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香川県のネット・ゲーム依存症対策条例がフラッシュバックさせた16年前の悪しき法改正、その共通点および大事なこと

ネット上で大きな話題になった、香川県のネット・ゲーム依存症対策条例の成立については、たとえそれがザル法だとしても恐ろしい前例が生まれたものと考えます。

この条例について、『ライムスター宇多丸とマイゲーム・マイライフ』(TBSラジオ 木曜21時)のパーソナリティも務めるRHYMESTER宇多丸さんが、先週木曜の『アフター6ジャンクション』(TBSラジオ 月-金曜18時 以下『アトロク』)のオープニングにて科学者の井出草平さんに、その問題点や成立過程等を伺っています。

 

この問題から個人的に思い出したのは2004年の著作権法改正における輸入盤CD規制問題でした。海外から日本に逆輸入された邦楽CD(いわゆる還流盤)の存在がCDの売上を逼迫しているゆえ止めるべきというのが大義のはずなのに、最終的には輸入盤CD全体が止まりかねない著作権法改正が成立されてしまったのです。この件についてはWikipediaに詳しくまとめられています。

この時期に時間があった自分は、この問題を追いかけ続けたブログを綴っていました。そのブログは以前弊ブログで紹介しましたがあらためて。今よりかなり言葉が荒いことをご了承ください。

 

2004年の著作権法改正と今回とでは共通項が多くあります。反対に回る議員が存在しながら結局は数の論理で条例が可決したこと、条例がネットを中心に稀代の悪法として受け止められているのも同じ。2004年の著作権法改正法案で多くの賛成を生んだ一因が、改正を訴える者が規制対象CDを還流盤ではなく海賊盤と流布していたことにあり、賛同者のひどい言葉や意識で煽るというやり方も酷似していると捉えています。

そして、パブリックコメントの開示があまりにも歪なのも同様。今回は条例可決の直前に一部のみ開示され、可決後は一部のみに、それも時間を限定して公開するという手段を採っています。

一方で2004年の著作権法改正におけるパブリックコメントの開示も、当初一部に限定されていました。可決の1週間ほど前になってようやくその全文がオープンになりましたが、その内容は組織票等、賛成の立場に立つ者の明らかな悪用がみられたのです。

やましいことがないならば開示しても何ら問題ないはず。それを開示しないというアクションがあるだけで、法律や条例を制定したい者の”意図”が見えると思うのです。

 

一方で相違点もあります。香川県のネット・ゲーム依存症対策条例についてはゲームや通信といった業界がいわば静観という姿勢を採っていることに対し、2004年の著作権法改正法案可決直後にはCDショップの大手であるタワーレコードHMVが共同声明を発表、法案の悪用を監視することを宣言しています。

輸入盤CDはほとんど規制されることなく現在に至っていますが、これはタワーレコードHMVが法案悪用を防ぐべく”監視する”という姿勢を示したことが大きいと考えます。現在ではCD全体の売上が減ってきているとはいえ、この監視がなければ尚の事下がっていたのではないかと思うのです。

他方、ゲーム等業界側においては今回の条例制定前から既に対策済ゆえ静観で問題ないという姿勢なのでしょうが、たとえば秋田県大館市等が条例の検討を行う(自分のすぐ近くの自治体ゆえ、尚の事愕然としています)等、香川県の条例制定が他の地方自治体へも波及し、いずれ国も…という可能性を孕んでいるのです。科学的根拠を無視し、半ば精神論を優先する者にとって香川県が恰好の前例となったわけですから尚の事。ならば業界側はその権力者の暴走を防ぐべく、先のタワーレコードHMVの共同声明のような動きを見せないといけないと思うのです。

 

『アトロク』の宇多丸さんや宇内梨沙アナウンサーが感じた不条理は、リスナーや文字起こしを読んだ方のみならず多くの方にとっての共通認識となったはずです。条例自体に反対の声を出し続けることも必要ですが、ならば、井出草平さんが指摘していた香川県における『7割の選挙区が無投票で決まってる』ことによる、科学より精神論を押し付けるような『有力議員が主導をすると逆らえない』という、はっきり”惨状”と言える状況を知り、変えようとする気概を持つことが重要だと思います。愚かな考えを是とする方に大事な一票を投じないこと、投票しなければそういう方が当選してしまう可能性が高くなってしまうことを意識すれば、選挙に関心を持つことや投票することが如何に大事かが良く分かるはずです。自分は2004年の著作権法改正問題以降この意識を強く掲げるようになりましたし、RHYMESTERの掲げるこの曲がより強く響いてくるのです。