イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

音楽プロデューサーによる音の刻印、その様々なパターンを知る

先日発表されたR&B歌手、ヴィヴィアン・グリーンの新曲。その冒頭に日本語が。

レゲエテイストのビートが印象的なこの曲で、そのビートに乗せて”音の科学者 クワメ”という声が挿入されていますね。これはプロデューサーのクワメによる、この曲が自身の作品であることを示すもの。自分はこれを【プロデューサーによる音の刻印】と呼んでいます。音というか、この場合、または前のアルバムからの先行曲も同様に声の刻印ではありますが。

この刻印、ふとしたタイミングで入っていることも多く。

ヒップホップ/R&Bプロデューサーのマイク・ウィル・メイド・イットが手掛けたこの全米1位曲では、動画において歌い(ラップ)終わりの4分21秒で”マイク・ウィル・メイ...”の(それも完全に刻印しているわけではない)声が挿入。これは結構さりげない方。

一方、目立ちに目立っているのがロドニー・ジャーキンス。またの名を”ダークチャイルド”。

ロドニー本人の声で言うか歌手に言わせるか、冒頭に配するか最後に置くかはバラバラ。でも”ダーチャーィ!”という刻印は特徴的。それをより強めたものが。

ここまではっきり言われるとジャネットじゃなくとも笑わざるを得ないというか、逆に格好いいというのはクワメと同じかと。

 

一方、声ではなく音で刻印を残すのが日本人プロデューサーのSTY氏。以前、宮野真守「POWER OF LOVE」と取り上げた際にこの刻印が入っていることを取り上げましたが(【Diggin'】J-Pop × ゴスペル...あの人を軸に各プロデューサーの作品を追う(8月4日付)参照)、刻印の最たる例がこの曲じゃないかと。

”\フォーン/”的な音が大小合わせ20回近くは入っています。動画がショートバージョンであるため実際はもっと入っているはずですが、この音は本人曰く、”STYスタンプ音”と呼んでいるそう。『デジタル配信・YouTubeの時代に作家やプロデューサーなんて全く注目されない』時代ゆえの策(『』内はリンク先より。ただしリンク先の元のツイートは削除されているため、今では『』内の考え方が変わってきてかもしれません)だとしたら、先見の明をもったSTY氏の戦略は流石だなと思うのです。

このSTY氏が新たに手がけるダンスヴォーカルユニットがBANANALEMON。

初のミュージックビデオとなるこの曲の冒頭で、いきなり出てくる音の刻印。STY氏による作品であることを強烈に印象づけさせるのみならず、氏が手掛けた作品群(三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBE三浦大知さん、安室奈美恵さん等)にハマった方の潜在意識を呼び起こすという意味でも極めて有効に作用するのではないかと。BANANALEMONの名を知らずとも音の刻印は知っている、ならばBANANALEMONも高いクオリティを持った方だろうから注目してみよう...という人々の思考回路に訴えていくのが、音の刻印の役目なのだと考えます。

 

 

これからは音の刻印に注目していくと、ますます音楽の世界が広く深くなっていくはず。楽しいですよ。