イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

父の日と父親の復権を願う

自分は”嫌い”という言葉が持ち合わせる蔑視感情が大の苦手ゆえ、そのパワーワードを極力使わないようにしています。”嫌いな芸能人ランキング”等が流れてくると、アンケートの存在自体を憂うと共に、市井もまた、よくもアンケートに応えるものだ...そう思ってしまうのです。

ですので、先日の父の日における日本の、嫌いとは言わないまでも暗に匂わせるような”父親軽視”には心底腹立たしさを覚えた次第。母の日に比べて父の日のプレゼント購入者が少ないということもさることながら、日本の、特にCMにおける父親の扱いの軽さってなんなのかと。昔に比べれば少なくなっているでしょうが。

他方、アメリカでは。

ビルボードTwitterアカウントでは現地時間の6月18日に歌手とその子どもの仲睦まじい写真が続々紹介されており、カニエ・ウェストジョン・レジェンド等が登場していました。中でも今年グラミー賞の最優秀新人賞を獲得したチャンス・ザ・ラッパーのこの笑顔が素敵だなあと。日本時間の日曜夜から月曜朝にこういう微笑ましい写真が流れてきたのですが、一方では日本の芸能人で父の日エピソードを発信する人がどれだけいるのかなと思ったり。ましてや、育ててくれた父親を無下にする家族(平成はじめに横行していたステレオタイプのイメージそのまま)のCMが流れるたびに、正直こんなことを平然とやってのける企業の商品を買うことを躊躇ってしまいます。

(ちなみにこの父親軽視と同様のベクトルで生まれているのが、今時の若者はなっていないという”若者軽視”のCM。たとえば、若者が就職を機に大家に別れを告げる際の引越サービスのCMで、大家がそのサービスを褒める際にわざわざ若者を非難するんですよね...しっかりしているのはサービスであってあんたじゃない、と。非難せず、純粋にサービスを褒めればいいだけじゃないかと理解に苦しみます。しかもそれが平日昼前の地元放送局で毎日流れているのですから、その放送を数年続けている局自体のイメージも悪化しかねないのでは、とも。不快感を抱いてしまうのは自分だけでしょうか。)

 

そんな父親軽視が未だ横行する日本において、父の日にしっかりと父親孝行したのがONE OK ROCKのTakaさん。森進一さんに対し、”息子・森内貴寛”としてメッセージを送っていました。

こういうメッセージを送ること自体、そして”父の日、おめでとうございます”という思い自体、今の日本にはまだまだ欠けていることかもしれません。非常に心地よいやり取りだよなあとしみじみしました。こういうやり取りが、これからの日本のエンタテインメント界でももっともっと増えることを望みます。そうすれば日本における父の日の、そして父親の復権が果たせるはずです。

 

ちなみに、今になってONE OK ROCK「We are」の好さに気付きはじめた自分がいます。レンタルショップでこのミュージックビデオが一時期大量に流れていたことがきっかけ。この疾走感と、自然な日本語の載せ方たるや。