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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

米ソングスチャート、またもドレイクからドレイクへの首位交替…その原動力はネット現象にあり

ビルボードソングスチャートを定点観測。

現地時間の7月16日月曜に発表された、7月21日付最新チャート。前週、アルバム『Scorpion』の発売に伴い数々の新記録を樹立したドレイクですが、ランクダウンする曲が多い中前週6位だった「In My Feelings」が首位に上り詰めました。これにはネットでの現象が大きく関わっています。

記事は下記に。

そしてトップ10はこちら。

ドレイクのアルバム『Scorpion』は登場2週目となる同日付アルバムチャートで335000ユニットを獲得し首位をキープしましたが、前週比46%弱と大きく下がったこともあり、ソングスチャートでも順当に下がっていくものと思われました。しかしながら「In My Feelings」は例外。ストリーミングは前週比58%アップ、デジタルダウンロードに至っては同337%ものジャンプアップで2指標首位。ラジオエアプレイは同239%アップで3650万を叩き出し29位に登場しました。チャートを構成する3指標の全てで大幅上昇したその理由は、いわゆる"チャレンジ"モノに同曲が選ばれたゆえ。

一昨日bmrも記事にしていますが、その後もウォーク・ザ・ムーン等が挑戦しています。

"チャレンジ"モノのヒットが増えていることはbmrでも書かれていますが、ドレイクのダンスといえば「Hotline Bling」における珍妙なダンスという例がありました。

ドレイクをネタにするという行為は、「Hotline Bling」で示された彼の懐の深さが元になっている…と思うのは考えすぎでしょうか。

ともかく、今回「In My Feelings」がトップに躍り出たことで、またもドレイクは数々の記録を打ち立てています。前週「Nice For What」が首位でしたが、首位の座を自ら交替に至らせたケースは自身2度目(前回は4月21日付、「God's Plan」→「Nice For What」)。2度目というのはジャスティン・ビーバー、アッシャーおよびビートルズに並ぶ最多記録です。また今回でドレイクは客演を含む6曲目の首位獲得となり(「In My Feelings」、「Nice For What」(8週)、「God's Plan」(11週)、ウィズキッド&カイラをフィーチャーした「One Dance」(10週)、客演としてリアーナとの「Work」(9週)、および同じくリアーナとの「What's My Name?」(1週))、ディディ(パフ・ダディから幾度か改名を繰り返し現ディディ)、エミネムおよびリュダクリスを破ってラッパーで最多記録に。また今回の1位獲得で、歴代7組目となる通算首位獲得週40週を記録。マライア・キャリー(79週)、リアーナ(60週)、ビートルズ(59週)、ボーイズIIメン(50週)、アッシャー(47週)、ビヨンセ(42週)に次ぐ形となっています。

アルバム『Scorpion』からは「God's Plan」「Nice For What」に次ぐ3曲目の首位獲得となり、ジャスティン・ビーバーがアルバム『Purpose』(2015)から「What Do You Mean?」「Sorry」「Love Yourself」を2015年から翌年にかけて首位に送り込んで以来の記録となりました。また同じ年のうちに3曲が1位になったのはケイティ・ペリー以来(アルバム『Teenage Dream』(2010)収録で、スヌープ・ドッグをフィーチャーした「California Gurls」および「Teenage Dream」「Firework」)。また先述したとおり「In My Feelings」はストリーミング指標を制しましたが、同指標では7曲目となる首位獲得となり歴代最高を更新(2位はジャスティン・ビーバーの4曲)。デジタルダウンロードでは10曲目の首位となり、テイラー・スウィフト(15曲)、リアーナ(14曲)、ケイティ・ペリー(11曲)に次ぐ歴代4位となりました。

ちなみに今週も首位が入れ替わり、7週連続での首位交替となったわけですがいずれもヒップホップの楽曲。ヒップホップ自体、これで25週連続で首位に居続けてています。

 

2位以下をみてみると、カーディ・B feat. バッド・バニー&J・バルヴィン「I Like It」が1ランクアップの2位に。ラジオエアプレイでは前週から5ランクアップし同指標首位に立ちました。カーディ・Bがラジオエアプレイを制するのは、ブルーノ・マーズに客演参加した「Finesse」以来2曲目で、ラジオエアプレイでヒップホップが弱いとされているものの彼女が例外であることが解ります。

注目は5位に再浮上した(およびトップ10内に返り咲きを果たした)エラ・メイ「Boo'd Up」。今回自己最高位を更新した同曲の原動力のひとつに多数のリミックスの存在もあると言えます。

今回、ニッキー・ミナージュとミーゴスのメンバーであるクエヴォが参加したリミックスが牽引し、デジタルダウンロードで前週比29%アップし同指標4位、ストリーミングは同5%アップし8位、ラジオエアプレイは同12%アップし12位といずれも上昇。リミックスが多数制作されるのは曲が支持されている証拠と言えますが、さらなるリミックスも登場しているそうで、どこまで伸びるかが注目です。

 

ちなみに今週、Twitterに投稿された画像やトップ10紹介動画ではポスト・マローン「Better Now」が10位に登場したとありますが、正確にはエクスエクスエクステンタシオン「Sad!」が10位とのことです。