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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

米ソングスチャート、ヒップホップの連続首位記録が34週で終了

ビルボードチャートを定点観測。

現地時間の9月24日月曜に発表された、9月29日付最新チャート。10週連続で首位を記録していたドレイク「In My Feelings」が遂に陥落、マルーン5 feat. カーディ・B「Girls Like You」が首位に立ち、34週続いていたヒップホップ楽曲の天下が潰えました。

記事は下記に。

そしてトップ10はこちら。

"#InMyFeelingsChallenge"ムーブメントの収束に伴いポイントが急激に下降しながらもこれまで首位を保っていた「In My Feelings」でしたが、遂にその座を明け渡してしまいました。ストリーミングは3900万(同指標5位)で前週比2%、デジタルダウンロードは19000(6位)で同14%、ラジオエアプレイは6730万(8位)で同20%、全ての指標でダウン。他方「Girls Like You」はストリーミングが2540万(同指標10位)で前週比3%、デジタルダウンロードが21000(4位)で同3%、それぞれダウンしていますが、ラジオエアプレイが好調で1億2760万。同指標で9週目の首位を獲得し、さらに前週比2%上昇しています。これにより「In My Feelings」は総合で9%ダウンしたのに対し、「Girls Like You」は3%ダウンに留まったことで逆転に至ったというわけです。

60年のチャート歴史上、1078曲目の首位となった「Girls Like You」は、2017年5月12日付で「Makes Me Wonder」が初めて首位を獲得して以降、クリスティーナ・アギレラを招いた「Moves Like Jagger」(2011)、「One More Night」(2012)に次いで、マルーン5にとって4曲目のNo.1楽曲に。アルバムバージョンでは客演なしでしたがシングル化にあたり新たに招かれたカーディ・Bにとっては、デビュー曲の「Bodak Yellow (Money Moves)」(2017)、バッド・バニー&J・バルヴィンとの「I Like It」(2018)に次いで3曲目の1位となります。

とりわけ好調のラジオエアプレイにおいて、マルーン5はこれまで自身が持っていた8週首位の記録(「One More Night」および、ケンドリック・ラマーをフィーチャーした「Don't Wanna Know」(2016-17))を破る形となったのですが、これはもしかしたら、来年のスーパーボウルにおけるハーフタイムショーをマルーン5が担当するのでは?という9月19日付の記事が、ラジオエアプレイを好転させたのではと睨んでいますが果たして?

「Girls Like You」はジャンルとしてはポップに該当。カミラ・カベロ feat. ヤング・サグ「Havana」以来となるポップ楽曲の首位獲得となりました。その間、実に34週も連続でヒップホップ楽曲が首位を獲得(ドレイク「God's Plan」(11週)、「Nice For What」(8週)、チャイルディッシュ・ガンビーノ「This Is America」(2週)、ポスト・マローン feat. タイ・ダラー・サイン「Psycho」(1週)、エクスエクスエクステンタシオン「Sad!」(1週)、カーディ・B 、バッド・バニー&J・バルヴィン「I Like It」(1週)およびドレイク「In My Feelings」(10週))…ヒップホップの強さが伺えるのみならず、その前後で首位を獲得したポップソングもまたラッパーが参加しており、ヒップホップが如何に重要なジャンルであるかが分かります。

その「Havana」と「Girls Like You」には共通点が。共に初登場での順位は低く、また首位獲得までに長時間を有した形。「Havana」は2017年8月26日付で99位に初登場し、23週かけて首位を獲得(首位に至るまでの間、2位に7週在籍)。「Girls Like You」は6月9日付で94位に初登場、17週で頂点に立ちました(こちらも首位に至るまでの間、2位に6週在籍)。他方、この2曲の首位獲得までの間、34週首位を獲得した7曲のヒップホップ楽曲のうち「Sad!」を除く6曲が初登場でトップ10入り、うち「God's Plan」「Nice For What」「This Is America」が初登場で首位を獲得しており、ヒップホップとそれ以外でのチャートアクションもまた興味深いところ。尤も、初登場で高位置につけながらも翌週大幅にランクダウンする曲も少なくないため、曲が高質で、支持を集め続けることが大事ではあるのですが。

 

3位はエミネム「Killshot」が初登場。

不穏な画ですが…これはラッパーのマシン・ガン・ケリーへのディストラックゆえ。前週、そのマシン・ガン・ケリーがエミネムに宛てた「Rap Devil」が13位に初登場を果たしましたが、さらにその上を行く形に。ストリーミングは5130万で2位、デジタルダウンロードは38000で1位となりました。エミネムはアルバム『Kamikaze』をリリースしたばかりで、アルバムが初登場首位を獲得した2週前に収録曲「Lucky You」および「The Ringer」が6位と8位に初登場を果たしたばかりで、今回の「Killshot」がエミネムにとって20曲目のトップ10入りとなり、ラッパーではドレイク(31曲)、ジェイ・Z(21曲)に次ぎ、リル・ウェインと並んでラッパーでは3位タイとなりました。

そして10位には、日本を舞台にしたミュージックビデオを制作した、オーストラリアのバンド、ファイヴ・セカンズ・オブ・サマーによる「Youngblood」が1ランクアップで登場。彼らにとって初のトップ10入りとなりました。

ラジオエアプレイが好調で前週比14%アップの8320万(同指標5位)、デジタルダウンロードは前週比変わらずの20000(同5位)を獲得。3枚目のアルバムで、6月30日付でアルバムチャートを制覇した作品のタイトルトラックがこの「Youngblood」。リードシングル「Want You Back」は最高61位、また彼らのキャリア史上これまでの最高は「Amnesia」(2014)の16位でした。「Youngblood」はラジオエアプレイが好調ゆえ、ストリーミングが躍進すれば上位を狙える可能性は十分ありそうです。

 

さて次週ですが、「Girls Like You」がやんわりと下降していること、エミネムがそのまま勢いを保てるかが不明なゆえ、首位が絶対視される曲が見当たらない気がします。ファイヴ・セカンズ・オブ・サマー「Youngblood」がチャートに風穴を開ける可能性もあり、そのアクションを注目してみたいと思います。