イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

"コサキン"がスルーされてしまったTBSラジオ『ぼんやり審議会』に望むこと

毎週金曜はラジオの話。

 

先週(4月17日~23日)が首都圏ラジオ局の聴取率調査週間。"スペシャルウイーク"と称して大々的な特集が各局、各番組で組まれました。その中でも特に盛り上がっていたのは【コサキン復活】ではなかったでしょうか。その放送に感化されて、下記エントリーを掲載しました。

このコサキン復活を含め、星野源さんがラジオの存在を広く世に示す機会が数多くあったことから、ブログエントリーの最後に『他局でもいいので取り上げていただき、そこからヒントを探っていただけたならば』と書きました。実はこのときには既に4月23日放送の『ぼんやり審議会』(TBSラジオ)の生放送があることを承知していて、さらに同番組で【ラジオ業界の現状と今後】というテーマが設けられるとのことでしたので、局に関係なく意見が飛び交ってくれれば、特に今回のコサキン復活について…という期待を込めての記載でした。

(リンク先の音声(radikoタイムフリー)は今月30日まで聴取可能です。)

 

自分はリアルタイムで聴くことが出来ず、後にタイムフリーでチェックしたのですが…正直言って、非常に残念でした。しまおまほさんからコサキンについての話題が出ていながら、お茶を濁された感が強く残ってしまったのです。番組では、バナナマンがラジオでコントを披露したことを踏まえ、コサキンもコントをやってたよねという流れになったのですが。

(しまお) ああ、コサキンねえ…コサキンは…

(三条) そうですね、ええええ。

(吉田) 他局の。

(しまお) 他局に…はい。

(一同) (苦笑)

(しまお) なんかすいません。

(蓮見) でも全然、お気遣いなく。

(しまお) いや、気は遣ってないんですけど。

(一同) (笑)

(吉田) 解ってます。

(一同) (笑)

 ・当日の放送より(radikoタイムフリーで聴取可能)

これ以上の話は出ませんでしたが、これって、局の編成部員でこの番組の常連である三条毅史氏への過度な遠慮のように見受けられましたがいかがでしょう。TBSの蓮見アナウンサーもフォローしていたのでよりその印象が強まります。そして笑い声において"(笑)"と"(苦笑)"とを分けて記載しましたが、"(苦笑)"は本当に文字通りの苦笑いだったことが如実に伝わってきました。さらにはおかしな空気から発せられる間まで。

この日の放送ではプチ鹿島氏が、『Session-22』に以前、森友学園籠池氏がインタビュー出演した際の音声について、声は正直であるというようなことを言っていたのですが、書き起こし時の放送で感じた声ならびに空気や間には局や三条氏への遠慮が垣間見られ、たしかに声は嘘付けないよなあと痛感。これがいわゆる大人の対応なのかもしれませんが、あきらかに表面を取り繕う"オトナ"な印象が見られて、とにかく残念だったのです。

 

 

コサキンの番組がTBSラジオから離れた経緯や、その際に同局の著名なパーソナリティが特に営業に向けて激昂したなどの噂は伝わってきます。が、あくまで噂レベルゆえそれについては深く言及するつもりはありません。問題はこの日の放送で言っていたことと、コサキンの話をタブーとすることに果てしない矛盾があったことにあります。その矛盾とは。

 

 

① 他局と同様に、TBSラジオでも他局の常連を招いている

たとえば『伊集院光とらじおと』(TBSラジオ 月-木曜8時30分)。4月20日の放送には吉田照美さんがゲストで登場。文化放送で長年、平日帯の生ワイドを担当されていた方です。

また、先述したコサキン出演の『星野源オールナイトニッポン』(ニッポン放送 火曜25時)の真裏、『火曜JUNK 爆笑問題カーボーイ』(TBSラジオ 火曜25時)には直前の番組を担当するアルコ&ピースがゲストで登場。アルコ&ピースは途中中断もありながら、2012年から2016年にかけてニッポン放送の番組を担当しており、こちらもある種"局の垣根を越えて"の放送といえるかもしれません。

両番組とも『ぼんやり審議会』では触れられているわけで、それゆえ"TBSラジオが他局の常連出演者と共演することについてはOKなのに、なんで逆は言ってはいけないのか"と疑問を抱くのは自然なことではないでしょうか。

 

② ラジオは本音を言えるメディアであると話している

番組の後半、しまおまほさんはラジオが若者の間で聴かれなくなった現状の一因として彼らが『テレビがメインでラジオでは手を抜くんではないかというイメージを持ってる』という意見を述べ、吉田豪さんがすかさず『逆なのに』と相槌を打っています(radikoタイムフリーで4月30日まで確認出来ます)。ラジオのほうが本音を言えると言及するのであれば、やはりコサキンのくだりを濁すその対応は真逆と感じざるを得ません。

 

③ ラジオの将来のためにはラジオ業界全体がタッグを組まないといけないのではという結論が見えていたはず

番組後半において、特に若い人がラジオに接していない、もしくは接し方すら解らないという調査結果、ならびに半ば強制的にラジオを聴かせる実験を行うと実験終了後も多くの方が生活にラジオを聴いてくださるというデータを紹介していました。これらを踏まえてたとえば、"ラジオ聴きながらYouTubeを見る、その両方が1台のスマホで可能"という周知や、より壮大な実験の開催などを行う必要があるはずだと実感しました。その際、単局での実行には限界があるはずで、ならば局が垣根を越えてタッグを組む必要があるはずです。しかしながら、番組中にはTBSラジオだけを持ち上げる空気が幾度となく感じられ(たとえば、好きな歌手が他のラジオ局に出演する際に聴くという子どもを持つ親からのメッセージ紹介後、その子どもが聴く局の中にTBSラジオがなかったからか、TBSラジオも好いし同局ならばまんべんなくフォローしているんですよという声が上がっていました。ちょっとだけ過度なフォローアップに感じられましたが考えすぎでしょうか)、実はラジオの将来を憂うゆえのテーマとしておきながら実は、2月の聴取率が前々回に比べて0.4%も落ち込んだTBSラジオについてのみ聴取率を上げたいと思っているのでは…という穿った見方すら生じるほど。その見方が仮に正しいならば、他局のスペシャルウイークの動向を取り上げるわけにはいきませんよね。この考えはかなりの邪推に基づくものではありますが。

 

 

今回の『ぼんやり審議会』ではコサキンの話が半ばタブーになってしまったことも残念ですし、その点を通して"本音と建前"がはっきり見えてしまったことが悲しいですね。無論、社会に出る者には少なからず建前は必要ですが(その点については自分が真逆の人間であるゆえ激しく痛感している次第)、とはいえ先述した3点を踏まえれば少なくともコサキンについてもタブーにしてはいけなかったはずです。いや、もしかしたらしまおさんはコサキンNGワードだと解っていて敢えて三条氏にぶつけ、その上でそれ以上の話の展開を断念したのかもしれませんが。ならば、次回『ぼんやり審議会』があるのであれば、その際は三条氏を排していただき、より本音で語り合える場所であってほしいと思います。しまおさんをはじめ皆が本音を言い難いと思うならば、ネットなどで寄せられた声を、どんな厳しい意見であろうと拾い上げることも大事でしょう。その際は進行役についても、例えば堀井美香アナウンサーや外山惠理アナウンサーのようなより本音が言えるタイプの方を用意することをお勧めします。