イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

ビルボードジャパンソングスチャートで使用曲がヒットの兆し、”2週間で10キロ痩せるダンス”ブームの源流から思いを巡らす

ビルボードジャパンソングスチャートを構成する8つの指標のうち、動画再生においては時折、”なぜ今この曲が上昇中?”と疑問に思う動きがあります…という書き出しは昨日のイエス「Roundabout」でも用いたのですが。

最新の7月22日付ビルボードジャパンソングスチャートでは総合で100位以内に入らなかったものの、イエス同様に動画再生指標で5→12位と2週連続で上位20位以内に入っている曲があり、気になっていました。

・フィッツ & ザ・タントラムズ (Fitz and the Tantrums)「HandClap」(2016)

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アメリカでは最高53位を記録したこの曲ですが、日本では6月24日付になって総合100位未満(300位以内)に登場し、前週遂に82位に浮上。今週チャート構成比の9割程度を占めるのは動画再生指標なのですが、その理由はおそらくこちら。

韓国のYouTuberがTikTok等でアップした”2週間で10キロ痩せるダンス”に「HandClap」が用いられ、日本でもここ最近知られてきたことが再生回数増加の理由とみられます。この動画には「HandClap」がきちんとクレジットされており、フィッツ & ザ・タントラムズの公式アカウント発信ではないものの、ユーザー生成コンテンツ(UGC)として日本で再生されればビルボードジャパンソングスチャートの動画再生指標にカウント。一昨日にはYouTuberの2すとりーとによる「HandClap」動画もアップされており、着実に人気が広がっているといえます。

Yahoo!リアルタイム検索での【2週間で10キロ痩せる】の30日間での推移を分析グラフで見てみると、7月1日に104件を記録し以降は連日3桁となっています。最新チャートの集計期間は7月8~14日でしたが、翌15日には前日の9倍以上に跳ね、16日には2000件近くに達しています。そのため、次週7月29日付ソングスチャートでは「HandClap」は動画再生指標でも、そして総合でも最高位を更新するかもしれません。また今週になって「HandClap」は、Twitterおよびダウンロード指標が100位未満ながら初のランクインを果たしており、口コミの広がりを予感させると共に、動画が見られない場所でもダウンロードした楽曲を流して運動しようという動きも出始めているように思います。

 

 

それにしても、日本と韓国が政治の面で近年最悪と言える状況の中で、好いものは素直に取り入れる人が多いことに安堵した次第。素直に取り入れる姿勢は、BTSのチャートアクションを分析した際にも感じていたものです。

しかし韓国に対し平然と叩く者は少なくなく、それを本来なだめるはずの政府が率先しているだろうことには強い疑問を覚えます。また、今週発生した事件を使って韓国へのヘイトをばらまく行為が見られましたが、これも看過出来ません。

アクセス増のためにヘイトの記載を厭わないという姿勢は自己都合甚だしく、それに乗っかり溜飲を下げたいだけの人も同じだと思います。そういう方の改心を望む一方で、日々生まれるヘイトと十分な対応を施さない政治に絶望視することも多々あります。

 

今日のエントリーの最後に、今週水曜の『アフター6ジャンクション』(TBSラジオ 月-金曜18時)でライブを披露していたMoment Joonさんの言葉に刺激を受けたので紹介します。

個人的にはこういう尖った言葉での主張をどうなのかと思うところがこれまであったのですが、ヒップホップとして極めて格好いいこと、その主張が鋭く且つ的を射ていること、日本の中からもっと声が上がらないことに違和感を覚えたこと…これらの理由から紹介に至りました。彼の言葉が少しでも多くの方に届くことを願うばかりです。

タイムフリーは7月24日水曜深夜29時(25日木曜5時)までですので、是非チェックしてください。