イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

IZ*ONEの日本向け楽曲第2弾「Buenos Aires」が前作以上に偏ったチャートアクションを示している件を懸念する

水曜に発表された最新7月8日付ビルボードジャパンソングスチャートはIZ*ONE「Buenos Aires」が制しました。

シングルCDセールスは前作より2万枚弱伸び32万枚を突破していますが、シングルCDセールス指標がチャート構成比の95%近くを占めるチャートアクションに違和感を感じ、木曜のエントリー冒頭で一度軽く触れました。

日本デビュー曲となる前作「好きと言わせたい」はKis-My-Ft2「君を大好きだ」に阻まれたために今回は悲願の首位達成となった形ですが、チャート構成比では前作以上に引っかかりを覚えた次第。前作はシングルCDセールス指標初加算週、同指標およびTwitter2位、ルックアップ7位を記録していますが、今作はTwitter6位、そしてルックアップはトップ10にも至れず15位となっています。

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今週、ルックアップを制したのはシングルCDセールス2位、総合16位のAquors「Jump up HIGH!!」でした。

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今週のシングルCDセールスチャートを見ると「Jump up HIGH!!」の売上は25480枚であり、「Buenos Aires」のわずか7.9%しかありません。「Buenos Aires」は30万枚近く引き離したにもかかわらずルックアップで「Jump up HIGH!!」に敗れ、さらにトップ10にも満たないのは衝撃です。

 

原因として挙げられるのは、「Buenos Aires」のシングルCDが15種という複数種販売を行っていたことや、個別/グループ/ユニット/全員ハイタッチ会、個別/全員サイン会、個別メッセージカードお渡し会といった各種イベントがCD購入の特典として行なわれたために、あたかもCDは作品として聴かれるよりもグッズや応募券としての位置付けが強くなっただろうということ。ゆえにパソコンに取り込まれる機会(それによりインターネットデータベースにアクセスする…その数がルックアップといいます)が売上枚数に対して著しく減ることが想像出来ます。とはいえ複数種販売やイベント特典は前作「好きと言わせたい」に倣い、もっと言えば日本のアイドルの方法論と踏襲したものではあるのですが、「Buenos Aires」のシングルCDセールスとルックアップの乖離は前作以上となったと捉えることが可能です。

「好きと言わせたい」はシングルCDセールス指標初加算週においてダウンロードが11位、ストリーミングが25位、動画再生が57位でしたが、「Buenos Aires」は今週、『ダウンロードは81位→66位→81位、ストリーミングは63位→37位→圏外と推移』(【ビルボード】IZ*ONE「Buenos Aires」が321,999枚を売り上げ総合首位にジャンプ・アップ | Daily News | Billboard JAPAN(7月3日付)より)、そして動画再生は300位以内に入らずカウント対象外という状況(上記のCHART insightを参照)。ルックアップ以外にも、シングルCDセールス指標と他指標が大きく乖離していることがよく分かります。

 

K-Popは主に若年層の接触(ストリーミングや動画再生)が多いことで支持されることや、シングルCDセールス初加算週が他指標にも刺激を与え一様に伸びていく傾向があることは弊ブログで以前から書いてきました。前者の一例として、BTSの韓国向け楽曲の動向を再掲します。

一方で、IZ*ONE「Buenos Aires」は接触指標群も、そしてシングルCDセールス以外の所有指標も伸びていません。BTSをはじめK-Popの日本向けシングルはシングルCDセールス指標が強くなる傾向がありますが、「Buenos Aires」は極度のシングルCDセールス依存となっており、CD購入者以外の支持を広く集めているか、若年層にウケているかと言われればそうとは言えないでしょう。K-Popでありながらその動きは極めてJ-Pop(アイドル)なIZ*ONEの施策が、K-Pop人気に影響を与えそうな気がすると考える自分がいます。次週の動向に注目です。