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青森県在住。毎週日曜日17時から、FMアップルウェーブ発の番組の一員として参加。音楽・ラジオ好きによる"日々の音"やメディアの話

3組以上参加、全て主演のコラボレーションは海外で続々、そして日本でも

先週金曜、注目の映画からの先行曲が同日リリースとなりました。

アリアナ・グランデマイリー・サイラスラナ・デル・レイ「Don't Call Me Angel」

マックス・マーティン一派が制作に関わる、映画『チャーリーズ・エンジェル』(リブート版)からの先行曲。アリアナ、マイリーときてラナ・デル・レイ?と一瞬疑問を覚えるも、曲を聴けばその起用法は納得ですね。そのラナは、BBCのラジオ番組でアリアナの「Break Up With Your Girlfriend, I’m Bored」をカバーし(→Youtube)、アリアナが好反応を示しています(→Twitter)。 

・ミーゴス、キャロルG、ロック・マフィア&スヌープ・ドッグ「My Family」

CDアニメとなって帰ってくる『アダムス・ファミリー』からの新曲。チャート常連のミーゴスやベテランのスヌープを配した楽曲はトラップやラテンの要素が自然に混ざり合い面白いですね。さらにこの映画のサウンドトラックにはクリスティーナ・アギレラの新曲も収められる模様です。

 

主に映画においてはこのような3組以上、主演と客演の関係ではなく全組が主演として併記されたコラボレーションが多く見られます。先日のMTVビデオ・ミュージック・アワードでのライブが印象的なミッシー・エリオットが手掛け、クリスティーナ・アギレラの超絶歌唱できっちり締めた「Lady Marmalade」も映画『ムーラン・ルージュ』(2001)用にカバーされたもの。全米1位を獲得しました。

R&B主体で3組以上の女性歌手によるコラボレーションに関してはこの「Lady Marmalade」も含め、以前取りまとめています。

さらにはこのようなのも。

マドンナとブリトニーのキスシーンが有名ではありますが、サプライズも含め、アメリカの授賞式ならではのコラボレーションと言えそうです。

 

3組以上、映画絡みのコラボレーションは日本でも。今週水曜、映画『HELLO WORLDサウンドトラックがリリースされ、音楽を手掛ける2027Soundは『OKAMOTO'Sをハブとして集まったOfficial髭男dism、Nulbarich、OBKR(小袋成彬)、Yaffle、STUTS、BRIAN SHINSEKAIらによるプロジェクト』(『』内は下記音楽ナタリーの記事より)。なのですが、楽曲リストをみると3組以上のコラボレーションはほぼみられません

一方、2027Soundに参加する小袋成彬さんは、今夏ラジオを中心にチャートを賑わせたこの3組のプロジェクトにクレジットされています。

厳密には小袋成彬さんはトラックメイカーではあるのですが、こういう3組以上の併記は日本ではあまりみられません。音楽ジャーナリストの柴那典さんは「Summertime」の楽曲解説で『この曲のあり方が“クリエイティブが国境を超える新たなJ-POPのあり方”の可能性の端緒になるのではないか』と記載していますが(『』内はRIRI×KEIJU×小袋成彬「Summertime」が示す、新たなJ-POPのあり方 3つのポイントから解説 - Real Sound(4月17日付)より)、楽曲の質等に加えて歌手同士の主演としてのコラボレーションおよび歌手名併記という形も新たなJ-POPのあり方になっていくという予感がします。今後この形でのコラボレーションが触れるならば嬉しいですね。

竹内まりや、矢沢永吉、テイラー・スウィフトそしてトゥール…四者四様のアルバム販売戦略が面白い

今週の日本、そしてアメリカの音楽チャートではベテラン歌手がアルバムチャートワンツーを決めています。そんな彼らの販売戦略はそれぞれ特徴的で実に面白いのです。

 

まずは9月16日付ビルボードジャパンアルバムチャートを制した、竹内まりや『Turntable』。

アルバムは初回限定盤として『イラスト・ヤマザキマリによる別冊「まりやちゃん special book〈全28Pブックレット予定〉」封入+三方背BOX仕様』(上記サイトより)となっていますが、DVDは同梱されず実質1種と言ってよいでしょう。販売店/サイトで異なる購入特典が用意されているのですがこれは他の歌手でもよくみられます。興味深いのは、来月リリースのシングル「旅のつづき」との連動特典として、来年開催されるライブへの招待企画が用意されていること(詳しくはRELEASE | 竹内まりや 40th特設サイトをご確認ください)。ライブ開催は貴重ゆえ、観たいという方は多いはずです。

 

同日発売でビルボードジャパン2位発進、矢沢永吉『いつか、その日が来る日まで…』については5種でのリリース。

CDのみの通常盤に加え、初回限定盤は2種類の映像盤が同梱。AとBそれぞれBlu-rayとDVDの双方が用意されており、実質3種といえます。1970~90年代の厳選されたライブ映像が初回限定盤A、2000年代以降のが同Bに収録され、ファンはAとBを共に購入することで映像をコンプリート出来ます。竹内まりやさん同様に販売店/サイトで異なる購入特典が用意されていますが、ハンカチタオルやフェス撮り下ろし写真等バラエティに富んでいます。さらにはこちらもライブ招待企画が用意され、締切は本日いっぱい。

この『いつか、その日が来る日まで…』は9月16日付オリコン週間アルバムランキングを制していますが、前作『Last Song』(2012)が初週売上5.5万枚だったのに対し(【オリコン】矢沢永吉、歴代最多50作アルバムTOP10 | ORICON NEWS(2012年8月7日付)より)、今作は倍以上となる11.2万枚を初週に記録(矢沢永吉、最年長でのアルバム1位「ジワジワと喜びを実感」【オリコンランキング】 | ORICON NEWS(9月10日付)より)。前作は実質1種(通常盤に加え、Tシャツ付の初回限定盤が用意されていた)ゆえ、倍増したのはファンの多くが2種購入しただろうことが大きいと言えそうです。ちなみにビルボードジャパンアルバムチャートのルックアップでは竹内まりや『Turntable』が2位に対し、『いつか、その日が来る日まで…』は4位となっています。

 

『Turntable』および『いつか、その日が来る日まで…』は共にダウンロード未解禁。ストリーミングもほぼ同様であり(唯一、矢沢永吉さんについてはアルバム収録曲「魅せてくれ」が解禁されています→Apple Music)、接触するには共にレンタル開始を待つ必要がありますが、『いつか、その日が来る日まで…』は矢沢永吉さん自身が立ち上げたインディレーベル発のため、レンタル解禁は通常の17日後とは限りません。現段階でTSUTAYAでレンタル検索してもアルバム自体出てこないため、しばらく解禁はないものと思われます。

 

一方のアメリカ。最新9月14日付アルバムチャートで2位にランクインしたのはテイラー・スウィフト『Lover』でした。前週は初登場で1位となり、今年最高のユニット数を獲得しています。

初登場時のユニット数は86.7万。うち単曲ダウンロード、ストリーミング再生それぞれのアルバム換算分を除くと67.9万枚のセールス。今作からストリーミングを同日解禁したことが影響してか、初週121.6万を売り上げた前作『Reputation』(2017)に比べて純粋なアルバムセールスが下がってはいますが、それでもしっかりヒット。セールスにおけるダウンロードとCDの比率は判りかねますが、テイラー・スウィフトは『Lover』の限定盤CDを、大手小売店のターゲットのみで販売しています。

上記はバージョン1であり、他3バージョンも上記リンク先で紹介。初回限定盤には『テイラーが小さいころからずっと書き続けている日記のコピー』が封入(テイラー・スウィフト、新曲「The Archer」をリリース! インスタグラムの生配信でテイラーが語ったこととは…?[音源・動画あり] | tvgroove(2019年7月24日付)より)、さらに各バージョンで異なるポスターも。コアなファンならば全種手に取るのは間違いなく、tvgrooveの記事内では全種類を持ったテイラーの写真(インスタグラムに掲載)が紹介されています。

 

そのテイラー・スウィフト『Lover』を破り、最新米ビルボードアルバムチャートを制したのはトゥール『Fear Inoculum』。

初動ユニット数270,000のうちアルバム・セールスが248,000枚と、昨今主流になっているライブ・チケットの還元やグッズ販売による売上がないながら、25万枚近くを売り上げた『フィア・イノキュラム』は、2019年のロック・アルバム最大初動ユニットを記録。この記録は 2018年6月23日付チャートで292,000ユニットを獲得したデイヴ・マシューズ・バンドの『Come Tomorrow』以来最大で、セールスのみの記録としても同作の285,000枚以来、最大の売上となる(なお、『Come Tomorrow』の売上にはライブ・チケット連動あり)。

近年はライブチケットやグッズ付き等の販売施策を実施する歌手が多いのですが、『Fear Inoculum』はそれらを同梱する手法は採らず。一方で『Fear Inoculum』はダウンロード、ストリーミングも同日解禁し、ストリーミング再生のアルバム換算分は21000に。この数値は『ストリーミングが弱い傾向のあるロックバンドとしてはこの数は好調な結果と言える』とのこと(『』内はビルボードジャパンの特集記事より)。『Fear Inoculum』リリースの1ヶ月前に過去作をストリーミング解禁したことが、今作のデジタルが好調に推移した要因ではないでしょうか。

一方、CDとしては1種のみの販売ながら、その仕様が豪華なのです。

初回のみの完全生産限定盤はCD、ブックレットに加えて4インチ・サイズの液晶スクリーン付き動画プレイヤーを搭載して、エクスクルーシヴな限定映像を収録、スピーカー&充電ケーブル付きという、前代未聞のパッケージ。近年、ダウンロードやストリーミングによって“音楽を所有する”ことが廃れつつあると言われるが、そんな風潮に真っ向から斬り込む仕様となっている。

後日通常盤CDもリリースされるそうですが、購入者の映像を見ると初回限定盤CD購入の意欲が高まろうというもの。45~50ドルで販売されていたというこのCD、日本では今朝の段階でAmazonでは2万円もの価格がついています。一方でダウンロードバージョンは3曲多く、その理由はインタールード的な3曲を抜かないと1枚のCDに入りきれないため(収録曲と各曲の尺については最近の楽曲の長さとToolのアルバムのこと - WASTE OF POPS 80s-90s(9月12日付)をご参照ください)。となると、初回限定盤を手にとってインタールードのために別途アルバム単位でダウンロードしないとという懸念はありますが、たとえばiTunes StoreをみるとCD未収録曲は全て単曲でダウンロード可能となっています。

 

 

今回紹介した4組はいずれもフィジカルに重きを置いていますが、その売り出し方は四組四様。CDが売れなくなったとされる今の時代にあって、非常に興味深い戦略ではないでしょうか。コアなファンならば複数枚購入することでしょうが、たとえばファンというわけではないものの曲等に興味はあるライト層ならばどの売り出し方が手にしやすいか、逆に自分が歌手側ならばどの販売戦略を採るか、そしてデジタルはどう扱うか…これらを考えてみるのも面白いかもしれません。

森口博子『GUNDAM SONG COVERS』がデジタル解禁するも、デジタルやレンタル環境の改善が必要では

8月7日にリリースされ、アルバムチャートを好評に推移する森口博子GUNDAM SONG COVERS』が、今週水曜にデジタル解禁されました。

下記はApple Musicのリンク先を貼付したもの。

画面では【このアルバムはまだリリースされていません】との表示が出ています(しかしながらきちんと解禁されています)。表示の理由は、CDにボーナストラックとして収録されていた「宇宙の彼方で」(シングルとしてのリリースは2016年)がデジタルにおいては省かれているからかもしれません。またiTunesでは現段階において、アルバム単位での購入が出来ません。

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通常はジャケットの横にアルバム単位での価格が出るはず。これに不満を表明するレビューには心から同意することが多いですね。

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デジタル未反映ながら、『GUNDAM SONG COVERS』は一定の成果を上げています。

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最新9月16日付ビルボードジャパンアルバムチャートでは12位に登場した『GUNDAM SONG COVERS』。構成指標のうちアルバムCDセールスは7位にランクイン。またパソコン等に取り入れた際のインターネットデータベースへのアクセス数を示すルックアップも、3週目以降上昇に転じており最新週では24位に入っています。なおビルボードジャパンアルバムチャートはアルバムCDセールス(上記CHART insightでは黄色の折れ線グラフ)、アルバム単位でのダウンロード(紫)およびルックアップ(オレンジ)の3つの指標で構成されており、総合チャートはCHART insightにおいて黒の折れ線グラフで表示されます。

 

アルバムの評判が高まるとセールスに反映されますが、セールスと同じくらい、いやむしろそれ以上にレンタル増加に伴うルックアップ上昇が見られてもおかしくはないのです。しかしそれを阻む要因が。

CDが売切しているところが少なくなく入荷待ちの状況にあること、そして評判の高さゆえにレンタルへのニーズは高いはずですが、レンタル解禁直後はレンタル店舗での在庫数がほぼありませんでした。レンタル解禁直後の状況は上記ブログエントリーに記載しましたが、現在でもその状況はあまり改善されていません。

ただ、”あまり”と書いたのは一部店舗で遅ればせながら導入されはじめたため。自分の住む地域の近隣店舗でみると、GEO弘前安原店では先週末から導入され、GEO黒石東町店等にも在庫が確認出来ます。GEOアプリでは近隣店舗の在庫状況が”レンタル可” ”貸出中”および”取扱なし”で表示され、非常に見やすくまた探しやすい一方、解りにくいのはTSUTAYAアプリ。一見して判断しにくい表示内容(見分け方は以前のブログエントリーをご参照ください)で確認すると、自分の住む津軽地区はおろか、東北の旗艦店であるMORIOKA TSUTAYAでも未だ入っていない模様です。GEOが後からでもきちんと導入する姿勢を示していたのとは正反対の動き、且つ模範となる店舗でもこの状況ではチェーン全体で流行を追う嗅覚が鈍っているのではと思ってしまいます。明日土曜はレンタル解禁作品が多いゆえ、そのタイミングで導入する店舗があることを信じたいものです。

 

デジタルでの解禁は所有や接触の方法が増えて嬉しいものの、ダウンロードがアルバム単位で購入出来ないため最悪の場合アルバム単位でのダウンロード(指標)に反映されないこと、また未だにレンタル在庫数が少なくルックアップが上昇しにくいことを踏まえれば、来週水曜に発表される9月23日付ビルボードジャパンアルバムチャートで『GUNDAM SONG COVERS』の順位が急上昇するのは難しいかもしれません。

森口博子さんは自身のブログでオリコンランキングトップ10入りを何度か記載しており、たしかにビルボードジャパンより高い順位にある(最新9月16日付ではビルボードジャパンより高い9位にランクインしている)ため取り上げたくなる思いは解ります。無論素晴らしいことなのですが、仮に森口さんが出場経験のある『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか)への復帰を切望するならば、ビルボードジャパンのチャートも強く意識していただきたいと思うのです。なぜなら、”紅白”の出場条件はオリコンよりもビルボードジャパンが重視されると思われるため。

アルバムの話題性、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 前夜 赤い彗星』がNHK総合で今年放送されたこと、『GUNDAM SONG COVERS』の選曲基準となる総選挙がNHKBSプレミアムで放送されたこと等を考えれば、個人的には現段階でも十分紅白はあり得ると思っています。ですがそれを当確にまで押し上げるためには、レコード会社が働きかけてでもレンタル店舗に在庫を置いてもらいルックアップを強化したり、アルバム単位でのダウンロードを可能にしてダウンロード(指標)に反映させる体制を整えることで、複合指標によるビルボードジャパンアルバムチャートで結果を出すことが必要ではないでしょうか。未だ紅白で披露されていない「水の星へ愛をこめて」を大晦日に歌ってくれたなら…そう思う方は少なくないはずです。

乃木坂46首位獲得もダウン傾向? 「馬と鹿」は「Lemon」に勝てていない? 9月16日付ビルボードジャパンソングスチャートをチェック

今週から、毎週木曜は前日に発表される最新ビルボードジャパンソングスチャートの上位陣をざっと、でも深く振り返ることとします。曲単位での掘り下げは金曜以降に。

 

 

9月2~8日を集計期間とする、9月16日付のビルボードジャパン各チャートが昨日発表。ソングスチャートは乃木坂46「夜明けまで強がらなくてもいい」が制しました。

デジタル1週間先行でリリースし前週15位につけていた曲が首位に。シングルCDセールスがミリオンを突破し同指標を制したのみならず、ルックアップおよびTwitterが1位、ラジオ4位、ダウンロード9位と5指標でトップ10入り。シングルCDの『初週売上は前作よりも約4万枚少ないが、ラジオとTwitterは前回を上回る』状況となっています(『』は上記記事より)。

一方で、シングルCDセールスに係数が用いられるようになった2017年度以降、「インフルエンサー」がシングルCDセールス初加算週に39010ポイントだった以外はすべて4万ポイントを超えているのですが、今回「夜明けまで強がらなくてもいい」は41197ポイント。4万1千点台は昨夏の「ジコチューで行こう!」および今年のシングル2作が該当し、ここ最近の作品に偏っています(なおシングルCDセールス初加算週の最高ポイント獲得作品は「シンクロニシティ」の45209ポイント(2018年5月7日付))。特典イベントでシングルCDセールスが大きく左右されるとはいえ、ポイントの推移をみると懸念を抱いてしまう自分がいます。次週、シングルCDセールス加算2週目のポイント推移に注目です。

 

懸念といえば、前週首位を獲得したKing & Prince「koi-wazurai」は14位に大きく後退しています。

シングルCDセールス初加算週は全て1位だった彼らの2週目の動向は、「シンデレラガール」が4位(ポイント前週比21.6%)、「Memorial」が6位(同14.1%)、「君を待ってる」が11位(同11.4%)、そして今作が14位(同11.7%)。「koi-wazurai」は「君を待ってる」よりもシングルCD2週目のセールス、総合ポイント、ポイント前週比で上回ってはいるのですが、仮に弊ブログで先週指摘した未解禁のダウンロードが解禁されていたならばもう少し伸ばせたのでは?という思いに駆られています。

 

2位に再浮上したのは米津玄師「馬と鹿」。ミュージックビデオ解禁に伴う動画再生初加算が大きく影響しました。

以前「Lemon」と同様のスケジュールでダウンロード解禁の2週後にミュージックビデオを解禁しその2週後にシングルCDが出るのでは?と推測したのですが、今回はダウンロード解禁のおよそ3週後、シングルCDリリースの前週にミュージックビデオが登場する形となりました。解禁が9月3日火曜となり集計期間1週間フルでなかったこともあってか、実は動画再生指標制覇には至れず2位に。昨年以降「Lemon」や「海の幽霊」、また未だ音源化されていない「パプリカ」が動画再生初加算週に首位をマークしているのですが、後述する曲に敗れてしまいました。

次週、「馬と鹿」はシングルCDセールス初加算週となり大幅なアップが期待されます。しかし「Lemon」に比べてポイントが芳しくありません。「Lemon」はダウンロード解禁に伴い昨年2月26日付で25359ポイントを獲得し2位に初登場、その後13461ポイント(2位)→17755ポイント(動画再生初加算 2位)→14697ポイント(3位)→37407ポイント(シングルCDセールス初加算 2位)と推移しているのに対し、「馬と鹿」はダウンロード初加算の8月19日付で17437ポイントを獲得し2位に初登場して以降、7059ポイント(4位)→5697ポイント(5位)→11337ポイント(動画再生初加算 2位)と、「Lemon」に大きく水をあけられています。シングルCDセールスは「Lemon」を超える可能性が高く、次週のポイントは前作のシングルCDセールス初加算時を超える可能性もありますが、同日シングルCDをリリースした嵐「BRAVE」が発売日にレンタル開始されたのに対し、「馬と鹿」のレンタル開始は発売の17日後。「馬と鹿」のレンタルによるルックアップが見込めないことも次週のチャートアクションに影響しそうです。

 

さて、「馬と鹿」の動画再生1位を阻んだのはフィッツ&ザ・タントラムズ「HandClap」でした。

「馬と鹿」の動画再生が7665125回に対し、「HandClap」は7964750回。『この曲に合わせてハンドクラップするダンスダイエット動画がTikTok動画で使用されて爆発的に閲覧数を伸ばし、YouTubeでも火が付いて“JAPAN HOT 100”にチャートイン、続いてストリーミングやダウンロードにもその影響を及ぼしつつある』と上記ビルボードジャパンの記事にもありますが、実際ストリーミングも今週遂に300位以内に入り、動画再生の多さが他指標にも波及しつつあります。この「HandClap」については7月20日のブログエントリーで言及していますが、好いものや楽しいものを取り入れる姿勢は万国共通だということがよく解ります。

 

ソングスチャートトップ20、言い換えれば有料会員にならずともCHART insightで確認出来る範囲でみると、miwa「リブート」が1ランクアップし15位に。この曲についても前週言及しましたが、レンタル開始に伴うルックアップ増加の”ブースト”は少なからず効果的だったものの。

一方で「リブート」は今週ストリーミング9位となり、miwaさんのキャリア史上最高位を獲得。様々な形で接触されはじめており、ロングヒットの可能性も十分です。

 

今週のトップ10はこちら。

次週は先述したように、シングルCD同日発売となった嵐「BRAVE」と米津玄師「馬と鹿」の争いとなることは必至。シングルCDセールスでは嵐が優勢でしょうが、「馬と鹿」が主題歌となったドラマ『ノーサイド・ゲーム』(TBS 日曜21時)が今週最終回を迎えることがプラスに作用することは間違いありません。

事実、今回のソングスチャート集計期間最終日に最終回を迎え高視聴率を獲得した『あなたの番です』(日本テレビ)の主題歌、主人公の田中圭さんが演じる手塚翔太名義での「会いたいよ」がシングルCDセールス初加算も相俟って10位に入ったのは、ドラマとの相乗効果と言えます。

(ちなみにこのミュージックビデオは期間限定公開とのことですが、至極もったいない気がします。ソニー・ミュージックには常時公開していただきたいと願います。)

嵐「BRAVE」と米津玄師「馬と鹿」の結果がどうなるか、次週に注目です。

イギリスで7週1位ながら米ではトップ10入り目前で足踏み…ルイス・キャパルディ「Someone You Loved」

チャートではちょくちょく、”足踏み”という現象を目にします。ビルボードジャパンソングスチャートにおいて今夏最大のヒットと言えるOfficial髭男dism「Pretender」は通算4週2位を獲得しながら未だ首位には至れず。また象徴的だったのは昨年のDA PUMP「U.S.A.」で、通算11週も2位を獲得しながら終ぞ1位にはなれずじまいでした。高いシングルCDセールスを獲得した作品が週間チャートを制するも他指標とのバランスが悪く翌週には後退、しかし同種の作品が週替りで登場するのがチャートの傾向ゆえか、長く愛される作品は年間チャートで上位に入りながらも”週間1位”というパッと見で評価されやすい成績を得にくいのです。

 

さて、似た動きがアメリカでも出ています。イギリスはスコットランド出身のルイス・キャパルディによる「Someone You Loved」は本国で今年2番目の長期政権となる7週首位を獲得し、海を越えてアメリカでもヒットの兆しではあるのですが、5月25日付で85位に初登場して以降、【80→70→58→55→54→53→46→36→26→20→18→17→14→11→13→11位】と推移し、トップ20内に7週連続で滞在しながら未だにトップ10入りを果たせていません。実際、前週(9月6日付)はテイラー・スウィフトがアルバム『Lover』初チャートインに伴い収録曲2曲をトップ10内に、今週はポスト・マローンが次週チャートイン予定のアルバム『Hollywood's Bleeding』から先行曲「Circles」を7位に送り込んだことで、ルイス・キャパルディ「Someone You Loved」は足踏み状態となっています。

ルイス・キャパルディ「Someone You Loved」をイギリスで大ヒットに導いたのはミュージックビデオの存在が大きく、ファンからいただいたメッセージがきっかけで生まれたこの作品が多くの感動を生みました。

この評判、更には元来ルイス・キャパルディの才能が認められていることが国外でのブレイクにもつながったかもしれません。ルイスはイギリスBBCが毎年選定する”BBC Sound Of”の2018年版ロングリストに選ばれています。

同リストからトップ5にこそ選ばれませんでしたが、同じくロングリスト止まりだったビリー・アイリッシュの大ブレイクを踏まえるに、このリストの重要性をアメリカのメディアも感じているのかもしれません。

 

さて、ルイス・キャパルディは米チャートの足踏み状態を踏まえてか、チャート上昇組が行う”仕掛け”を彼も実施しています。先月30日、自身が出演するミュージックビデオ第2弾を公開しました。

公開が米ビルボードソングスチャートのデジタル2指標集計期間初日となる金曜だったことで、最新9月14日付米ソングスチャートでは再び最高位の11位に到達し、ストリーミング(13位)とダウンロード(6位)は共に最高位を更新しています。

 

ただ、逆に言えば次週その効果が薄れる可能性も否定出来ません。また次週は先述したポスト・マローン『Hollywood's Bleeding』収録曲が大挙上位にエントリーする可能性があるため、一時的なダウンも免れないでしょう。まさかそのまま一度もトップ10入りならずにダウンという事態は避けてほしいものですが、果たしてどうなるかは誰にも分かりません。仮にトップ10入り出来なかったとしても、きちんと支持された曲として記憶にとどめておきたいものですし、年間チャートでの上位進出もあり得ます。実際アメリカでは週間最高11位ながら、2017年度年間チャートも11位というジェイムス・アーサー「Say You Won't Let Go」という例もあるのですから。

リゾ2連覇、ポスト・マローンは次週への準備万端…9月14日付米ソングスチャートをチェック

ビルボードソングスチャート速報。現地時間の9月9日月曜に発表された、9月14日付最新ソングスチャート。前週初の首位に立ったリゾ「Truth Hurts」が2連覇を達成、またポスト・マローンの新曲「Circles」がトップ10入りを果たしました。

Truth Hurts」は前週、2種のリミックスを投入したこと等が首位獲得の原動力となりましたが、その影響は今週も。ダウンロードでは前週比28%ダウンするも38000を獲得し同指標首位に。またストリーミングは同1%アップの3470万(同指標3位)、ラジオエアプレイは同6%アップの1億390万(同4位)となり、総合で首位の座をキープしています。

一方前週に引き続き2位となったショーン・メンデス&カミラ・カベロ「Señorita」もラジオエアプレイが上昇。前週比2%アップの1億950万を獲得し、同指標を制しました。ラジオエアプレイ首位はショーンが初、カミラにとってはヤング・サグを迎えた「Havana」が2017年から翌年に渡って4週首位を獲得して以来2曲目となります。

 

前週アルバム『Lover』が今年度最大のユニット数を獲得しトップの座に立ったテイラー・スウィフトは同週「You Need To Calm Down」を4位、「Lover」を10位に送り込みましたが今週は前者が12位、後者は23位と2曲ともトップ10落ち。代わりに2曲を送り込んで来たのは、来週アルバムがチャートに初登場予定のポスト・マローン。

先週6日にリリースされたサード・アルバム『Hollywood's Bleeding』からの先行曲である、ヤング・サグをフィーチャーした「Goodbyes」が2ランクアップし10位に返り咲くと共に、最新カットとなった「Circles」が7位に初登場。「Circles」はダウンロードが29000で同指標2位、ストリーミングは3080万で同5位、ラジオエアプレイは50位未満ながら1790万を獲得しています。「Circles」はポスト・マローンにとって8曲目のトップ10ヒットとなり、さらに初登場でのトップ10入りは6曲目。

・「Congratulations (feat. クエイヴォ)」

  2017年7月8日付83位初登場→最高8位

・「Rockstar (feat. トゥエニーワン・サヴェジ)

  2017年10月28日付2位初登場→最高1位

・「Psycho (feat. タイ・ダラー・サイン)」

  2018年6月16日付初登場2位→最高1位

・「Better Now」

  2018年10月6日付初登場7位→最高3位

・「Sunflower (Spider-Man: Into the Spider-Verse) (with スウェイ・リー)」

  2019年1月19日付初登場9位→最高1位

・「Wow.」

  2019年4月6日付初登場47位→最高2位

・「Goodbyes (feat. Young Thug)」

  2019年7月20日付初登場3位→最高3位

・「Circles」

  2019年9月14日付初登場7位

一覧を見ると、ポスト・マローンが如何に瞬発力が高いかが解りますし、「Circles」以外は最高位が初登場時より高くなっており、楽曲がきちんと支持されていることが伺えます。「Circles」のトップ10入りで今年のトップ10入り楽曲は5曲目となり、アリアナ・グランデの4曲を抜いて単独トップとなりました。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (1位) リゾ「Truth Hurts

2位 (2位) ショーン・メンデス & カミラ・カベロ「Señorita」

3位 (3位) ビリー・アイリッシュ「Bad Guy」

4位 (6位) リル・テッカ「Ran$om」

5位 (5位) リル・ナズ・X feat. ビリー・レイ・サイラス「Old Town Road」

6位 (7位) クリス・ブラウン feat. ドレイク「No Guidance」

7位 (初登場) ポスト・マローン「Circles」

8位 (9位) エド・シーラン & ジャスティン・ビーバー「I Don't Care」 

9位 (8位) カリード「Talk

10位 (12位) ポスト・マローン feat. ヤング・サグ「Goodbyes」

次週はポスト・マローンのアルバム『Hollywood's Bleeding』が高位置に初登場することが見込まれており、「Circles」「Goodbyes」等がどこまで勢いを増すか注目。次週「Circles」が首位を獲得する可能性は低くないでしょう。

『ダンベル何キロ持てる?』オープニング曲「お願いマッスル」が今夏を代表するアニメソングのひとつに

ビルボードジャパンソングスチャートでこの1ヶ月以上ずっと気になっているのが紗倉ひびき(ファイルーズあい)、街雄鳴造(石川界人)による「お願いマッスル」。7月クールのアニメ『ダンベル何キロ持てる?』(TOKYO MX、アニメシアターX他)のオープニング曲が初登場以来6週連続でダウンロード指標トップ10入りを果たしています。

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最新9月9日付ソングスチャートでは41位ですが、初登場時にはダウンロード3位に入ったのみならずシングルCDセールス25位、ルックアップ22位となり総合でも13位を記録。ルックアップがシングルCDセールスと大差ないという成績はアニメタイアップ曲に見られがちですが、常時【シングルCDセールス<ルックアップ】という構図はこの曲の認知度上昇に伴う接触行動の増加と捉えることが出来ます。ストリーミング未解禁もルックアップ上昇の要因と考えられます。

ショートバージョンですがミュージックビデオも公開されており、公開から1週間で120万回を再生。

ちなみに、”肩に…乗せてんのかい!”はボディビル大会で実際に登場する掛け声だそう。

「お願いマッスル」のCHART insightにおける動画再生指標の未加算から解るように、ミュージックビデオが人気でもISRC未付番により同指標がカウントされていないのは実に勿体なく、付番されていたならば初登場時のトップ10入りは確実だったでしょう。なおISRC未付番による勿体無いチャートアクションといえばFoorin「パプリカ」が代表格であり、Foorin版「パプリカ」はビルボードジャパンソングスチャートで数万ポイントを逃した? ミュージックビデオをアップする際のISRC付番の重要性(8月10日付)に記載しています。

 

チャートの取りこぼしの件はあれど、なにより楽曲自体が楽しく且つ親しみが持てるのもヒットの理由でしょう。自分は一聴して、懐かしのディスコサウンドをモチーフにしたPUFFY渚にまつわるエトセトラ」(1997)を思い出した次第。また公式サイトではスペシャルコンテンツとして主演の紗倉ひびき役・ファイルーズあいさんがトレーニングに挑戦する【なかやまきんに君とファイルーズあいのナイスバルク!】も用意されており、アニメ本編と合わせて筋トレ知識を身につけた視聴者は少なくないでしょう。

ダンベル何キロ持てる?』をきっかけに筋トレをはじめた方のトレーニングBGMが「お願いマッスル」になれば、さらなるヒットも十分有り得そうです。