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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

NiziU、プレデビュー作で接触・所有双方の新記録を樹立…7月13日付ビルボードジャパンソングスチャートをチェック

毎週木曜は、前日発表されたビルボードジャパン各種チャートの注目点を紹介します。

6月29日~7月5日を集計期間とする7月13日付ビルボードジャパンソングスチャートはジャニーズWEST「証拠」に入れ替わり、Hey! Say! JUMP「Last Mermaid...」が高いシングルCDセールスを武器に総合チャートを制しました。

ジャニーズ事務所所属歌手の首位獲得は4週連続となりますが、前週首位のジャニーズWEST「証拠」は27位へ、2週前首位のKinKi Kids「KANZAI BOYA」は57位を経て100位圏外(300位以内)へ急落しています。3週前首位のKing & Prince「Mazy Night」も今週は36位。「Mazy Night」はシングルCDセールス8位に対しルックアップが3位と高く、レンタルCDの多さが予想されることから、所有指標に特化させるよりもサブスクや動画再生といった接触指標群を充実させたほうが勢いをキープできたのではないかと、ルックアップという接触も示した指標から感じるのです。あくまで私見ですが、今週首位の「Last Mermaid...」においては公式ミュージックビデオがティーザーの形でも存在していないためにブログにて紹介できないことを、強く残念に思います。

 

さて今週はHey! Say! JUMP「Last Mermaid...」に迫る存在が。オーディションから飛び出したNiziU「Make you happy」が1万8千を超えるポイントを叩き出しました。

NiziUについて、そして「Make you happy」の勢いについてはビルボードジャパンの速報発表段階で一度ブログにまとめています。

秋のデビューを前にリリースしたプレデビューミニアルバム『Make you happy』はデジタル限定リリース。収録された4曲すべてがソングスチャートでトップ20入りを果たし、特に「Make you happy」はストリーミング再生回数が初の1千万超えを成し遂げ(それどころか1158万というのですから驚異的)、動画再生指標も含む接触指標群を制覇。「Last Mermaid...」とのポイント差は4480あるものの、好成績を収めたことは間違いありません。

一方でミニアルバム『Make you happy』はダウンロードのみで総合アルバムチャートを制覇。2位の10倍以上となるポイントを獲得しています。81167という数字は『ビルボードジャパンがアルバムのダウンロード数を集計し始めてから最多となる週間ダウンロード数』(下記記事より)と、こちらも驚異的です。

ソングスチャートにおいては曲単位で購入された分が加算対象となりますが、「Make you happy」は単曲で25439ダウンロードを獲得し、アルバムを含めると同曲のダウンロード数は10万を突破。接触指標群のみならず所有指標でもNiziUの凄さが良く分かるのです。

 

NiziUを生み出したオーディション番組、Nizi Projectは動画配信サービスのHuluおよびYouTube(Huluのおよそ1ヶ月遅れ)でOA。Huluで放送された概要が、日本テレビ『スッキリ』でも定期的に放送されています。このNizi Project、今年上半期に女子中高生の間でブームになったことは以前もお伝えした通りです。

コロナ禍により自粛期間が生まれたことで、動画配信サービスの利用が急増していることも影響しているでしょう。しかし同時に『スッキリ』で公開されたことも大きいはずです。Hulu未契約者でも地上波放送の『スッキリ』である程度追いかけることが可能であり、コロナ禍で自宅待機中の学生は勿論のこと、主婦を中心とする在宅者にも認知度が上昇しました。Nizi Projectを取り上げた『スッキリ』について、ブログ【WASTE OF POPS 80s-90s】のO.D.A.さんのコメントに強く納得するのです。

K-POPのグループの場合、女子グループでも日本のアイドルグループと比較すると圧倒的に女子ファンの割合が高いというのは以前から継続している傾向ですが、今回は敢えて地上波では特に30-40代にぶつけてきたのではないかと思うのです。CD購入が普通である世代であり、かつ地上波テレビ局で「オリコンで〇位に入らなかったら即解散」みたいな企画をリアルタイムで体験している世代に。

10代20代だけではサブスクで終わりますが、30-40代までを巻き込めれば、CD等フィジカルの売上が変わってくるし、物販の投下額も変わってくる。

若年層で所有欲が強い方も、30代以上で接触を主とする方もいらっしゃるはずですが、「Make you happy」がサブスクや動画再生といった接触指標群で共に1千万再生を突破し、ミニアルバムが所有指標で新記録を樹立するというNiziUの勢いに、『スッキリ』が貢献したことは間違いないはずです。

 

所有指標の高さが証明されたことで、今後正式デビューした際にはシングルCDを切ってくるように思います。その際、NiziUのチャートアクションがK-Popの韓国語曲の動きをたどるかそれとも日本オリジナル曲のそれとなるかが、個人的には最も気になるところ。次週のソングスチャートで初めてシングルCDセールスが加算される、NiziUの先輩にあたるTWICE「Fanfare」の動向共々、注目です。