イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

NEWSのDVDシングルが抱かせる不安

CDが同梱。

NEWSが11月25日にリリースするDVDシングル「四銃士」の収録曲全曲が発表

NEWS新作にFIFAクラブワールドカップ公式ソング、JK写も公開 - 音楽ナタリー(11月10日付)より

報道された当初は音楽ナタリーでジャケットが解禁されていたのですが、事務所意向に反した音楽ナタリー側の勇み足だったのかもしれません。が、未だにインターネットに懐疑的な事務所の反時代性と、それに同調ばかりのメディアの姿勢には懐疑的な見方をセざるを得ません。

 

あくまで個人的な考えですが、今回NEWSが用意した【DVDシングル】の形態に不安を覚えています。ちなみに今回は【ミュージックビデオおよびメイキング収録DVD+2曲入りCD】と、【ミュージックビデオ収録DVD+4曲入りCD】の2形態での発売ですが、これについても思うところはありますが(”思うところ”については嵐のニューアルバム、前作より16万枚増加の理由(10月29日付)を参照していただければ解ると思います)。

 

その不安とは下記の二つ。

 

①シングルチャートに反映されない

セールスのみで構成されるオリコンのシングルチャートには全く反映されません(DVD主体での発売であるゆえ、CDセールスにはカウントされず)。オリコン未反映といえば、松たか子「レット・イット・ゴー~ありのままで~」もそうでしたが、複合指標に基づくビルボード・ジャパンの年間チャート(Billboard JAPAN Hot 100)で7位にランクインしていた例があります。ただ、NEWSの場合は事務所がネットに懐疑的ゆえミュージックビデオがYouTubeにアップされたり配信される可能性は低く、ゆえに(それらが指標として構成される)ビルボード・ジャパンのシングルチャートで高い位置に付けない可能性があります。

歌手および事務所側がそれを解った上でDVDシングルにこだわったというならば(無論DVDチャートには反映されますが)、チャートそのものにこだわっていない姿勢に見えるのですが…この考え方はさすがに大袈裟かもしれません。しかし、もしも今回のDVDシングルがセールス的に成功を収めたことになれば、歌手や事務所側が【CD+DVD同梱】から【DVD+CD同梱】に移行する可能性はゼロではありません。

 

 

②同梱CDがレンタル出来ない

これまでも音楽DVDに特典としてCDが同梱される例はありました。また、CDを同梱するDVDシングルは他にも例があったでしょう。とはいえ、同梱分のCDは、DVDがメインの作品という定義ゆえレンタルされないのが通例となっています。

四銃士[初回限定盤] /NEWS 【TSUTAYAオンラインショッピング】

上記リンク先の画面右側、”ネットで借りる”をクリックするとネットレンタルのTSUTAYA DISCASに遷移しますが、『作品が見つかりませんでした。現在、この作品のレンタル用作品は取り扱いがございません。』と表示。おそらくはレンタルされないということでしょう。

日本では配信やストリーミングが浸透しにくい、その理由は諸外国にはないCDレンタルが存在するから…と言われます。そのCDレンタルにおいて、一定の売上が見込める歌手の作品を、先述した定義に基づき取り扱えない…となるとレンタル店にとって痛手になるでしょう。そして先程書いた通り、【CD+DVD同梱】から【DVD+CD同梱】に移行…となるとレンタル店のCDレンタルへの依存率、および存在意義としての依存度は減っていくことでしょう。

 

愛読させていただいているブログで、レンタル店に関する記事があり、気になる文言が。

TOP2が目立ち過ぎて気が付かなかったのですが、もうこれそのTOP2除けばCD販売店よりも全国的に絶滅寸前という状況であることにようやく気付いて焦っている次第。こういう寡占状態はヤバいのですよ。TSUTAYAなんかいろんな形のビジネス展開していますから、そこでこの先音楽需要がさらにシュリンクし、また別の事業でやっていく目途が見えたとしたら、ある日突然「もう全店CDレンタルやめます」という企業方針出したっておかしくないわけですから。そしたら日本のCDレンタル屋の過半数が飛ぶのです。

2015-11-08 - WASTE OF POPS 80s-90sより

 

どうしても音源を手に入れたい人にとって、レンタルという選択肢が排除された(さらにYouTubeや配信も排除された)DVDシングルを購入する以外方法はないわけで、歌手やレコード会社、事務所側にとってはある種の独占となるわけです。しかしそれは同時に音楽業界全体のシュリンクにつながりかねない可能性も十分持ち合わせています。音楽業界はただ商品を売るのではなく文化そのものを拡充させるという目的意識を持ちあわせているならば、保身的なやり方はしないと思うのですが。自分が抱いた不安、引用させていただいた未来が訪れないことを願うばかりです。