イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

2018年上半期 社会的ヒット10曲を選んでみました

昨日放送の『わがままWAVE It's Cool!』(FMアップルウェーブ 日曜17時)では、DJのしょうごくんによる今年上半期の話題の音楽総決算特集をお送りしました。お聴きくださった皆さん、ありがとうございます。

というわけで自分も便乗(?)して、今年上半期に日本そして海外で話題になった10曲を取り上げてみたいと思います。私的な邦楽ベストはすでに取り上げたので、今回はより客観的に、社会的にヒットした&今後影響を与えるであろうという基準で判断してみたいと思います。

 

① ドレイク「God's Plan」 

ビルボードソングスチャートで初登場から11週連続の首位を獲得。制作費約1億円のミュージックビデオ撮影→音源公開→ビデオ公開(による制作費の使い方タネ明かし)…という順序立てがチャートにハマり、ストリーミングは歴代2曲目となる週間再生回数1億突破。そしてドレイクを破ったのはドレイク「Nice For What」…というとんでもない記録も打ち立てました。

 

② ポスト・マローン feat. タイ・ダラー・サイン「Psycho」

今年上半期の米ビルボードアルバムチャートで週間最大となるユニット数を叩き出したのがポスト・マローン『Beerbongs & Bentleys』。アルバムがロングヒットしたこともありこの曲が登場15週目にして首位を獲得するという、ヒップホップでは珍しい記録を達成。ドレイク同様に"ラッパーが歌う"というスタイルを確立し、ヒップホップのジャンルレス化が進んでいるその最たる例になったと言えます。

 

ブルーノ・マーズ feat. カーディ・B「Finesse (Remix)」

今年のグラミー賞の主役となったブルーノ・マーズが、今年シングルカットしたニュー・ジャック・スウィングな逸品。シングル化にあたり新たに招かれたカーディ・Bのいい意味でいなたいラップやミュージックビデオも含め、80年代終わりから90年代前半の空気が全開。それを徹底してやり尽くすことで格好良く仕上がっているのです。

 

④ ケンドリック・ラマー feat. SZA「All The Stars」

米で歴代興行収入3位の大ヒットとなった映画『ブラックパンサー』は、グラミー賞常連であり(しかしながら未だ最優秀アルバム賞を獲れずじまい)、また昨年のアルバム『DAMN.』にピューリッツァー賞が与えられたケンドリック・ラマーが音楽を全面監修。現代ブラックパワームーブメントの最重要作品となったこのサウンドトラックから、グラミー賞最優秀新人賞候補となったSZAを加えたこの曲を。

 

BTS「Fake Love」

洋楽の位置付けで紹介。韓国/アジア初の米ビルボードアルバムチャート制覇という偉業を成し遂げた『Love Yourself : Tear』からのナンバー。アルバムはどうやら特典の関係上ユニークユーザーがフィジカルの売上枚数と乖離しているように思われますが、これを機に知名度が上昇し実力の高さが世に知られる可能性は大。また、国に関係なく米チャートを制することが出来るという証明にもなりました。

 

⑥ 米津玄師「Lemon」

ここからは邦楽。ビルボードジャパンソングスチャート上半期1位。ドラマ主題歌決定→ドラマ初回直後にデジタルダウンロード解禁→ミュージックビデオ公開→シングルCDリリース…という流れはドレイク「God's Plan」と似ている気が。ネットとの親和性、アルバム『BOOTLEG』のロングヒット、ドラマ『アンナチュラル』の(リアルタイム視聴率以上の)ヒット…等追い風要素も多々。

 

欅坂46「ガラスを割れ!」

アイドルはシングルCDセールスに重きが置かれすぎて他指標が伴わない…というのは坂道2グループには当てはまらない気がします。特に昨年の『紅白』で強烈な印象を残した彼女たちについては、その唯一無二のコンセプト(世界観)から知名度も上昇、大手企業のタイアップもあってシングルCDセールス以上の盛り上がりをみせています。これはライバルと称されたAKBグループにはない動きといえるでしょう。

 

星野源ドラえもん

タイアップ先の作品に対して、その作品のタイトルそのものを曲名とするという考えはさすが星野源さんといったところ。先日亡くなった桂歌丸氏が活躍した『笑点』のテーマ曲的イントロ(この点は昨日しょうごくんに教えてもらい、激しく納得)も相まって、親しみやすさは高レベル。事務所所属歌手ではPerfume福山雅治さん、サザンオールスターズ…と次々に映画タイアップを手にしており、事務所の手腕の見事さも印象的です。

 

DA PUMP「U.S.A.」

海外が「Finesse (Remix)」なら日本は「U.S.A.」…90年代オマージュを取り入れ、ユーロビートへの挑戦や衣装など全てがダサいながらも、彼らが本気で取り組むことが格好良いとして急激にネットでの浸透度を高めた逸品。荻野目洋子「ダンシング・ヒーロー (Eat You Up)」然り、MAXの復帰作となった「Tacata'」然り、こちらも事務所のカバー戦略が実に上手いと実感します(尤も、「ダンシング・ヒーロー」は学校側が自主的に取り入れたのが発端かもしれませんが)。長時間音楽番組への出演も次々果たしており、息の長いヒットになる予感が。

 

小袋成彬 feat. 宇多田ヒカル「Lonely One」

アメリカでは才能あるミュージシャンが若手をフックアップし世に送り出すのは普通ゆえ、日本でこの2人の関係性を怪しむゴシップ(どのメディアかは失念しましたが)を目にしたときには唖然としたものです。いや、仮にゴシップが百歩譲って事実だったとして、フランク・オーシャン的アンビエントで日本では稀な世界観を持つ小袋さんを宇多田さんが勧める姿勢は音楽家ならば自然なことではないかと。こういった作品がメジャーレーベルから出ることに意味があるのです。

 

 

昨日のラジオ番組で紹介された楽曲と被りはありますが(③⑥⑦⑧⑩)、この特集が決まってから2週間選曲を悩んだというしょうごくん同様、自分も長考しました。候補曲は他にもいくつか浮かび、いい曲や話題曲は少なくなかったんだよなあと実感しています。これを読んでくださっている方も、私的ベストと社会的ヒット曲という2つの観点で上半期ベストを選んでみると面白いかもしれません。