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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

ビルボードジャパンソングスチャート、ルックアップがカウントされながらもCDセールスゼロ?の現象

昨日発表された、最新10月22日付ビルボードジャパンソングスチャート。

これを踏まえての第一印象。

King & Princeがデビュー曲までとはいかずもシングルCDセールスが35万を超えており、またTwitterとルックアップでも首位を獲得。ですが、ジャニーズ事務所所属歌手はデジタル未解禁。デジタルダウンロード、ストリーミングおよび動画再生の各指標がないゆえKis-My-Ft2「君、僕。」は1→11位というチャートアクションになっています。未解禁なままでいることが勿体無いと思ってしまうのです。

 

そんな中、面白い動きを見つけました。シングルCDセールス未ランクインながら、ルックアップのみランクインする曲が上位に登場しています。ルックアップとはシングルCDがないとカウントされず、ゆえに星野源「アイデア」は両指標がゼロ。またシングルCDセールスが長けてもCD購入者数が売上枚数と著しく乖離している歌手の場合はルックアップが極度に低くバランスがとれていないということもあるのですが。その曲はAAAの西島隆弘さんことNissyによる「トリコ」。

今週14位に登場、2週前に最高位となる9位を記録しています。

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各指標の推移はCHART insightから曲名をクリックすると確認出来ます。また一指標だけを取り出したり、複数の指標で比較することも可能です。そこでシングルCDセールスとルックアップを抜き出してみると。

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ルックアップは10月8日付で41位に初登場、25位に上昇するも最新チャートではランク圏外へ。他方シングルCDセールスは全期間ランクインしていません。またこの「トリコ」はレンタルも解禁されていない状況です。 下記はTSUTAYA DISCASの画面より。

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”Nissy”で検索すると6件のみ、「トリコ」も出てきません。ということはシングルCDはどこに?と思うのが自然なこと。そこで公式サイトを確認したところ、シングルCDは販売されているもののその販売網が制限されていることが判明しました。

※本商品は、AAA Party、AAA mobile、mu-moショップ、え~ショップのみでの取扱いとなります。

NEW SINGLE「トリコ」9月30日(日)リリース決定&新曲「トリコ」が映画『あのコの、トリコ。』主題歌に決定! - NEWS | Nissy(西島隆弘) OFFICIAL WEBSITE(7月11日付)より

この販売網が全て、ビルボードジャパンにおけるシングルCDセールス指標(サウンドスキャンが調査)においては対象外という形に。

サウンドスキャンのフィジカルセールスと他社の違いは何ですか。

(中略)

マネジメント等による直接販売は同データが得られないため、推定対象にしていません。

ビルボードジャパンの自問自答 | Special | Billboard JAPANより

ゆえに珍しい現象が発生することになるのですね。

 

それにしてもNissy側のフィジカル(CD)とデジタルの徹底具合はすごいなと実感させられます。デジタルダウンロードおよびストリーミングを8月24日に先行配信することで、シングルCDを出さずともユーザーフレンドリーな姿勢を示し、他方シングルCDは通常盤でも税込2400円と高いながら、店頭に並ばないことで購入意欲が高まり、またレコード会社にとっては販売網を限定することで在庫管理しやすい仕組みとなっています。既にアルバム『HOCUS POCUS 2』(2017)でも同様の方針が採られており、購入網限定によるファンのさらなるコア(なファンへという意識の変)化が図られることで、最終的には今年春の東京ドーム2日間公演の成功につながったといえるかもしれません。

記事には『CDを店頭販売していないアーティスト初』とありますね。遅ればせながら今回気付いた次第です。

 

Nissyが採った販売網の限定という施策、もしかしたら今後増えてくるかもしれません。フィジカルの価格を高めに設定しても、それが逆にファンの購入意欲を高めさせ、また利益は確保出来るでしょう。ただ今回の「トリコ」に関してはシングルCDセールスが一切カウントされておらず、それがチャートアクションを鈍らせる結果となったのが勿体無いと思ってしまう自分がいます。その点をどうクリアするか、考える必要がありそうです。