イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

『凪のお暇』VS『これは経費で落ちません!』、今クール満足度2強対決は主題歌で大きな差が

一昨日最終回を迎えた連続ドラマ『凪のお暇』(TBS)は高い評判を集めており、今週火曜に発表される視聴率および後に出る総合視聴率が気になるところですが、実はこの『凪のお暇』の裏で、同様に高い評判を集めていたのが多部未華子さん主演による『これは経費で落ちません!』(NHK総合)。視聴率は『凪のお暇』に及ばないものの、コンフィデンス誌のドラマ満足度調査によると『凪のお暇』と『これは経費で落ちません!』が今クールの満足度2強とのこと。この2作品が別の時間に放送されていたならと思うのは贅沢な悩みでしょうか。

 

弊ブログでは以前、『凪のお暇』主題歌のmiwa「リブート」について、そのチャートアクションを紹介。

あれから2週間が経過、最新のCHART insightはこのようになっています。

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ビルボードジャパンソングスチャートは15→18位と推移。ストリーミングが安定し、且つレンタル解禁後のルックアップの伸びを踏まえるに、今日までを集計期間とする次回9月30日付チャートではこの位置をキープするか伸びる可能性もあるでしょう。

 

一方、『これは経費で落ちません!』主題歌、阿部真央「どうしますか、あなたなら」はどうでしょう。

7月26日金曜、ドラマ初回放送日にミュージックビデオフルバージョンが公開。同日深夜ラジオOA解禁、翌27日にはデジタル先行配信となり、8月21日にCDリリースおよびレンタル解禁されたこの曲。全方位抜かり無く訴求するこの曲のCHART insightをみると。

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シングルCDセールス初加算週となる9月2日付ソングスチャートで74位を記録したものの、100位以内のランクインはこの1週のみ。ラジオエアプレイも同日付で5位に達しているのですが他指標が伸びていない状況です。前のシングル「君の唄(キミノウタ)」(→CHART insight)は5月20日付で最高38位を記録したものの、この曲においても100位以内在籍はシングルCDセールスが初加算となったこの1週のみであり、実に勿体ないと思うのです。

元来NHKがタイアップ曲に対して宣伝をする局ではないという事情も影響しているのかもしれませんが、「君の唄(キミノウタ)」そして「どうしますか、あなたなら」に共通しているのはストリーミングおよび動画再生の両指標で一度も300位以内に入っていないということ。接触を示す指標が弱い状況は、発売と同日にレンタル解禁されていながらもルックアップが弱いことからも見て取れます(シングルCDセールス初加算週において、「君の唄(キミノウタ)」はシングルCDセールス33位に対しルックアップは77位、「どうしますか、あなたなら」は56位/97位)。ドラマ主題歌の影響でしょうか、「どうしますか、あなたなら」はダウンロードで4週連続100位以内をキープしており所有の側面では一定の水準に達しながらも接触指標群が弱すぎる状況を考えるに、阿部真央さんにおいてはライト層の拡大が重要なのかもしれません。

 

とはいえ、「どうしますか、あなたなら」は先週末の日本でのSpotifyバイラルチャートでmiwa「リブート」のひとつ下となる9位にランクイン。ドラマの影響でSNS等にてシェアされたことが如実に表れています。Spotifyの再生回数は現状においてビルボードジャパンソングスチャートにおけるストリーミング指標のカウント対象外ではありますが、今週放送の最終回が高い評判となればSpotify以外でも上昇し、接触指標群を稼いでふたたびソングスチャート100位以内へ浮上する可能性もあるでしょう。ライバルである『凪のお暇』の放送は既に最終回を迎えており、『これは経費で落ちません!』のドラマ自体への注目は高まるかもしれません。