イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

発表からおよそ20年を経て、大御所のJ-Popが相次いで引用される

先週末にリリースされた、タイラー・ザ・クリエイターのアルバム『IGOR』。その収録曲のひとつ、「Gone Gone / Thank You」に山下達郎「FRAGILE」(アルバム『COZY』(1998)収録)が用いられていることが話題となっています。

「Thank You」は「Gone, Gone」に続くインタールード的役割ながら、山下達郎さんファンにとっては特に耳が離せない展開に。弾き直しや歌い直しゆえ引用という意味合いが強く、またメロディラインも結構変わっていますが、シングルではない「Fragile」を用いたのか!と、タイラー・ザ・クリエイターのセンスに唸らされます。惜しむらくは引用元のアルバム『COZY』がストリーミングはおろかデジタルダウンロードも解禁されていませんので、気になった方はCDショップもしくはレンタル店で探していただきたいと思います。

ちなみに山下達郎さん楽曲がサンプリングされた例は以前もあったのですが、結局アルバム発表に至らず…そちらについては以前書いたのでよかったらチェックしてみてください。

 

さて、「Fragile」共々、およそ20年の時を経て引用された(というか新たに”フロウ”が付いた)のがこの曲。

三共(現:第一三共ヘルスケア)リゲインEB錠のCMソングとして書き下ろされ、オリコンシングルCDセールスランキングでインストゥルメンタル楽曲として初制覇を果たしたのがこの曲。昨年リリースされた『BTTB -20th Anniversary Edition-』に合わせて上記動画が作られています。

そして今年。

「energy flow」が「エナジー風呂」、更に英語のタイトルが”Flo”というヒップホップ的表現になっているのも粋ですね。元々はタブラ奏者のU-zhaanさんと坂本龍一さんが昨年制作したニューアレンジ版(→YouTube)に、環ROY鎮座DOPENESS両氏が参加、先月配信されたもの。最新5月20日『J-WAVE TOKIO HOT 100』(J-WAVE 日曜13時)のチャートでは71位にランクインしています。坂本龍一さん自身が参加しているということで当然ながら本人公認。こういう動き、過去の名曲が再び注目される点もさることながら、坂本龍一さんや「energy flow」ファンがタブラやラップに興味を抱くという意味においても非常に意義のあることだと考えます。

 

それにしても、このタイミングで1990年代後半の楽曲が相次いで用いられているのは偶然でしょうか?