくことを、願わずにはいられません。