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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

ストリーミングサービス限定解禁では効果が薄い? 新しい地図 join ミュージック「星のファンファーレ」から考える

稲垣吾郎さん、草彅剛さん、香取慎吾さんによるユニット、新しい地図による”新しい地図 join ミュージック”名義の「星のファンファーレ」が、最新6月10日付ビルボードジャパンソングスチャートで6位に初登場を果たしました。

新しい地図 (join ミュージック)名義では「雨上がりのステップ」(3位)、「#SINGING」(8位)に次ぐ、またSingTuyo「KISS is my life.」(3位)も含めれば4曲目のソングスチャートトップ10入りを果たした「星のファンファーレ」ですが、今回はじめてストリーミング指標が100位未満(300位以内)ながらもランクインを果たしているのが特徴的といえます。「星のファンファーレ」についてはCHART insightのキャプチャを掲載、および各曲(「72」(11位)、稲垣吾郎「SUZUNARI」(22位)含む)のCHART insightについては曲名をクリック等すると確認出来ます。

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ストリーミングにおいて、「星のファンファーレ」はApple Music等各種ストリーミングサービスで聴取可能なのに対し、前作「#SINGING」はAmazon Music Unlimitedのみの配信(いずれも新しい地図 join ミュージック ディスコグラフィー | Warner Music Japanから楽曲を選び、”購入先をすべて表示”をクリック等すると確認可能)。ワーナーミュージック・ジャパンには2曲以外記載はありませんが、たとえばApple Musicでは「星のファンファーレ」のみだった新しい地図 (join ミュージック)の作品が、Amazonでは全曲配信されています。ストリーミングサービスの提供先を広げたことで今回はじめてソングスチャートでストリーミング指標が反映されたと言えるかもしれません。

 

歌手がひとつのストリーミングサービスに限定して配信を実施する…直近ではback numberの例があるのですが、LINE MUSICから他のサービスに拡大したところ、解禁初週分が反映された今年2月25日付ストリーミングソングスチャートでは100位以内に7曲がランクイン(うち6曲がリエントリーを果たし)、翌週は「青い春」も増えてストリーミング100位以内は8曲に。総合ソングスチャートでは2週とも5曲以上、100位以内に入ったのです。

ベストアルバム『アンコール』以降の楽曲群がストリーミング未解禁であることも含めて以前記したのですが、ストリーミングの提供先を広げた結果、ビルボードジャパンの今年上半期の歌手別チャートにおいてback numberは4位にランクイン、またストリーミング指標は5位となっています(各指標毎の順位はこちらを参照してください)。ストリーミング解禁がback numberの勢いをさらに加速させていること、解禁先を限定しなくなったことが大きいことは間違いありません。

 

back numberがLINE MUSIC限定で先行解禁した理由は様々あるでしょうが、ストリーミングの反響が知りたいという歌手およびレコード会社側の意向(手探り状態)に加えて、LINE MUSIC側の思惑もあったと考えます。とりわけ昨年末、LINE MUSICが「クリスマスソング」をCMに用いたこと(LINE MUSIC、「back number」の楽曲が独占先行で本日より配信開始|LINE株式会社のプレスリリース - PR TIMES(2018年11月29日付)参照)を踏まえれば、「クリスマスソング」をはじめとするback numberのLINE MUSICでの限定解禁は、同サービスの知名度向上のためにうってつけだっただろうことが伺えます。同様に、新しい地図 (join ミュージック)においても、Amazon MusicのCMに国内で初めて起用されたこともあって(稲垣、草彅、香取が”新しい地図 join ミュージック”として「Amazon Music」TVCMに登場!新曲「#SINGING」をAmazon Musicで独占ストリーミング配信開始! | 新しい地図(2018年12月12日付)参照)、ストリーミング解禁先をAmazon Music Unlimitedに限定したのかもしれません。それが販路を広げたことで今回の結果を招いたと言えます。

各種ストリーミングサービスの思惑は理解は出来ますし、もしかしたら歌手側等にストリーミングにあまり積極的ではない考えもあったかもしれません。が、今回の2組の動向をみるに、音楽を聴く範囲を限定する施策は好まれないとまでは言わなくとも、広がってはいかないということが解ります。少なくとも新しい地図 (join ミュージック)側には過去作のAmazon Music Unlimited以外での解禁を、back numberにおいては『アンコール』以降の楽曲の解禁を、早急にお願いしたいところです。

 

ちなみに、新しい地図 (join ミュージック)については元来、そして現在もアイドルとして活動しているのですから、CDがグッズの一環としての意味合いになることを念頭に置けば、CDでのリリースも必要だと考えます。待ち望んでいるファンはきっと多いことだと思うのですが、如何でしょう。