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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

シングルCDセールスが強い曲が上位進出しながらさらなる加点に至れなかった理由を考える…8月31日付ビルボードジャパンソングスチャートをチェック

毎週木曜は、前日発表されたビルボードジャパン各種チャートの注目点を紹介します。

8月17~23日を集計期間とする8月31日付ビルボードジャパンソングスチャート(Hot 100)。前週首位のTwenty★Twenty「smile」は13位に後退し、同ユニットにも参加する関ジャニ∞「Re:LIVE」がシングルCDセールス初加算に伴い、前週の100位圏外からトップに躍り出ました。

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6月以降、関ジャニ∞も在籍するジャニーズ事務所所属歌手の作品が続々とシングルCDをリリースし首位に立っていますが、シングルCDセールスが前作を上回る、ラジオエアプレイが高い、そしてルックアップが高いという傾向がありました。Twitterの高さは言うまでもありませんが、気になるのは「Re:LIVE」のルックアップが2位にとどまっているということ。今週この指標を制したのはOfficial髭男dism「HELLO」(総合11位)であり、たとえば今月10日放送の『CDTVライブ!ライブ!』(TBS 月曜22時)におけるヒゲダンフェスや、前週放送の『ミュージックステーション』(テレビ朝日 金曜21時)等の効果がより強く表れたものと考えます。

 

今週は関ジャニ∞「Re:LIVE」も含め、シングルCDセールスが10万を超える作品が3つ登場しています。

22万以上売り上げシングルCDセールス指標2位に入ったNMB48「だってだってだって」は総合2位、11万以上売り上げ同指標3位のTOMORROW X TOGETHER「DRAMA」は総合4位に登場。一方でパソコン等にCDを取り込んだ際にインターネットデータベースにアクセスされる数を示すルックアップ指標では前者が13位、後者が25位と、シングルCDセールスと乖離が生じています。これは購入枚数に対する取り込み数の多くなさに加え、ユニークユーザー数やレンタル回数の多くなさを示すものと考えますが、個人的には後者において、男性アイドルについてはジャニーズ事務所所属歌手と彼ら以外、女性アイドルでは坂道グループと彼女ら以外、K-PopではBTSやTWICE等日本でも成功を収め続ける歌手と彼ら以外とで、レンタルCDの在庫数に大きな開きがあることも背景にあるものと捉えています。

 

さてTOMORROW X TOGETHER「Drama」(シングルCD「DRAMA」の表題曲)において、個人的に勿体ないと感じた点が。

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上記チャート推移(CHART insight)ではわかりにくいかもしれませんが、今週は動画再生指標が100位未満ながら300位圏内のため加算対象になった一方、動画再生指標同様にロングヒットに至る曲に欠かせないはずのサブスク再生回数に基づくストリーミング指標は300位未満となり加算対象外に。前週まで2週連続入っていながら、今週加算に至ることができませんでした。

 

この「Drama」は8月7日に先行解禁されその日から5日間、LINE MUSIC限定で”沢山聴いた方が当選もしくはその条件に該当する”再生回数上位対象プレゼントキャンペーンの対象曲となっていました。

その結果LINE MUSICでは好成績を収めることができた一方、各サブスクサービスの再生回数に基づくビルボードジャパンソングスチャートのストリーミング指標では上位に至れず、さらにキャンペーン終了後はそのLINE MUSICでも失速してしまったのです。LINE MUSICキャンペーン対象曲の、同サービスおよびビルボードジャパン各種チャートにおける順位の推移は下記の表をご参照ください。

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(順位欄の灰色表示は集計期間中に曲が解禁されていないためランクインできないことを、黄色表示は集計期間中にキャンペーンが終了済であることを示します。)

LINE MUSICで前週ウイークリーチャートを制したBALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBE「SUMMER HYPE」ですら最新週では100位と急落し、ビルボードジャパン各種チャートからも姿を消しました。TOMORROW X TOGETHER「Drama」はシングルCDセールス加算初週の影響で総合4位に入ったものの、ストリーミング指標が一切加算されなかったのは至極勿体ないと思うのです。

TOMORROW X TOGETHER「Drama」については、デジタル先行解禁は行ってもシングルCDが売り出される頃にキャンペーンを組むべきではなかったでしょうか。キャンペーンをCDリリースのタイミングに合わせたとしても、”CDは買わなくてもサブスクで十分”と捉える方はおそらく稀ではないでしょうか。キャンペーンが5日間で500回以上再生というハードルの高さを踏まえれば、キャンペーン参加者はプレゼントを希望するコアなファンが主体であり、イコールCDを確実に買う方々であるはずです。LINE MUSICキャンペーンの時期をCDリリースのタイミングで組むこと、さらに再生回数のハードルを抑え参加賞を用意しライト層にも訴求できるようにすることが、チャートアクションの最大化を生むには重要だったと考えます。

 

 

さて次週は、ジャニーズ事務所所属歌手のシングルCDセールス初登場がない週となります。首位を狙える位置にいるのはJO1、そして三浦春馬さん。CDセールスはJO1が優勢かもしれませんが、三浦春馬「Night Diver」の逆転もあり得るでしょう。CDセールスのみならず様々な指標に注目し、動向を注視していきましょう。