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青森県在住。毎週日曜日17時から、FMアップルウェーブ発の番組の一員として参加。音楽・ラジオ好きによる"日々の音"やメディアの話

良いDJ、良いラジオ番組は生きた教科書である

ラジオDJ(J-WAVE的表現をするならば"ナヴィゲーター")が長期休暇を取る際、登場する代打の方が普段のDJとどんな違った色を出してくるのか…というのもラジオ好きにとっての楽しみの一つ。時には次世代のDJが登場し、改編後の新番組を託すことが出来るかのテストというパターンもあるようですが。さて、J-WAVE『I A.M.』(月-木曜 9:00-11:30)、藤原恵子さんのお休みだった今週の水曜および木曜を担当したのが、事務所の先輩でもある秀島史香さんでした。

以前は平日夕方の帯を男性DJと共に担当していた秀島さん。結婚後は子育てなどのため帯の生放送出演はなくなった(その代わり平日夜に10分の朗読番組『Force Club READING FOR YOUR HEART』がOA中)こともあって、単発の特番やNHKケータイ大喜利』の声ゲストはあるものの生ワイドへの感覚は戻っているのか?しかも単独で…とこちらが勝手に不安を抱えていたのですが、心配は杞憂でした。SNS上では秀島さんの絶賛の声、多数です。

 

たとえば昨日の放送。これから雨になりそうな天気を踏まえてドナルド・フェイゲンによる雨の歌「Walk Between Raindrops」がOA。イントロ乗せを終了させたもののまだ歌い出しまで尺があったのでイントロ乗せ失敗か?と思いきや、雨粒をぬって歩く、という前置きを踏まえその伏線を回収するかのように、"忍者? ノーノー!"という洒落っ気。そして言い終わると歌い出すというイントロ乗せ成功。

または放送の最後、食のコーナー『7-ELEVEN FAVORITE DISH』の来週の予告と藤原さんが戻ってくることを伝えた後、予告での食べ物の美味しさに言っている本人が魅了され舞い上がるあまりに口に出た、"試食スタッフとして残っていいですか?"という可愛らしさ。

 

いやあ、巧い!と実感です。そういう思いつきがフッとした瞬間に出てくるのは、秀島さんのユーモアセンスの良さもさることながら、ラジオへの感覚が鋭いという証拠でもあるかと。無論秀島さんとスタッフが選ぶ曲もユーモアがあってニヤリとすることが多く、たとえば武田双雲氏の著書『パートナーにイラッとしたとき読む本』を紹介する際の合間にかけたのがトニ・ブラクストンとベイビーフェイスによる「Hurt You」。お互いへのちょっとした感謝が大事と伝えた直後のパートナー同士の"俺が(私が)悪かった"的ソングで選曲もバッチリならば、収録されたアルバムタイトルが『Love, Marriage And Divorce』(恋愛、結婚そして離婚)というちょっとしたブラックさもあって(?)、喋りと選曲でコーナーの魅力がより引き出されているなあと。

 

とにかく、楽しかったですね。この2日間の放送で秀島さん生ワイド復帰願望が顕著に見られました(他方、秀島さんは緊張?興奮?のためか、何曲か曲名の紹介を忘れていたのですが…これはご愛嬌ってことかと)。いや決して藤原恵子さんが好くないというのではないのです、"秀島史香さんが超一流"なのです(というツイートがあり納得した次第)。現場感を忘れていない方、自分が特に聴いていた頃のJ-WAVEを支えていた人という個人的な思い入れもあるのですがそれでも、2000年前後の生ワイド担当者の実力を魅せつけられた感じがします。

 

 

至極個人的ながら、在京時代に自分が通っていたラジオDJセミナーが、秀島さんの所属する事務所開催のもので、非常に勉強になりました(現在その事務所、FM BIRDでは様々なスタイルや日程でセミナーを開催中)。滑舌は未だ好いとはいえないものの、イントロ乗せなどの技術やラジオへの思い(それこそ"ラジオ愛"とでも言うべきもの)を学ぶことが出来、ささやかながら今の業務につながっています。

 

最近周囲では、ラジオの質が下がっているとよく囁かれます。青森県で電波で聴くことが出来るラジオ局の多くの番組でもそうですし(これは過去のブログエントリーを読んでいただければ明らかかと)、また正直なところJ-WAVEでもイントロ乗せが出来ない方が出てきている状況で、以前のラジオと比較して違和感を持つ(方がいらっしゃる)のは自然なことかと。今週エントリーしたエフエム青森への提言でも触れたのですが、イントロ乗せの技術はラジオDJセミナーで習得することが可能ですから、喋り手の皆さんには学んでいただきたい…と思いつつ、無論全員が受講出来るわけではないので、ならばradikoプレミアムを介して、(秀島史香さんは代打での登場ではありましたが)技術に長け、そしてラジオ愛に溢れたDJの番組を聴くことをお勧めします。そこから感覚をつかむことは可能です。格好良い喋り手の模倣からはじめても問題ないでしょう。また同時に、リスナーの方々にはradikoプレミアムを活用してそういう番組に積極的に触れ、そこから県内局に"ここをこうすればもっと好いのでは?"というフィードバックをしていただきたいな、とも。良い番組に触れることは、生きた教科書なのです。 

無論これは書き記している自分自身へ刻みつける意味でもあります。今回秀島さんの代打を介して、あらためて喋り手の巧さとラジオへの愛情の深さを学ばせていただきました。貴重な機会をいただけたこと、本当に感謝しています。