イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

w-inds.の新曲「Time Has Gone」がまたも凄いことになっている

やはりこの曲の素晴らしさは紹介しないといけませんね。

ツアー開幕直前、このような形で新曲を発表した(現時点でリリース予定はない模様)のは、それだけこの曲が自信作であるという証拠。TD(トラックダウン。『レコード制作で、数多くのチャンネルに分けて多重録音されたものを混ぜ合わせ、音質や抑揚を決めて一つの曲にまとめていく過程』の意味。『』内はコトバンクより)までKEITAさんが手掛けているのですから驚きました。

 

個人的に特に強く惹かれたのは、今年上半期に好事家の間で話題になった彼らによる「We Don't Need To Talk Anymore」でみられた手法がこの曲でも用いられている点。

たとえばボーカルドロップ。こちらについては音楽ライターの柴那典氏が書いたこの記事が解りやすいです。

この曲で洋楽トレンドを見事に咀嚼したこと(しかもそれがKEITAさんによるもの)を示したw-inds.ですが、この曲でもボーカルドロップを使用。真のサビは(たとえば1番においては)1分06秒以降、”Time”の繰り返しからのタイトルフレーズのリフレインとなるのですが、こちらにはボーカルチョップ(ボーカルドロップと混同しやすいですが、ボーカルチョップは『あらかじめ録音された音声をずたずたに切り刻んで、細かくランダマイズして再生する手法』のこと。Akihiko Matsumoto Web - Vocal Chop / ボーカルチョップより)も用いられています。しかしながら単にボーカルチョップを用いたのみならず、サビ後半のタイトルフレーズのリフレインにおいて、機械化された声に生声が被せられているのが実に面白いんですよね。それにより、単にボーカルドロップのもつ高揚感(乱暴に言い換えれば、何も考えなくとも楽しめる感覚)を抱けるのみならず、この曲の持つ歌詞世界の輪郭をよりくっきりと浮かび上がらせる効果があるのです。

この曲の歌詞はまだ公開されていませんが、おそらくは”喪失”がテーマ(モノクロのミュージックビデオもそれを意味しているのかもしれません)。愛する人を失って変に気持ちが宙に浮く感覚と、そして気付いたときには悲しみの淵にいた...という歌詞の主人公の心情が、このボーカルドロップ、そしてボーカルチョップと生声のブレンドに表れているように思います。

 

 

もっともっとこの曲についての研究が必要と思いつつ、しかし曲を聴く毎に新たな発見がある他、単純に何度聴いても飽きないというのは見事としかいいようがなく、w-inds.恐るべし!なのです。