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チャート愛好家。ビルボードジャパンや米ビルボードのソングスチャートなどを紹介します。

ザ・ウィークエンド『After Hours』、米チャートでの成功は”究極の正当性評価”なのか?疑問視する理由

今週発表された最新4月4日付米ビルボードチャートにおいて、ザ・ウィークエンドのアルバム『After Hours』および収録曲「Blinding Lights」がアルバム/ソングスの両チャートで制覇しました。収録された14曲全てがソングスチャート80位までにランクインし、アルバムの週間ユニット数は2020年度最多となる444000を獲得しています。

他にも数多くのチャートを同時制覇したザ・ウィークエンドは米ビルボードのインタビューに対し、『アーティストの一人として、自分たちがやることが認められるのは究極の正当性評価だ』と語っています。

たしかに素晴らしいことです。しかし、この言葉を素直に受け入れられない自分がいます。

 

実は『After Hours』、わずか二週間で数回リリースされています。一番最初は14曲入りのいわゆる”オリジナルバージョン”。3月20日にリリースされました。

この3日後、4曲のリミックスバージョンとテレビ番組『サタデー・ナイト・ライブ』でのパフォーマンス音源1曲を含む19曲入りの”デラックスエディション”として再リリースされます。

さらにはこの1週間後、未発表となる3曲を新たに加えた”スーパーデラックスエディション”的なアルバムとしてリリースされたのです。 

元々オリジナルバージョンをダウンロードもしくはCDとして購入した方からすれば、いわば後出しとなるこの手法。リミックスやライブバージョンの音源はオリジナルバージョンに合算され米ソングスチャートにも波及されますが、買った方からすれば”後にデラックスエディションが出るならばそれまで待てばよかった”と思うのではないでしょうか。そこでなのでしょうか、デラックスエディションで追加されたリミックスおよびライブパフォーマンス(未発表曲は除く)が別途EPとして昨日リリースされたのですが、そこには「Heartless」のリル・ウージー・ヴァート参加版という新たなリミックスが追加されることに。

このEPをもって、『After Hours』関連作品のリリースは終了するとザ・ウィークエンドはアナウンスしていますが、ニ週間で実に四回もリリースしたことになるのです。

『After Hours』に関する全ての曲を、ひとつのバージョンだけで手に入れることは出来ません(今後日本の国内盤ですべてをコンパイルしたバージョンが出るかもしれませんが)。後から発表された曲については曲単位で購入出来るとして、このやり方が不満の温床になりかねないと思うのですがいかがでしょう。

 

実は今回のザ・ウィークエンドによる手法、『After Hours』関連曲で最後に発表された「Heartless」のリミックスに登場したリル・ウージー・ヴァートがつい最近採っていたやり方を思わせます。

リル・ウージー・ヴァートは2週連続で、ザ・ウィークエンドも米ビルボードアルバムチャートを制していますが、リリース後間もなくデラックスエディションをリリースしオリジナルバージョンを購入した方が損をしたと思わせかねないこのやり方に疑問を抱き、それゆえザ・ウィークエンドが正当性を自認することに強い引っ掛かりを覚えています。尤も追加分は曲単位で購入すればよい、もしくはサブスクで聴く分には問題はないとかいう声もあるでしょうし、”コアなファンはどんなバージョンでも購入するから疑問視するのはコアなファンとは言えない”と言う方もいらっしゃるかもしれません。追加された曲を購入した場合、仮にそれがアルバムまるごとではなく追加曲のみだったとしても、曲単位での購入もアルバムのユニット数に換算されるわけで、それが今年度最大のユニット数獲得に繋がったならば、そのやり方には引っ掛かりを覚えます。

 

無論、現在の米ビルボードアルバムチャートにおけるチャートポリシーでは今回のザ・ウィークエンドの手法は咎められる対象にはなりませんが、個人的には米ビルボードに早急なチャートポリシー変更をお願いしたいと思うのです。