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チャート愛好家。ビルボードジャパンや米ビルボードのソングスチャートなどを紹介します。

10月5日付ビルボードジャパンソングスチャートでポイント前週割れを起こした嵐「Whenever You Call」について思うことを記す

毎週木曜は、前日発表されたビルボードジャパン各種チャートの注目点を紹介します。

9月21~27日を集計期間とする10月5日付ビルボードジャパンソングスチャート(Hot 100)、V6「It's my life」の猛追を振り切りYOASOBI「夜に駆ける」が2週ぶり、通算6週目の首位を獲得しました。

V6は今作の初週シングルCDセールスが前作「ある日願いが叶ったんだ」の111.9%をマーク。昨日弊ブログにて記載した内容はここでも立証されています。

 

さて、今回取り上げるのは嵐のデジタルシングル「Whenever You Call」について。

弊ブログにてこの曲のリリース直後、嵐が行った数々の施策を紹介し、ビルボードジャパンや米ビルボードが先月新設した2つのグローバルチャートで結果を残すものと記載しました。

今週発表された10月3日付グローバルチャート(集計期間:9月18~24日)ではGlobal 200で51位、Global200からアメリカの分を除くGlobal Excl U.S.では17位に初登場を果たしています。

おそらくは、主要デジタルプラットフォームの集計に基づくグローバルチャートの集計期間が全世界的に(日本も含めて)金曜開始であるだろうことから(ただしこの点については米ビルボードでもビルボードジャパンでも言及されていないため確認中ですが)、初週はダウンロードの高さで上位に躍り出たと考えることができます。両チャートを制したBTS「Dynamite」のダウンロード数がGlobal 200で58000、Global Excl U.S.で27000であり、他方嵐「Whenever You Call」は日本での9月18~20日のセールスが5万を突破。ビルボードジャパンの集計対象となるデジタルプラットフォームがすべてグローバルチャートの集計対象かは不明ですが、しかしダウンロードの高さが上位進出の要因と言えそうです。

他方、そのグローバルチャートでは次週の急落が予想されます。そのことは、ビルボードジャパンソングスチャートの2週目の動向から予想できるのですが、今作の急落には驚かされます。

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「Whenever You Call」は登場2週目にしてポイント前週比が100%を大きく割り込む結果に。これはRebornシリーズを除くオリジナル曲のデジタルシングルでは初の前週割れとなっています。指標の面で特に大きなブレーキとなったのはダウンロードと言え、これを踏まえれば次週のグローバルチャートでの急落は避けられないと考えるのは自然なことです。

(なお、「Turning Up」は日曜夜リリースにつき、初週はわずか数時間の数値で総合10位に登場。また同曲のストリーミング指標は記事未掲載となっています。)

 

 

さて今回は、個人的な見方が強めになると前置きして書かせていただきます。

嵐「Whenever You Call」はブルーノ・マーズとDマイルが手掛けたことで本格的なR&B曲となっており、ボーカルプロダクションの良さに驚いた次第。実は音楽関係者でボーカルプロダクションについて指摘されていた方がいらっしゃったのですが時限での公開だったため、どなたかに書いていただきたいと思っていたのですが。

しかしながら、「Whenever You Call」における一部インターネットの記事にはいわゆる”コレジャナイ感”が複数見られました。このようなネガティブな見方に基づく記事は全体において多いとは言えず、またこのような記事はアクセス数増大に伴う様々な利益化を目指す目的が垣間見えることから、個人的には今回の件も含めこれらタイプの記事についてはアクセスはしないものの、記事の存在については知らせる必要があり敢えて掲載させていただきます。

これら記事のテイストからみえてくるもの、それは今回の嵐「Whenever You Call」に逆風が吹いた理由が全編英語であることやジャンル違いであること等へ違和感を抱き、そのネガティブな思いが大きく膨らんだことにあるのではということです。

 

 

「Turning Up」も「IN THE SUMMER」も英語は用いられながら、そしてクリエイターが海外の方ながら日本語も含まれていました。しかし「Whenever You Call」は全編英語となっています。日本人には英語や韓国語等、外国語へのアレルギーとも言える拒否反応は実は少なくないと思われます。サウンド面における洋楽的なものへの拒否反応については、前週のラジオオンエアチャート(ビルボードジャパンのラジオエアプレイ指標に提供するデータとは別に、実際のオンエア回数に基づくもの)の解説記事で指摘されていましたが、歌詞においても同様と考えます。

また、今週7位には韓国のガールズグループ“MAMAMOO”のメンバー、Hwa Sa(ファサ)の「Maria」が初登場した。

(中略)

BTS同様、こちらもグローバルないわゆる“洋モノ最新サウンド”であり、昨今、日本の一般リスナーから支持を得るのは難しいタイプの音楽だ。これらが突破口になるか、K-POPを機に洋楽に興味を持つリスナーが増え、シーンが活性されることを期待したい。

「Whenever You Call」の様々な施策を紹介した際、全編英語にしたのは『ファンの自発的な翻訳や解釈を促したかったのでは』『嵐からファンの方々へのメッセージでありラブソングと捉えており、だからこそその思いを知ったときの喜びがより大きくなる』と推測しましたが、仮にその狙いが嵐側にあったとしてもファンにとってはダイレクトに届く日本語でという不満があったのかもしれません。

 

ジャンルにおける違和感も耳にします。つまりは嵐が歌うタイプの曲じゃないという声。これで思い出したのはビリー・アイリッシュが今夏リリースした「My Future」でした。

「Bad Guy」に代表される彼女の、これまでになかったR&Bアプローチが光る曲としてR&Bの音楽評論家からの称賛もみられ、自分も先月の私的ベスト2位に挙げたこの曲ですが、実は米ビルボードソングスチャートにおける滞在期間はわずか6週と短く、9月26日付で既に圏外となっています。

推測の域を出ませんが、これまでの彼女のイメージではない音楽ジャンルであったことが「My Future」早期脱落の要因と言えるでしょう。そして、社会を良くしたいという彼女の真っ直ぐな思いへの反発もありそうです。ビリー・アイリッシュ民主党支持を呼びかけているのですが、米の市井はどの政党を支持するかではっきり分かれています。これは分断とすら呼べるものです。

日本時間で昨日午前に行われた米大統領選のテレビ討論会はその内容の酷さながら、『CBSでは、事前の世論調査とほぼ同じ数字で、バイデン陣営が期待していた浮動票の上積みとはいかなかった』(“非難合戦”結果は5分5分?トランプvsバイデン(テレビ朝日系(ANN)) - Yahoo!ニュース(9月30日付け)より)とのこと。民主党バイデン候補にも問題があれど、共和党トランプ候補の人としての酷さが浮き彫りになった討論会にも関わらず、それでもトランプ候補は4割強の支持を集めているのです(『荻上チキ・Session』(TBSラジオ)9月30日放送分より)。となると、共和党もしくはトランプ候補への支持者が、民主党候補者を支持しパフォーマンスも行ったビリー・アイリッシュに裏切られた感を抱きかねず、それが曲の不支持につながったのではと考える自分がいます。アメリカのエンターテイナーはその多くが民主党支持ですが、党大会でパフォーマンスを行ったとなると反発がより強まったと考えるのは自然なことかもしれません。

 

もうひとつ思い出した曲が三浦大知「片隅」。ひとつ前にシングルCDとしてリリースした「Blizzard」がビルボードジャパンソングスチャートで最高2位となる大ヒットとなり、その原動力のひとつにファンによるTwitter活動、いわゆる”ブリ活”があると紹介しました。その後多くの歌手のファンによるつぶやき活動が徹底され、個人的にTwitter指標への見方は変わっていきましたが(アイドル等による上位占有率が高まるビルボードジャパンソングスチャートのTwitter指標動向を踏まえ、チャートポリシー変更についての私見を記す(9月28日付)参照)、「Blizzard」はTwitter指標を中心に特筆すべき動きをしていました。

それが次作「片隅」では状況が一変します。シングルCDの初週セールスは5→14位、Twitter指標は3→16位となり、総合でも2→22位と急落。シングルCDセールス加算2週目には「片隅」は総合100位圏外となってしまいました。

その他にも「Blizzard」→「片隅」におけるダウンの原因を上記エントリーにて指摘しましたが、一部ファンの方から「片隅」の作曲を手掛けたのがKōkiさんであることを理由に反発する動きがあったことを、今回の「Whenever You Call」から思い出した次第。知名度で選んでいるだったり、本人もしくは両親(特に母親である工藤静香さん)が嫌いだからとして作品に触れることを意図的に行わないという言葉を目にしていました。また「片隅」において、「Whenever You Call」同様一部ネット記事にて反発の声があがっているのも事実です(たとえばこちらこちらなど、Kōkiさんへのバッシングをメインとするもの)。

 

この嫌いだから触れないという思考が、「Whenever You Call」においてもみられたのではと感じています。個人的には先述した記事群や「片隅」への非難は、発し手の”コレジャナイ”というあくまで個人的感情を社会的に正しいと是認するかもしくは都合よくすり替える行為と考えていますが、「Whenever You Call」において全編英語だったりイメージにそぐわないと違和感を抱いたファンにとっては先述した記事が、”自分が抱いていた思いは間違っていなかった”という確証となるわけです。所有指標であるダウンロードの急落はコアなファンの反発と思われてもおかしくないでしょうし、それら声の存在はコアなファン以外のいわゆるライト層にも伝播することが想像でき、それが接触指標にも影響を及ぼしたと考えられます。ビルボードジャパンでは最新週の解説記事において「Whenever You Call」が『それぞれもうひと伸びが足らず』と記載していましたが、もうひと伸びどころかあまりに大きな差が生じていることから、意図的な敬遠があったのではという考えを抱いています。

 

 

無論、このネガティブな分析は、書き手の私自身がR&Bを好み、「Whenever You Call」に対し好印象を抱いたゆえに人一倍感じていることなのかもしれません。しかしダウンロード数の大きな減少はかなり気になります(尤もダウンロード数においてはチャート分析に長けたあささんによるこちらの指摘もあり、この点においてはビルボードジャパンへ確認する必要があるかもしれません)。また、最新集の集計期間内におけるメディア露出の差が影響を及ぼしたこともあるでしょう。

 

「My Future」や「片隅」、そして今回の「Whenever You Call」においても、その曲をシングル化することには歌手側の意志が多分に含まれているはずです。曲に対してNOとしたい方々の思いは理解できたとして、歌手の意志に対してまでNOと言っていないかを冷静に考えた上で態度を決めるほうが好いのではと感じています。そして冷静客観的に提言し、それでもダメだと思えばファンから退くのもひとつの手段ではないか…以前BTS「Dynamite」について楽曲の先鋭性が薄れたと指摘された方に対してこう提言したことがあるのですが、同種の考えを今回の件においても抱いた次第です。