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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

星野源新EP『Same Thing』、日本と世界を共に見据えたリリースタイミング

今朝、驚きのニュースが飛び込んできました。

『Pop Virus』(2018)以降の音楽観がどうなるか気になっていたのですが、スーパーオーガニズムとのコラボレーションとは!と、いい意味で驚かされます。EPにはその表題曲の他、PUNPEEとの「さらしもの」、そしてさらなるコラボ曲「Ain't Nobody Know」等全4曲が収録され、10月14日にデジタル解禁。「Same Thing」は日本時間の午前1時にApple Musicのラジオ、Beats 1で解禁された後Apple Music独占でストリーミング解禁されています。

リリースが10月14日月曜、そして先行曲が一部サブスクリプションサービス限定ながら本日金曜解禁というスケジュールの策定は見事だと思うのです。

月曜解禁は未シングルCD化ながらビルボードジャパンソングスチャートを2連覇した「アイデア」(2018)をなぞるかのよう。

「アイデア」はシングルCDセールスとルックアップ、当時未解禁のストリーミングという3指標が加算不可の状況でチャートを制しています(ちなみにカラオケは今年度よりはじまった指標)。ビルボードジャパンソングスチャートが月曜からの1週間を集計期間とするため、1週間フルでカウントするべく月曜リリースしたことに。EP『Same Thing』も「アイデア」の手法を意識していると言えるでしょう。

そして、一部ではありますが「Same Thing」を金曜に先行公開したのは、日本を除く世界の楽曲リリースが金曜標準となっているためではないかと。たとえば米ビルボードソングスチャートにおいてはダウンロードおよびストリーミングが金曜からの1週間、ラジオエアプレイはその3日後の月曜からの1週間が集計期間となるため、チャート上で有利にすべく金曜リリースが基本となり、だからこそ海外では歌手がリリース直前にSNSでサプライズ告知するスタイルが定番化。そして今回、星野源さんもInstagramで同種の告知を行っています。特にストーリー機能を活用しているのは巧いですね。

「Same Thing」は先行公開をApple Musicに限定しているため世界のチャートを駆け上がるかは不明ですし、日本のチャートでも集計期間3日間のみであるため次週発表のチャートでは思ったほど伸びないかもしれません。しかし、世界ツアーを回ることやSNSの活用、海外歌手とのコラボレーション等を考えれば、星野源さんは世界を見据えた活動を行っていると言えるでしょう。下記ティーザーが出ていることを踏まえれば、リリース日に合わせてミュージックビデオが公開されることも予想出来、そうなれば動画再生指標も1週間フルカウントされることで10月28日付のビルボードジャパン各種チャート(10月23日発表)で存在感を示すでしょう。

 

今回のリリースにおいては”水曜解禁”が一切ありません。水曜といえば日本におけるCDリリース日ですが、デジタルが主流となればその前提も崩れていくことでしょう。尤も、世界を見据えた音楽活動を行うならば水曜にこだわるのは正しくないかもしれません。