イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

レミオロメン「3月9日」のチャートアクションが鈍かった理由はストリーミング引き上げにあった

ビルボードジャパンソングスチャートを毎週追いかけていると、時流を反映するチャートであることがよく解りますこの曲についてもこの時期、確かに盛り上がっています。

レミオロメン「3月9日」

3月4~10日が集計期間となる3月18日付ビルボードジャパンソングスチャートでは13位に再浮上を果たしました。

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実は昨年同時期、3月5日~11日を集計期間とする2018年3月19日付ビルボードジャパンソングスチャートでは「3月9日」は総合10位にランクイン。ポイントは今年が3137ポイントに対し、昨年は3106ポイントであり順位は低いながら今年のほうが勝っています。ただ、3月8日に藤巻亮太さんが『ミュージックステーション』(テレビ朝日 金曜20時)に登場し「3月9日」を披露したこと、今年度からカラオケ指標が導入されたことを踏まえれば、もっとポイントは上昇してもよかったはずです。

ではその違いは何か…昨年3月19日付のチャート解説記事にヒントがありました。

この時期になると順位を上げてくるレミオロメン「3月9日」。ダウンロード12位、ストリーミング7位、Twitter5位、ラジオ13位と、4指標で高ポイントをマーク、例年通りの訴求力をみせて総合10位にジャンプ・アップしている。

【ビルボード】欅坂46「ガラスを割れ!」が893,632枚を売り上げ3冠で総合首位獲得 レミオロメン「3月9日」はダウンロードとストリーミングで10位にジャンプ・アップ | Daily News | Billboard JAPAN(2018年3月14日付)より

先に貼付した「3月9日」の今年の動きを示すCHART insightを見るに、今年はストリーミングが100位圏外(ただし300位以内)となっているのです。2016年以降、同指標では毎年この時期にピークを迎えていたはずですが、おそらくはレミオロメンの楽曲が"ストリーミングから引き上げられた"ことが原因ではないかと。

たとえばApple Musicで「3月9日」を検索してもレミオロメンによるオリジナル版は出てきません。

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しかし、「3月9日」をプレイリストに取り込んでいだ方のところへアクセスすると、曲の痕跡はありながら再生出来ない状況なのです。再生不可の楽曲はグレーの色が薄くなっています。

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つまり、一度解禁していたものが突如引き上げられたと結論付けていいでしょう。

 

これはおそらく、藤巻亮太さんの独立が契機になっているかもしれません。

独立アナウンスは昨年5月末日。『ファンクラブ「FRF」の新規募集は本日5月31日で締め切り。現在使用されている藤巻のオフィシャルサイトおよび「FRF」の運営は7月31日をもって終了』とのことで、以前の事務所との"清算"の一環としてのストリーミング終了と推測されます。ただ、たとえばiTunes Storeを見るとデジタルダウンロードが可能という状況でなのです。

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レコード会社や芸能事務所の移籍・独立に伴い過去の音源の使用に制限がかかったことは枚挙にいとまがなく、最近では安室奈美恵さんのベストアルバム『Finally』(2017)も該当します。

移籍や独立となるとしばらくは表舞台(特にテレビ)で活動出来ないのではという声をよく耳にしますが、それがルールではないにもかかわらず当たり前のように受け入れてやしないかと思ってしまいます。今回の藤巻亮太さんの独立から見えてきたのは、売ること(で旧事務所等側に利益が入ること)はOK、でもストリーミングは旧事務所等に利益が入りにくいからNGという姿勢。これは旧事務所等側の都合の良い対応であり、ストリーミングを今まで活用出来てきた私達ユーザーへの無礼でもあり、もっと言えば音楽を文化ではなく商売道具としてしかみていないという音楽業界の負の慣習ではないでしょうか。「3月9日」のビルボードジャパンソングスチャート、CHART insightからはこのような問題が見えてくるのです。

 

その現状を踏まえれば、藤巻亮太さんが来月レミオロメン時代の楽曲のセルフカバーアルバムをリリースするのは自然な流れかもしれません。