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首位がまたも交代、アリアナ&ジャスティンおよびシックスナインの陥落をどう捉えるか…5月30日付米ビルボードソングスチャートをチェック

ビルボードのソングスチャートをチェック。現地時間の5月25日月曜が祝日のため翌26日火曜に発表された5月30日付最新ソングスチャート。ミーガン・ジー・スタリオン feat. ビヨンセ「Savage」が初の首位に立ちました。

「Savage」はストリーミングが前週比8%ダウンの3050万(同指標2位)、ラジオエアプレイが5370万(同指標8位。ただし記事に前週比の記載はなし)、そしてダウンロードは同55%アップの30000(同指標1位)となり、総合チャートを初制覇。前週5位だった「Savage」の首位獲得に寄与したのは今回もフィジカル施策で、5月15日にミーガン・ジー・スタリオンのサイトでサイン入りのCDおよびレコードが販売されたことがダウンロード指標を押し上げた形。フィジカルを購入すればその到着を待たずに購入したタイミングでダウンロードが可能となります。またストリーミング指標集計最終日となる5月21日にはオリジナルバージョン(ミーガン単独名義)でのアニメーションビデオも新たに投入されています。

「Savage」によりミーガン・ジー・スタリオンにとっては初の首位を獲得、そしてビヨンセは7曲目の1位獲得となり、ビヨンセは2000年代、2010年代そして2020年代と3つのディケイドで首位を獲得したことに。これは1990年代も含め4つのディケイドで1位を輩出したマライア・キャリーに次ぐ記録ですが、ビヨンセデスティニーズ・チャイルドとして1999年に「Bills Bills Bills」が首位となったことから、グループ名義を加えればマライア同様4つのディケイドを制したことになります。

この4週をみると、5月9日付ではトラヴィス・スコットとキッド・カディによるユニット、ザ・スコッツによる「The Scotts」、16日にはドージャ・キャット feat. ニッキー・ミナージュ「Say So」、23日にはアリアナ・グランデジャスティン・ビーバー「Stuck With U」、そして今回の「Savage」と首位獲得曲が目まぐるしく変化。4週連続で新たな首位曲が誕生したのは2017年5月6日付以降のケンドリック・ラマー「Humble.」→ブルーノ・マーズ「That's What I Like」→DJキャレド feat. ジャスティン・ビーバー、クエイヴォ、チャンス・ザ・ラッパー&リル・ウェイン「I'm The One」→ルイス・フォンシ&ダディー・ヤンキー feat. ジャスティン・ビーバー「Despacito」以来となります。なお「Despacito」は16週連続で首位を獲得し、マライア・キャリーボーイズIIメン「One Sweet Day」が当時持っていた最長首位記録に並びました。

 

2週前に首位を獲得した「Say So」(総合2位)は、全体のポイントのうち客演なしのバージョンが過半数となったことから、今週はニッキー・ミナージュのクレジットが除外され単独名義となっています。ラジオエアプレイは7810万で同指標2位をキープ、ストリーミングは前週比7%ダウンの2430万(同指標5位)、ダウンロードは同43%ダウンの16000(同指標5位)となっています。また前週首位のアリアナ・グランデジャスティン・ビーバー「Stuck With U」は今週13位となりトップ10落ち。この「Stuck With U」の首位獲得を購入者の買収時の不正と米ビルボードの不正操作によるものだと非難した(しかしその非難に対し、歌手側そして米ビルボードがきちんと反論しています。詳しくは先週月~水曜のブログをご参照ください)、シックスナインによる「Gooba」も3位からトップ10圏外となってしまいました。ザ・スコッツ「The Scotts」も首位獲得の翌週にトップ10落ちしていたことを踏まえれば、これらの曲を首位の座に押し上げたフィジカル施策は他指標が伴わない限り総合チャートでの翌週の急落につながるわけです。この動きはビルボードジャパンにおけるシングルCDセールス指標が突出した曲の動きを想起させ、米ビルボードの動きがビルボードジャパンに似てきたなあと思ってしまうのです。

 

ラジオエアプレイで前週1億を超える数値を叩き出したザ・ウィークエンド「Blinding Lights」(総合3位)は今週も同指標を制しながら8900万と大きく後退してしまいました。曲のピークが過ぎたと捉えていいでしょう。

2位と3位の勢いに陰りが見え、「Savage」も次週ダウンロード指標が急落する可能性が高い状況下で、次週トップ3を狙える位置に来たのがダベイビー feat. ロディ・リッチ「Rockstar」(総合4位)。

ダベイビーにとっては初の、ロディ・リッチは首位を獲得した「The Box」以来となるトップ5入りを果たし、前週から4ランクアップした「Rockstar」はストリーミング指標が前週比8%アップの3430万となり同指標を制覇、ダウンロードは同12%アップの12000で同指標10位。一方ラジオエアプレイは1350万で同指標50位以内に入っていないことから、ロングヒットはラジオでのヒット如何にかかっています。

フューチャー feat. ドレイク「Life Is Good」が前週から7ランクアップし6位にカムバック。これはフューチャーのアルバム『High Off Life』が今週のアルバムチャートを制したことに因るもので、ストリーミングは前週比33%アップの2840万を獲得し同指標3位に。フューチャーは今週新たに12曲をソングスチャート100位以内に送り込んだことで100位以内にエントリーした曲が110となり、ドレイク(222曲)、グリー・キャスト(207曲)、リル・ウェイン(163曲)に次ぐ歴代4位になりました。

 

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#Hot100 (chart dated May 30, 2020)

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[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (5位) ミーガン・ジー・スタリオン feat. ビヨンセ「Savage」

2位 (2位) ドージャ・キャット「Say So」

3位 (4位) ザ・ウィークエンド「Blinding Lights」

4位 (8位) ダベイビー feat. ロディ・リッチ「Rockstar」

5位 (6位) ドレイク「Toosie Slide」

6位 (13位) フューチャー feat. ドレイク「Life Is Good」

7位 (7位) ロディ・リッチ「The Box」

8位 (9位) デュア・リパ「Don't Start Now」

9位 (11位) ジャスティン・ビーバー feat. クエイヴォ「Intentions」

10位 (10位) ポスト・マローン「Circles」

フィジカル施策を採っていない(もしくは採っていたとしても記事に記載されていない場合もありますが、米ビルボードは先述したシックスナインのクレームへの反論の際、フィジカル施策がチャートに影響を与えた場合はその旨を記載していると表明しており、ゆえに施策を行っていなかったものと思われます)、ポスト・マローン「Circles」はトップ10在籍週数を38週に伸ばし単独最長記録を更新中。またジャスティン・ビーバーはクエイヴォを迎えロングヒット中の「Intentions」の順位が、アリアナ・グランデとの「Stuck With U」を追い越しました。フィジカル施策はカンフル剤の役割を果たすかもしれませんが、他指標が伴わずトップ10落ちする曲が続く状況ではドーピングと思われてもおかしくありません。今週はじめにそのような私見を記載しましたが、今回の「Stuck With U」と「Gooba」のトップ10落ちを知り、その思いをより強固なものとした次弟です。

上記ブログエントリーでも触れている、アリアナが客演したレディー・ガガ「Rain On Me」がフィジカル施策を伴って次週初登場予定です。