イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【訂正あり】欅坂46「黒い羊」、シングルCDセールス指標加算2週目の動向は特筆すべき…3月18日付ビルボードジャパンソングスチャートをチェック

3月4日~10日を集計期間とする、3月18日付チャートが昨日発表されたビルボードジャパン。総合ソングスチャートは関ジャニ∞「crystal」がトップに立ちました。

関ジャニ∞「crystal」ですが、前作「ここに」(2018)のシングルCDセールス指標初加算週と比べ、総合ポイントは前作比86.7%と高くありません。そして「ここに」ではルックアップ指標も制していましたが、今回同指標は2位どまり。この指標を制したのが欅坂46「黒い羊」でした。この「黒い羊」、シングルCDセールス指標加算2週目の動向には目を見張るものがあるのです。

「黒い羊」については前週の分析で、シングルCDセールス初加算週の動向が芳しくない旨を書きました。が、記載した直後に、シングルCDセールスが伸び悩んだ理由は日向坂46(旧けやき坂46)の独立に伴う個別握手会の影響が大きいという指摘をいただき、ブログエントリーを追記した経緯があります。

このブログエントリーを記載した日、中心メンバーのひとりである長濱ねるさんが突如グループから卒業することを発表しました。

そしてどうやら卒業コンサートが行われず、9回開催される東名阪の握手会のうち今月開催の3回(東名阪各1回ずつ)が欅坂46としての最後のステージになるとのこと。

早いところでは9日(発表の2日後)の幕張メッセが開催済。となると長濱ねるさんに最後の挨拶をしたいと思う方が、全国握手会参加券が封入されたシングルCDを購入した…それが最新チャートに反映されたのではと推測します。

 

 

(※追記 (3月14日11時50分):長濱ねるさん卒業アナウンス後に販売数が伸びた(ことはブログエントリー後半で記載していますが)、全国の店舗で発売されたシングルCDに封入されていた握手券は、“個別”ではなく“全国”握手会でした。つきましては訂正を実施するとともに、教えてくださった方に感謝申し上げます。)

 

 

ではシングルCDセールスの動向を中心に確認しましょう。データは先週のブログを引用し、いくつか追加しています。

※各指標について

 ・ポイント:総合ポイント

 ・ポイント前週比:前週および当週共に50位以内にランクインした場合のみ計算(50位未満は総合ポイントが表示されない)

 ・上記の理由により50位未満、総合ポイントで比較不能時は※で表示

 ・各指標について

  (詳細はビルボードジャパンの自問自答 | Special | Billboard JAPANをご参照ください)

   CD:シングルCDセールス

   DL:デジタルダウンロード

   ST:ストリーミング

   RA:ラジオエアプレイ

   LU:ルックアップ

   TW:Twitter

   MV:動画再生

   KA:カラオケ

 ・各指標毎順位における[-]はランク圏外、[ ](ブランク)はランクインせず。これらはCHART insight | Billboard JAPANから曲名をクリックすると確認可能

・「ガラスを割れ!」(→YouTube CD発売:2018年3月7日)

日付 ポイ
ント
前週
総合
順位
CD DL ST RA LU TW MV KA
2018/3/19 45449 1 1 2 3 17 1 1 3
2018/3/26 11534 25.4% 3 3 5 1 36 2 7 5

シングルCDセールス:893632枚→60334枚(前週比6.8%)

 

・「アンビバレント」(→YouTube CD発売:2018年8月15日)

日付 ポイ
ント
前週
総合
順位
CD DL ST RA LU TW MV KA
2018/8/27 42352 1 1 1 5 24 1 1 13
2018/9/3 8593 20.3% 5 2 9 3 32 2 9 25

シングルCDセールス:837390枚→47065枚(前週比5.6%)

 

・「黒い羊」(→YouTube CD発売:2019年2月27日)

日付 ポイ
ント
前週
総合
順位
CD DL ST RA LU TW MV KA
2019/3/11 41626 1 1 2 5 10 1 1 18  
2019/3/18 10946 26.3% 2 2 15 5 46 1 6 16  - 

シングルCDセールス:745566枚→69451枚(前週比9.3%)

 

(※カラオケ指標は2019年度からの導入ゆえ、「ガラスを割れ!」「アンビバレント」のシングルCDセールス加算初週およびその翌週は未加算となっています。)

シングルCD初週セールスが最高を記録した「ガラスを割れ!」に比べて、「黒い羊」はおよそ15万枚少ないスタートだったものの、2週目のシングルCDセールスは前週比の9.3%と昨年の2作品よりも高く、また2週目の売上69451枚は「ガラスを割れ!」の同週比115.1%とこちらも高い数値を誇っています。シングルCDセールス指標加算2週目における総合ポイントでは「ガラスを割れ!」の11534ポイントに及ばなかったものの、「黒い羊」のシングルCDセールス指標加算初週からの総合ポイント推移は前週比26.3%となり、「ガラスを割れ!」の25.4%を上回りました。尤も総合ポイントにおいてはカラオケ指標の導入や各指標毎のウェイト付けの変更もあったかもしれず単純比較は出来ませんが、いずれにせよ高水準であることは間違いありません。

もうひとつ、特筆すべきは先述したルックアップ指標。「ガラスを割れ!」以降すべて、シングルCDセールス指標加算初週はルックアップ指標も1位となっているのですが、「黒い羊」はシングルCDセールス指標加算2週目も首位に立ち、「風に吹かれても」(2017)以来の記録を達成しました。ルックアップはパソコンに取り込んだ際にインターネットのCDデータベースにアクセスした回数を指しますが、坂道グループはレンタル解禁日をアルバムと同じく発売から3週間後(実際は17日後)に設定しているため、シングルCDセールス2週目はどうしてもルックアップ指標が落ち込む傾向にあります。にもかかわらず「黒い羊」は今週もルックアップを制覇、しかも関ジャニ∞は「crystal」の前作、「ここに」のシングルCDセールス加算初週においてルックアップ指標も制覇しているため、「黒い羊」は強豪を破ってのルックアップ指標制覇となるのです。他方、デジタルダウンロード指標が昨年の2曲より低い順位となっていますが、デジタルダウンロードではなくシングルCD購入に切り替えた人が少なくなかったと捉えることも出来そうです。

 

先週ご指摘をいただいたとおり、握手会の動向が如実にシングルCDセールスに、そしてソングスチャートに反映されることを、今回の長濱ねるさん卒業の件から実感した次第です。