イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

ビルボードジャパン、最新チャートから新データ導入…そしてビルボードジャパンへのお願い

ビルボードジャパンのソングスチャート(JAPAN Hot100)を定点観測。というか、個人的に気になる部分をピックアップしていきます。いつもは木曜に記載するのですが、グラミー賞予想等の兼ね合いで今日にずれ込んだことをお詫びいたします。

 

先週水曜に発表された、2月13日付最新チャートはこちら。詳細については下記のチャートトピックスを参照してください。

各指標毎の順位が解るCHART insightを見ると、「恋」はラジオエアプレイこそ35位と低いものの、その他の指標が全てトップ10入りしておりラジオエアプレイ分を補完。動画再生回数はもとより、【シングルCDセールス+デジタルダウンロード+ストリーミング】の指標で2位というのは立派な成績かと。同日付のシングルCDセールスでは19位と決して高くはないゆえ、デジタルダウンロードが牽引する形なのでしょう。他方、たとえばApple Musicでは「恋」をはじめとする星野源さんの楽曲はストリーミング配信されておらず、このストリーミング部門で強い楽曲が登場し他指標も高いレベルを保ったならば、「恋」の牙城を崩すことが出来るかもしれません。

 

さてビルボードジャパンでは、最新2月13日付のHot100チャートより、Google Play Musicのストリーミング再生数データも加えたと発表しました。

これでストリーミングはApple Music、AWA、LINE MUSICおよびGoogle Play Musicの4つとなり、より精度の高い指標となります(なお、デジタルダウンロードのデータ提供元は上記ニュースをご確認ください)。音楽の聴き方、接し方が多様になった現代のライフスタイルに、ビルボードジャパンが柔軟に応対しようとしていることが解ります。

 

そこで、ビルボードジャパンへのお願いなのですが…それは【シングルCDセールスのみならずデジタルダウンロード、ストリーミングも別途ランキングを用意してほしい】ということ。たとえばジャニーズ事務所所属歌手の作品がデジタルを好まないというのみならず、先述した星野源さんのようなストリーミング配信を行わない人、もしくは以前書いたのですがMr.Childrenのようにデジタルダウンロード自体積極的に行わない人など、歌手や事務所におけるデジタルに対する捉え方は様々です。しかし現状のビルボードジャパンにおいては、Hot100を構成する指標のうちシングルCDセールスだけがランキングとして提示され、他方デジタルダウンロードおよびストリーミングは、CHART insightの中でシングルCDセールスと合算でしか表示されていません。これではどの曲がどの指標に強いか、また穿った見方ではありますがどの歌手がストリーミング等にフレンドリーではないのかが見えてきません。それを明らかにする意味でも、ビルボードジャパンには詳細の提示をお願いしたいところです。

 

ちなみに海外でもストリーミング等に未対応の動きはあります。たとえばテイラー・スウィフトは大ヒットアルバム『1989』(2014)をストリーミングメディアから引き上げました(尤もそれには音楽業界を変えたテイラー・スウィフトの挑戦 | Forbes JAPAN(2015年7月3日付)という理由があったのですが)。またアデルも『25』(2015)において、セールスとストリーミングの解禁時期をずらす戦略を採っています(記録づくしのアデル、「25」をSpotifyやApple Musicなど定額制音楽配信でついに解禁する - BLOGOS(2016年6月25日付)より)。あるいはチャンス・ザ・ラッパーのようにパッケージ販売を行わずストリーミングのみとする方もいて、歌手によって措置は異なっています(これらの大半はアルバムの話ですが)。しかし米ビルボードでは、ソングスチャートにおいて全指標(デジタルダウンロード+ストリーミング(YouTube等も含む)+ラジオエアプレイ)がそれぞれ分けてランキングとして表示されているため、歌手の戦略も見え、また曲の強み(と弱点)が判って面白いんですよね。チャートマニア的な見方かもしれませんが、ビルボードジャパンには是非とも考慮していただきたいものです。よろしくお願いいたします。