10月からはじまった、NHK・民放連共同ラジオキャンペーン【#スマラー】の一環として先月末放送された番組、そしてそこに用いられた”ラジオスター”の文言に、違和感を抱いています。
特別番組『ラジオスターがお悩みに回答!10代限定相談室』26日(日)まで全国の放送局で随時OA!各局の放送時間はコチラ↓https://t.co/13i6rIUqGk
— スマラー公式 (@smara_now) 2017年11月24日
是非、感想は #スマラー で! #radiko pic.twitter.com/dDrLZuxcLc
(現在は放送終了)
渡辺直美さん、山里亮太さん、高橋みなみさん…いずれも現在ラジオ番組のレギュラーを持っている方で、山里さんに至っては2本担当しています。しかしながら彼らにはお笑い等の本業があり、元来その世界で成功を収め知名度を上げたことがラジオ出演のきっかけだったのではないかと。現在担当中の番組が支持され本気で取り組んでいるからこその起用に異論はありませんが、ならばせめて、この中にラジオを本業とする、もしくはラジオきっかけで有名になった方がいてほしかったなと。クリス・ペプラーさんやジョン・カビラさんのような、今は多方面で活躍していますがラジオがきっかけとなって他分野に進出した方がいなかったのは寂しい限り。“ラジオスター”という表現には本来、”ラジオ発で有名になった”(本業が別にありながらラジオで有名になり本業にもスポットが当たった方も含めていいでしょう)という意味もあるものと考えると、ラジオ好きな方ほどこの人選に違和感を抱いた気がします。ただ、今回は”スマラー”キャンペーンの一環として、普段ラジオを聴かない新規リスナーの開拓を目的にしていることを踏まえれば、人選はやむなしかもしれませんが。
今回の件を踏まえた上で、では“ラジオスター”を作るためには...と考えたのですが、現状において道はほぼ存在していません。実はそこが問題です。
真っ先に思い浮かぶだろう道はオーディション。J-WAVEでの告知をたまに見かけますが、毎年恒例とまでは言えないでしょうし、地方局となると更に開催頻度は低くなります。 結局、ラジオ局(テレビ局との兼営局含む)のアナウンサーになる、ラジオDJセミナー経由等でラジオDJ専門の事務所に所属する、そして山里亮太さん等のように他の分野で有名になりラジオにスライドする…というのがラジオDJの近道になってしまうのです。“ラジオスター”という名前をキャンペーンで用いるからには、次世代のラジオDJを生む(そしてそのための種をまく)ということも当然意識下にあると思いたいのですが、その開拓に意欲的にならないと芽は育たない気がします。
そしてもうひとつ。仮になれたとしてもギャランティーが安いことは大きなネックです。”ラジオ ギャラ”で検索すると実情が見えてきます(とはいえ、信憑性に欠けるものが多いのですが)。自分はアナウンスセミナー受講の際、講師のアナウンサーの方から”フリーのラジオパーソナリティになってもラジオだけでは食べていけない”とはっきり言われています。一昔前に比べて聴取率調査週間(いわゆるスペシャルウイーク)での賞品が減り、また単価が抑えられていることからも、厳しい財政状況であることは如実に伝わってくるのですが、でもそれでいいのでしょうか。花形に映る業界ならば、現実に足をつけつつもつま先立ちするくらいのギャランティーであってほしいですし、それがラジオに憧れを持つ方の業界入りの動機のひとつになるはず。喋り手のみならずスタッフ全体のギャランティーも上げることで、そのギャランティー確保のための局の営業力底上げにもつながるはずです。
(なお、自分が担当するラジオ番組は、在籍するNPO法人が担当する枠の中にあり無償で行っています(逆に、NPO法人に会費を支払っています)。しかし、ギャランティーなしだからといって決してやっつけではありません。ラジオ愛と放送を無事遂行させるという義務感をもってやっていますし、どこにも所属してないことを踏まえて業界に対し敢えて厳しい物言いもさせていただいています。)
ラジオ業界が、それもNHKと民放が組んで”ラジオスター”という言葉を使った番組を用意したならば、ラジオ発のスターを作り上げること、そのための登竜門や業界に憧れるくらいのギャランティーを用意することが必要です。非現実的と揶揄されるかもしれませんが、でも決して難しいことではないはず。番組のターゲットが10代だったならば尚の事、ラジオが面白い、目指したいと思わせる土壌を作ることは、先細りしていると言われる業界においては急務です。