今週月曜に続いて、”攻めのゴスペル”最新曲を紹介。
前週10月6日付米ビルボードゴスペルソングスチャートで3位に初登場を果たしたのがエリカ・キャンベルとウォーリン・キャンベルによる「All Of My Life」(最新10月13日付では14位に急落)。これが実に逞しいというか、ここ数年人気のヒップホップのいちジャンルである”トラップ”を引用した一曲。後半にはエリカの3連フレーズも出てくる、夫婦名義での初共演作なのです。
ヒップホップ/R&B要素の強さから、bmrでも紹介されています。
メアリー・メアリーのエリカ・キャンベルが、夫ウォーリン・キャンベル参加で、トラップを取り入れた新曲“All Of My Life”を発表、ミュージック・ビデオを公開! この夫婦を中心にキャンベル家を追ったリアリティ番組の中でお披露目されていた新曲。 [video] https://t.co/siXgyD7WZe pic.twitter.com/dgR3OhUXVM
— bmr (@bmr_jp) September 30, 2018
妹ティナとの姉妹ゴスペルデュオ、メアリー・メアリーがアルバム『Thankful』でデビューしてから18年、その翌年にエリカと(1990年代後半から仕事を一緒にしていた)R&B/ゴスペルプロデューサーのウォーリン・キャンベルが結婚し3人の子供を設け、現在に至っています。bmrにあるようにこの曲はリアリティ番組『We're The Campbells』(TV One)発の楽曲ゆえかチャートで初登場ながら高位置につけたと思われます。
それにしても、プロデューサーとして引く手あまたのウォーリン・キャンベルが前面に出てくるのってかなり珍しいですね。妻の妹の夫、テディ・キャンベルがリードボーカルを務めるゴスペルバンド、ソウル・シーカーズ(The Soul Seekers)のメンバーである以外はほぼ、前に立つ機会はないと思われます(なお、ウォーリンとテディは同姓ながら血縁はありません)。
思いつく限りでは、愛称”ベイビー・ダブ (Baby Dubb)”名義で参加したゴスペルボーカルグループによる12年前のこの曲とか。
・メン・オブ・スタンダード feat. ベイビー・ダブ「Everybody」(2006)
それと、「All Of My Life」では夫婦名義での初共演作と書きましたが、アルバム『Mary Mary』(2005)に収録された「Save Me」ではベイビー・ダブが客演参加しラップを披露しています。姉妹デュオ+姉の夫という組み合わせでは共演済。
そのベイビー・ダブで思い出したのが、アルバムリリースを心待ちにしながら未だリリースされずじまいのジョイスター(JoiStaRR)。
ジョイスター、本名ジョイ・キャンベルはウォーリン・キャンベルの実の妹。2002年にリリース予定だったアルバムはお蔵入りになってしまいました(その中にはアシャンティも「Foolish」で用いていたデバージ「Stay With Me」使いの曲も)。が、2010年代に入り複数のミックステープをリリースしそれらは彼女の以前のYouTubeアカウントでも公開されています。
新しいYouTubeアカウントの更新は4年前で止まっているものの、「All Of My Life」をアップしたウォーリン・キャンベルのレーベル、My Blockの公式アカウントにて、ジョイスターの動向を確認出来ます。最新曲は今年春にリリースした「Cocoa Butter」。
そして現在「Girls Like You」が3週連続で米ビルボードソングスチャートを制しているマルーン5のメンバーでもある、PJモートンとのデュエット、「Nothing Even Matters」。ローリン・ヒル&ディアンジェロの名曲を美しく紡いでいます。
ファーストアルバムのお蔵入りから16年、アルバム制作の過程を想起すればメアリー・メアリーとほぼ同じ期間音楽活動を続けてきたわけで、ジョイスターには是非とも兄のレーベルから日の目を見てほしい、ファーストフルアルバムを出してほしいと切に願います。その時は最初に紹介した夫婦共演よろしく、兄妹共演があれば温かいなあとも。