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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

LiSA「炎」がSexy Zone「NOT FOUND」の猛追をかわし4連覇達成…11月16日付ビルボードジャパンソングスチャートを掘り下げる

毎週木曜は、前日発表されたビルボードジャパン各種チャートの注目点を紹介します。

11月2~8日を集計期間とする11月16日付ビルボードジャパンソングスチャート(Hot 100)、LiSA「炎」がSexy Zone「NOT FOUND」を抑え4連覇を達成しました。

「炎」は今週30991ポイントを獲得(ポイント前週比は94.4%)。前週は89.9%でしたが、おそらくは今週の集計期間中に祝日があったため思ったほど降下しなかったものと思われます(祝日はストリーミング再生回数が伸びることが、Spotifyデイリーチャートから推測可能)。シングルCDセールスは28832→22928枚(前週比79.5%)、ダウンロードは104204→84631DL(前週比81.2%)、サブスクの再生等に伴うストリーミングは18880651→17925637再生(前週比94.9%)。ストリーミングのポイントは有料サービス会員の1再生と無料会員とのそれでウェイトが異なるため再生回数がそのまま反映されるわけではありませんが、それでも今週も所有指標より接触指標のほうがポイントの下落を抑えられていることが解ります。

接触指標についてはさらに、ルックアップの大きな上昇が見て取れます。最新のチャート推移(CHART insight)はこちら。

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前週のチャート推移は前週のエントリーに掲載。パソコン等への取り込み時にインターネットデータベースへアクセスする回数を示すルックアップはオレンジで表示されますが、比率的には前週の倍近くとなっています。これは前週の集計期間の後半にレンタルが解禁されたことで(前週のルックアップの伸びもそのためですが)、今週レンタルに伴うルックアップが初めて1週間フルで加算。CD購入者によるパソコン等への取り込みも勿論ありますが、レンタルが大きく寄与したものと考えます。

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その前週のエントリーで用い、11月8日付エントリーで改正版を掲載した表も更新。各週の首位獲得曲における獲得ポイントとCD売上枚数、翌週のポイント前週比、そして構成8指標の順位を掲載していますが、LiSA「炎」は4週連続で3万ポイント超えを達成し(4週間の累計ポイントは131311)、さらに2週連続で8指標すべて10位以内に入っています。シングルCDセールスに係数を用いるようになった2017年以降では「炎」がはじめて、シングルCDセールスシングルCDセールスが30万未満ながら週間3万ポイント超えを果たした曲のうち翌週のポイント前週比が5割を超えたのが3週以上という記録を達成したことになります。

 

一方で、2位に入ったSexy Zone「NOT FOUND」の27955ポイントも凄い数字であることには間違いありません。

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レコード会社移籍後初のシングルCD表題曲となる「RUN」は8月17日付で29214ポイントを獲得し総合首位を獲得。前々作から1万2千ポイント以上伸ばしていたのですが、今作も2万8千近いポイントを獲得したことから、Sexy ZoneのシングルCD表題曲におけるCDセールス初加算週の獲得ポイントがネクストレベルに移行したと言えるでしょう。また「NOT FOUND」はルックアップで「炎」に勝っており、購入者やレンタルした方によるパソコン等への取り込み数の多さが判ります。

とはいえ今回は映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』人気が反映した「炎」が強すぎるため、「NOT FOUND」にとっては分が悪かったと言えそうです。今後は翌週以降の動向(順位もさることながら、ポイント前週比がどうなるか)を踏まえ、真の社会的ヒットとなるかを見極めなければなりません。

 

ちなみに「NOT FOUND」においては今週、動画再生指標が2週ぶりに300位以内に復活。同指標は10月19日付でミュージックビデオ公開効果により40位に登場していますが、仮にその時の勢いが今週にも反映されていたならば、「炎」を逆転できた可能性があったのかもしれません。そしてこの動画再生指標の推移から、特にジャニーズ事務所所属歌手の曲において獲得ポイントを上乗せするためのヒントがみえてくるのではないかと考えています。