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チャート愛好家。ビルボードジャパンや米ビルボードのソングスチャートなどを紹介します。

米津玄師が遂にサブスク解禁、ビルボードジャパンソングスチャートへの影響はどうなる

この2週間ほどでリリースされた作品や話題の音楽トピックを踏まえて関連作品を聴こうとしても、サブスクにないため手軽に接することができないという事態が多く発生しています。というわけで、解禁祈願の意味を込めて掲載するエントリーを前日まとめ、今日アップを予定していたのですが、状況は一変しました。

ニューアルバムのリリース日にその『STRAY SHEEP』を含め米津玄師さんの楽曲すべてが解禁。上記ツイートへのリアクションにはごく一部に”購入したばかりなのに”というものもありますが、個人的には『STRAY SHEEP』をサブスク解禁してもアルバムのセールスが極度に落ちるということはないと考えています。というのも、『STRAY SHEEP』は出荷枚数が既に100万枚を突破。

実売ではないゆえ実際の動向を注視する必要がありますが、セールスに一定の見込みが立ったことでサブスク解禁に至ったのかもしれません。仮にセールスを重視しすぎるならば新作のみ未解禁という選択もアリでしたでしょうが、おそらく米津玄師さん側はどこかで解禁を行いたいという思いがあり、その最高のタイミングがここだったと考えたのでしょう。実際、この1週間で米津玄師さんは様々なメディアに出演したりイベントに参加することで、その全てがアルバムセールスを中心につながるものと考えます。

『MIU404』出演者との共演のほか、『フォートナイト』のイベントに日本人歌手として初めて出演することも決定しています。

『フォートナイト』で披露することがアナウンスされているのが「感電」。

ドラマ『MIU404』(TBS 金曜22時)の主題歌であり、アルバムからのリード曲としてビルボードジャパンソングスチャートでは2週連続で2位をキープ。ドラマの主演である綾野剛さん、星野源さんとの対談番組が土曜に放送されるほか、3話から登場した菅田将暉さんのラジオ番組には出演済。これら共演はドラマを想起させるに十分で、「感電」が収録された『STRAY SHEEP』や楽曲単位での購入につながるでしょう。そしてライト層を中心に接触指標群へも波及していきます。

 

となると気になるのは、来週水曜に発表される8月17日付ビルボードジャパンソングスチャート(Hot 100)の動向。米ではアルバムチャート初登場のタイミングでストリーミングに強い歌手の楽曲が大挙ソングスチャートにもエントリーを果たすことが恒例化、直近の8月8日付ソングスチャートではテイラー・スウィフトが「Cardigan」で首位を獲得、3曲がトップ10入りしたほか、アルバム『Folklore』収録の全曲(CDのみ収録のボーナストラックを除く)をすべて100位以内に送り込んでいます。

この動きが『STRAY SHEEP』でも見られるかもしれません。実際、昨年あいみょんさんやONE OK ROCKのアルバムが初登場を果たした週にビルボードジャパンソングスチャートでも大量エントリーを果たしています。

尤も『STRAY SHEEP』においては『Folklore』のように全曲がミュージックビデオやリリックビデオになってはいません(しかし本日8時の段階で別曲のミュージックビデオが公開予定)。またあいみょんさん等が大量エントリーを果たした1年半前と比べてストリーミング指標の再生回数が大きく上昇しているという違いはありますが、『STRAY SHEEP』がそして米津玄師さんが話題になればなるほど、アルバムから多くの曲がソングスチャートで100位以内にエントリーを果たし、また「感電」はふたたび1万ポイントの大台を回復するかもしれません。「感電」は解禁された週を集計期間とする7月20日付で2位に初登場を果たし20210ポイントを獲得、以降7月27日付で2位(12573ポイント)→8月3日付で8位(8041ポイント)となっています。ポイント前週比が2週続けて6割台となっているのは所有指標が大きく影響しているためであり、動画再生に加えてストリーミングが加算対象となれば接触指標群が充実し、ポイント前週比が緩やかになることは以前ブログで指摘した通りです。

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本日には最新チャートが公開されるゆえ上記CHART insightは8月3日付のものとなりますが、ここから解るのは「感電」がラジオで好調に推移し、カラオケが既に解禁されているということ。サブスク再生回数に基づくストリーミング指標が加算されるのは8月17日付以降となりますが、そのタイミングでは購入行動がアルバム単位にシフトし楽曲単位でのダウンロードが下がるだろう一方、ストリーミングの初加算のみならずアルバムリリースやイベント開催等に伴うTwitter指標の増加、ラジオエアプレイの増加(ただしアルバム収録の他の曲と票割れする可能性も)、ミュージックビデオ再生回数の増加等が見込まれます。となると今週の動向如何とはなりますが「感電」が8月17日付ソングスチャートにてポイント、順位共に回復することはほぼ間違いないでしょう。

そうなれば、これまで10週もの間1万ポイントを超えているYOASOBI「夜に駆ける」との争いもさることながら、8月5日にシングルCDをリリースしたSexy Zone「RUN」との戦いも気になります。Sexy Zoneはこの3作におけるシングルCDセールス加算初週の総合ポイントが16293(「イノセントデイズ」2018年6月18日付)→17050(「カラクリだらけのテンダネス」2018年12月17日付)→17027(「麒麟の子」2019年11月4日付)と推移。他方「夜に駆ける」は8月3日付で17028ポイントを獲得しており、そこにさらに「感電」も首位争いに絡む可能性が生まれてきたと言えるかもしれません。

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RUNは大量のTwitter指標を稼ぎ8月3日付ソングスチャートで初の100位以内に登場。上記ミュージックビデオはショートバージョンながら動画再生指標に初加算されています。しかしビデオがフルバージョンではないこと、そしてダウンロードやサブスクが解禁されていないため獲得可能な指標は限られています。これが8月17日付ソングスチャートにどう影響するのか気になります。

 

 

米津玄師さんがサブスクを解禁したことで、いよいよサブスク未解禁歌手は進退を迫られたというのが自分の見方です。現に今回のサブスク解禁記事を引用し、”自分の好きな歌手が揃ったからサブスクだけで十分”とつぶやく方もいらっしゃいました。サブスク未解禁の歌手はその方にとって存在しないことになるわけです。

サブスク等デジタルに明るくない作品はチャート上でも不利になります。既に8月3日付ソングスチャートではシングルCD未リリースの曲がトップ10のうち7曲を占め、その前週(7月27日付)では4位までがCD未リリースなのです。CD未リリースながらポイントが高水準であることから、デジタルに明るくない作品はロングヒットはおろか単発的にヒットに至らせるのも厳しくなっていることが解ります。仮に8月17日付で「感電」がチャートを制したならば尚の事、デジタルに明るくない歌手、また新譜のみサブスク未解禁の歌手は方針を転換しないといけないのではと強く思いますし、そう願うばかりなのです。