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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

ビルボードジャパンソングスチャートがDISH//「猫」のCD関連指標を削除する修正を実施…そこから考える、ビルボードジャパンのチェック体制強化案

先週のエントリーの中で挙げたビルボードジャパンへの疑問、うちひとつが解決しました。昨日21時頃、チャートに訂正が入っています。この時刻にチャートがアクセス不可の状態となり、回復後ポイント等が修正されていました。

「猫」は「僕たちがやりました」のカップリングであり、ダブルAサイド扱いではないためシングルCDセールスおよびルックアップは加算対象外。それが7月27日付からCD関連指標が「猫」に対して加算され、9月30日発表の10月5日付でも含まれていました。今回、自分が指摘したことが影響したかは判りかねますが、ビルボードジャパン側のCD関連指標加算が誤りであったことが判明したわけです。最新10月5日付では5281→5150ポイントに訂正されたほか、7月27日付まで遡って修正されています。

チャート推移(CHART insight)をみると、修正前では黄色の折れ線グラフで表示されるシングルCDセールス、およびオレンジのルックアップが表示。

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そして修正後は黄色とオレンジの折れ線グラフが消えています。

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そして前週のエントリーで掲載した表を修正すると。

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「猫」オリジナルバージョンの総合順位に変動はない一方、仮に「猫 ~ THE FIRST TAKE ver.~」のポイントを合算すると7月27日付ではトップ10落ちとなる等若干の変更がみられます。しかしながらその合算では最新10月5日付で4位となり、前回述べたように『NHK紅白歌合戦』の出場資格は得られたのではと考えます。

 

 

以前のエントリーでは「猫 ~ THE FIRST TAKE ver.~」における動画再生指標未加算化についても記していますがこちらはどうなったのか解りかねます。ビルボードジャパンには今一度ご確認いただきたいと願いつつ、より気になったことを今回記したいと思います。それはこの修正完了の旨が現在までにアナウンスされていないということ。順位変動がないためアナウンスは不要と考えるのであれば、その姿勢は信頼を削ぐものと考えます。たとえば今週のアナウンス不十分問題は他にもあり、チャート分析や予想を行うあささんが強く指摘されています。

きちんと発表する姿勢を徹底させないと、チャートへの信頼は勿論のこと、そのチャート自体の持つ好さすら自ずと消してしまうことになると思います。これらは決して細かい指摘ではありません。たとえば小売店にてPOPが誤って安く表示されておりレジで実際多く支払ってしまった際の違和感と似ていると思うのです。その違和感が解決されなければ、いや解決したとしても店員の態度が悪ければ不信感に増幅し、最悪その店に行かなくなったという経験はあるのではないでしょうか。その店がたとえ唯一無二のものであり行かざるを得ないとしても、好感を抱きにくいですよね。

 

「猫」の訂正やあささんの指摘された内容について、きちんとしたアナウンスは必要と考えます。またビルボードジャパンのポッドキャストではTwitterにて質問を募集していますが、「猫」や米ビルボードが先月新設したグローバルチャートについての質問が2週連続で取り上げられないのは非常に残念です。

 

 

ビルボードジャパンが行うべきは誤りを起こしにくい体制づくりではないでしょうか。これについて、以前にも掲載した解決策を2020年秋版にアップロードして掲載するならば、まずはチャート発表前のチェック体制強化は必須と言えます。

通常ビルボードジャパン各種チャートはCHART insightが水曜12時台に更新されるのですが、一昨日の最新10月5日付発表に関しては更新が13時すぎ。しかも12時台後半には。

指標のどれかが遅延したことでトラブルがあったか、アップロード前に異変に気付き一度取りやめようとして問題が起きたのかもしれません。ただこれらは大前提として、慌てて発表する必要はないのではと思うのです(出た瞬間に速報を打つ自分のような者がいるから慌てるのだとしたら大変申し訳ないのですが)。

ビルボードジャパンのスケジュールはCHART insightの更新後、各種チャートのトップ10を画像つきでツイートしまた各種チャートを最新週に更新(14時前)→各種チャートの解説(15~16時台)という流れとなっていますが、これらをほぼ全て夕方、決まった時間でのアップロードに変更すれば、解説記事等も含めアップロード前のチェックに余裕が出るはずです。複数名でのチェック体制ができれば、「猫」のCD関連指標加算問題等は起きにくかったものと考えます。

 

加えて、チャートのホームページやSNSへの掲載前に、ビルボードジャパンがチャート速報を配信するのは如何でしょう。この配信については昨日、ビルボードジャパンがTikTokアカウントにて新番組の用意をアナウンスしています。

来年度にソングスチャートの動画再生指標から除外されるUGC(ユーザー生成コンテンツ、日本では歌ってみた動画等が該当)について、しかしチャートに大きく影響を与えることから別途チャートを用意するとアナウンスしていましたが、上記記事ではそのチャート名が”Heatseekers Songs”となることが判明。そしてこのチャートを踏まえた番組が現段階で今月2回、いずれも金曜に配信されることになりました。

たとえばこのTikTok内アカウントを用いて、水曜17時に新チャートを速報にて紹介する番組を生配信するのは如何でしょう。新番組『NEXT FIRE』には人気のTikTokクリエイターである修一朗さんがMCに起用されますが、おそらくは収録用のスタジオが用意されているはず。そこで水曜、たとえばポッドキャストのスタッフの方々に出ていただき、チャンネル先行でチャート紹介を行うのです(ちなみに、必ずしも顔出しする必要はありません)。番組を30分と決めて終了時刻である17時半には一斉にチャートを刷新、さらにその番組の音声を素早くポッドキャストにて配信すれば、(現在リモートワークゆえやむなしではあるのですが)ポッドキャストの音声も劇的に向上するはずです。

 

 

チャート紹介のスケジュール策定は、受け手にとってチェックの時間を決めやすいというメリットがあります。また夕刻での発表は、仕事や学校帰りの移動時間にデジタルプラットフォームで、もしくはCD取扱店舗に行ってチェックしやすい環境を築く一助になるでしょう。そしてチャート速報紹介番組はビルボードジャパンへの注目度を高めるのみならず、配信中のQ&Aがよりダイレクトに且つ即時できるようになる点でも、ポッドキャストの音声向上の意味でもより好い案だと考えます。何より夕刻まで時間に余裕をもたせることで、ビルボードジャパン側がチャート確認する時間も労力も増えます。

 

これらが全て叶うとは限りませんし、ひとつも叶わないかもしれません。出しゃばりの指摘だと言われるのは覚悟の上で、しかし提言は必要なことだと考えるゆえこの場を借りて述べさせていただきました。参考になるならば幸いです。