イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

(訂正あり) 極私的、"Mステに出て欲しい"男性歌手4組と出演の現実味

(※追記(2021年6月24日8時21分):漢字の誤りについて、訂正を行いました。)

 

 

 

ミュージックステーション』(テレビ朝日系 金曜20時 以下"Mステ")の前回放送(4月28日)の際、次回出演者の欄にジャニーズ事務所所属歌手がいなかったのですが、その枠に今回は東京B少年というグループが。検索しても公式ホームページがない状態ゆえ新ユニットであることは間違いないでしょう。これまでもCDデビュー前からのMステ出演はよくあることでしたが、今回のように追加発表ではじめてジャニーズ事務所所属歌手の出演がアナウンスされるというのは異例ではないかと。尤もこの時期に、事務所の他の歌手によるリリース作品がないゆえの出演かもしれないのですが。

これで解ったことは、Mステとジャニーズ事務所との強固なつながり。それを決して否定しているつもりはないのですが、しかしながらそれによって、出演したくても出来ない歌手がいるように思えてならないのです。

Mステに限らず、ジャニーズ事務所所属歌手とライバルになるであろう歌手の出演が叶っていない事態を憂い、上記エントリーを掲載したのは2年前。昨年、三浦大知さんがMステに出演したことで事態はわずかながら、でも確実に変わりつつあることは感じていますが、それでもなお出演出来ていない方は少なくありません。アイドルグループの方や元ジャニーズ事務所所属歌手の方も含まれますが、今回はあくまで個人的に出演して欲しいと願う実力派男性歌手を4組取り上げ、その出演の可能性を考えてみます。

 

 

●出演可能性 Aランク:ぼくのりりっくのぼうよみ

CDセールス面では今回取り上げる他の歌手より少ないかもしれませんが、全国ツアーの完走や相次ぐフェスの出演等で実力を磨き、また今年に入ってからは映画『3月のライオン (前編)』主題歌や資生堂アネッサCMソングという大型タイアップに曲提供。後者、「SKY's the limit」に関しては今月24日にCDがリリースされるため(先行配信中)、そのタイミングでの出演が有り得そう。なにより関ジャニ∞と既に共演済であり(関ジャニ∞×ぼくりり、『関ジャム 完全燃SHOW』の華麗なるセッションを観た! | ロッキング・オンの音楽情報サイト RO69(3月6日付)より)、ジャニーズ事務所所属歌手との共演に支障がないように思われます。

 

●出演可能性 Bランク:SKY-HI

AAA日高光啓さんのラッパーでの名義がSKY-HI。アルバム『OLIVE』(2017)を引っさげて今月、日本武道館2デイズを成功、さらに今月31日にはニューシングル「Silly Game」をCDリリースへとどんどんステップアップしています。現在のヒップホップムーブメントのきっかけの一つである『フリースタイルダンジョン』にテーマソングを、またAAAとしては話題となった今冬のドラマ『奪い愛、冬』に主題歌を提供し、共に放送元であるテレビ朝日との強固なつながりがあるのみならず、Mステには昨年AAAとして6年ぶりに出演し、今年も『奪い愛、冬』の主題歌「MAGIC」で出演。ただ、グループで出演出来てもソロでは...という場合もあるものの(その逆もあり)、最早"アイドルがヒップホップだなんて..."と揶揄されないまでの高い地位に自ら上り詰めただけに、これ以上世間が無視してはいけないと思います。新曲のミュージックビデオが現段階で公開されていないので、昨年末のシングル「Double Down」を下記に。ちなみに今月のフェスでぼくのりりっくのぼうよみと共演済。

 

●出演可能性 Cランク:Da-iCE

ダンス&ボーカルユニットとしてこちらも今年1月に日本武道館公演を成功させた5人組。たとえば青森公演においても、昨年千人弱だった会場のキャパシティが今年は倍になるなど、確実に勢いを増しています。6月14日にリリースされるニューシングル、「トニカクHEY」のリリックビデオが既に公開されていますが、顔面偏差値の高さだけではない、歌唱力も一級品であることはこれだけでも十分伝わってきます(顔やダンスを排したビデオなら尚の事、集中して聴くことが出来ますね)。こちらも、昨年リリースのアルバム『EVERY SEASON』(2016)収録曲「SUPER FICTION」にてSKY-HIと共演済。

 

●出演可能性 Dランク:w-inds.

ここでは何度か、彼らの素晴らしい音楽性に触れているのみならず、最新アルバム『INVISIBLE』(2017)がタワーレコードのフリーペーパー『bounce』の新作一覧において巻頭を飾る等、音楽業界からも注目を集めています。

以前のブログエントリーにおける"次のシングル"とは「We Don't Need To Talk Anymore」(2017)のこと。このエントリーがこれまでになく拡散され驚いたのですが、これを機にw-inds.の高い実力が少しでも多くの方に理解してもらえるならばと嬉しくなりました。しかし、好事家等にその実力が浸透し、またはテレビでも深夜番組等でのパフォーマンスがあるものの、音楽番組で最も影響力があるであろうMステで紹介されないのは音楽業界全体の機会損失といっても大袈裟ではないでしょう。橘慶太さんはソロアルバム『声』(2006)からの先行シングル「道標」リリースのタイミングで一度Mステには出演していますがその後はソロ、w-inds.共に出演には至れずじまいなのが悲しい限り。しかし同じ事務所所属の三浦大知さんがMステに出演出来た事実が、極々僅かではあるものの一筋の光になりそうな予感がしています。ちなみに橘慶太さんは、KEITA名義でリリースした「Slide 'n' Step」(2013)のリミックスにSKY-HIを招聘しています。

 

 

思えば、三浦大知さんのMステ出演が叶ったのは、その実力の凄さをMステ側が最早無視出来ず、ジャニーズ事務所への配慮を打破せざるを得なかったほどの衝動に駆られたゆえだと想像しますし、もしかしたら昨年始めの段階で、同局の仮面ライダーシリーズ最新作での主題歌起用が決定済で、放送開始時期から逆算すれば昨年春の段階で出さざるを得なかったという側面もほんの僅かながらあったのかもしれません。ただ、もし彼がソロではなくユニットだったならばと考えると状況が違っていたのでは、と思う時があります。ジャニーズ事務所所属歌手にソロの方が圧倒的に少なく、他事務所でもソロ歌手ならばライバル視されにくい、脅威に思われにくいゆえ出演出来やすいのではないかと。一方で、今回取り上げた4組のうち、ぼくのりりっくのぼうよみ以外はアイドル性が強く(SKY-HIにはその要素が感じられにくいものの、AAAにはアイドル性があるゆえSKY-HIにもそれを求める人は少なからずいらっしゃるでしょう)、後者2組においてはさらにグループであるためジャニーズ事務所所属歌手と立ち位置が被ります。仮に自分たちはアイドルというよりダンス&ボーカルユニットなんだと説明しても世間やファンがアイドル性を強く感じていれば、ジャニーズ事務所側は脅威に感じるはず。そして実際にMステに出演しパフォーマンスすることで、4組との歴然とした実力差(とりわけ歌唱力)が判明することを恐れるでしょう。ゆえにジャニーズ事務所側がおそらくは共演させないというカードを出し続けていると思いますし、Mステ側は過剰なまでに配慮していることは容易に想像出来、それゆえに出演が叶わないという状況が続いているものと捉えています。

 

しかし、w-inds.の欄でも書きましたが、そういう過剰なまでの体制は、今の音楽業界において真の実力者の芽を摘み、圧倒的な機会損失を生むわけです。それはテレビ出演に限らず、どんどん落ち込みが激しくなるシングルCDのセールスのみを対象としたオリコンチャートが未だに厚く支持され続ける構図も同様で、ダウンロードやストリーミング等ネットとの親和性も示すビルボードジャパンの複合ソングスチャートがテレビで紹介されにくいのはネットに未だ懐疑的な態度を示し続けるジャニーズ事務所側への過度な配慮とも言えるかもしれません(尤も、アイドル全体が未だシングルCDセールスに固執している側面がありますし、ビルボードジャパンのチャートで4組が高い位置をキープ出来ているかと問われれば疑問が残ります)。ジャニーズ事務所側が直接Mステ側へ指示したのか、Mステ側が過度な配慮したのか...その真相は解りませんが、おそらくはどちらもあるのだろうと考えます。その方策、いわば(括弧付きの)オトナの対応が出演させないという不条理を徹底させてしまっているわけで、今のネット社会においてそういうオトナの対応が透けて見えてしまっている以上、早く状況を改善していただかないと不信感が生じるのでは?と強く思うのです。その不信感はMステに対してのみならず、ジャニーズ事務所やその所属歌手全体にも蔓延りかねないのではないか、と。

 

と、ここまで書いてきたのですが、そもそも論としてMステに今回取り上げた4組とジャニーズ事務所所属歌手を共に出演させることに何の支障があるというのでしょう。世間的なイメージとは別に個人的な見方を述べるならば、4組はアーティスト、ジャニーズ事務所所属歌手はアイドル。前者は音楽に特化したスペシャリスト、後者はバラエティ等へも進出するジェネラリスト...そう区分すると、両者に実はバッティングは存在しないかもしれないんですよね。