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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

新元号発表はムーブメントに至らなかった? 4月15日付ビルボードジャパンソングスチャートをチェック

4月1~7日を集計期間とする、4月15日付チャートが昨日発表されたビルボードジャパン。総合ソングスチャートはKing & Prince「君を待ってる」が制しました。

総合ポイントは30649。デビュー以来3作連続で、シングルCDセールス指標加算初週に3万超えを果たしました。また前作「Memorial」と比較すると前作比95.0%と若干減ったとはいえ好調。次週、この勢いをキープ出来るかに注目。

キープといえば、日向坂46「キュン」がシングルCDセールス指標加算2週目で2位と好調。カラオケ以外の7指標を順当に獲得し、シングルCDセールス指標全体の4割強にとどまりました。シングルCDセールス指標に特化しがちなアイドルの中で同指標に偏らない理想形を描いています。他方、前週2位のMONSTA X「Shoot Out」は今週早くも100位圏外に脱落。シングルCDセールス指標が全体の8割以上となっており、シングルCDセールスに頼らず如何にしてポイントを獲得するかがアイドル等には求められます。これは、コアなファン以外から支持されるための戦略を練ることとほぼイコールなはずです。

 

さて、今週個人的に気になったのはゴールデンボンバー「令和」のチャートアクション。初登場6位という数値は、あくまで私見と前置きして書くならば低い気がします。

いや、前作「ガガガガガガガ」の最高位は44位(→ガガガガガガガ / ゴールデンボンバー | CHART insight | Billboard JAPAN参照)ゆえ、前作より遥かに上昇しているのですがしかし、新元号と同日発売、楽曲およびミュージックビデオの制作過程の公開(またテレビでも地上波で伝えたこと)、新元号および関連ワードがTwitterで複数トレンド入り、新元号発表が集計期間開始日となる月曜だったゆえ「令和」の集計期間はほぼ1週間丸々…これらを踏まえるに、もっと上位に来ても良かった気がします。

シングルCDは一部店舗先行で昨日発売ゆえ、シングルCDセールスおよびルックアップ指標はカウント対象外。その他6指標のチャート構成比をみると。

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カラオケ配信は遅れることが予想されるため300位以内に入っていませんが、その他5指標をみるとデジタルダウンロード5位、ストリーミング56位、ラジオエアプレイ31位、Twitter2位、動画再生1位という状況。各指標の構成比は、デジタルダウンロードおよび動画再生が各3割程度、Twitterがおよそ25%という状況で、総合ポイントは4951となっています。

今週デジタルダウンロードの首位はback number「HAPPY BIRTHDAY」。既にアルバム『MAGIC』がリリースされているため同曲をアルバム経由で手に入れるもしくはシングルCDのレンタルで…という方も多いだろうことを踏まえれば、「令和」がその「HAPPY BIRTHDAY」に敗れたのが気になるのに加え(尤も他の歌手の楽曲でも同様のことが言えますが)、ストリーミングが異様に低い気がします。たとえばK-Popは動画再生、Twitterに加えストリーミングも強く、ストリーミングに有償サービスもあれど無償もあることを踏まえればこれら3指標の伸びは若年層の支持と比例していると言っていいかもしれませんが、一方でゴールデンボンバーの場合はストリーミング指標が思った以上に弱いため、デジタルダウンロードの高くなさも考慮するに、若年層に限らず新元号発表の祭りには乗っかるけれどそれ以上の行動には進まない(購入は幾分見られるもののストリーミングにまでいかない)という心理が作用しているのかもしれません。ちなみにデイリーランキングを掲載しているオリコンによれば、今週火曜(いわゆるフラゲ日)のシングルCDランキングにおいて「令和」は初登場13位と、決して高いとは言えない位置にいます。

 

さてそのオリコンでは今日、平成時代(はまだもう少しあるのですが)のセールスランキングが発表されました。

CDに特化したランキングゆえCD未リリース作品が登場しないランキングであり、またCDバブルと言われた平成一桁とCDが売れなくなりデジタル等へ移行した現在と比較するのは難しいにもかかわらず”平成ランキング”を作成するのはさすがに強引かと思いますが、世の中の平成総決算の流れに乗り、またオリコンの名を印象付ける意味では必要なことだったのかもしれません…が、発表の意義は今は置いといて。

注目はシングルランキングを制したSMAP世界に一つだけの花 (シングル・ヴァージョン)」。唯一のトリプルミリオンを達成しています。実は新元号発表の際この曲のタイトルが談話の中で用いられたことで、春の選抜高校野球入場行進曲として起用され2週前にTwitter指標9位を獲得して以来上位に登場するのでは、ふたたび同指標トップ10入りするのでは?とみていたのですが。

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結果は22位。それも9→17→22位と2週連続でダウンしています。そう考えると、新元号発表以降”令和”がムーブメントかのように取り上げられていますが、内実そこまでではない(ブームとはいえどムーブメントというほどではない)のかもしれません。

とはいえ「世界に一つだけの花」については春の選抜高校野球に用いられて以降3週連続でカラオケ指標がアップし今週同指標72位に。シングルCDセールス指標も300位以内に復活し、総合では89位にランクイン。19週ぶりに100位以内に返り咲きました。先程は新元号(発表)のムーブメントを内実そこまでではないかもと書きましたが、もしかしたらそれはネットの世界だけであって、ネット以外ではやはりムーブメントは見られるのかもしれません。ただ、SMAPジャニーズ事務所所属(だった)ゆえデジタル配信していないことを踏まえれば、ネット上のムーブメントではないと言い切ることは出来ませんが。