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チャート愛好家。ビルボードジャパンや米ビルボードのソングスチャートなどを紹介します。

Official髭男dism、星野源が紡ぐ多様な愛の賛歌が同じタイミングでローンチされた件

今週頭に音楽業界への希望として書いたエントリー(→2020年の音楽業界に対する10の願い+α)の中で、その前の日に放送された『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日 日曜23時10分)への疑問を呈しましたが、その疑問を除けばその日の放送内容は実に興味深いもので、2019年の音楽関係者が選ぶランキングに激しく納得したり、新しい発見があったりしたものです。

その中で、蔦谷好位置さんが1位に選んだのは、Official髭男dismによる「Pretender」。音楽的な素晴らしさ(そしてその技巧をいい意味で感じさせない彼らの凄さ)を蔦谷さんは語っていましたが、この「Pretender」をベストと挙げる歌手が相次いで登場しています。

中村佳穂さんは歌詞の助詞の扱いについて音楽ナタリーで紹介し、またDa-iCE花村想太さんはOfficial髭男dismのボーカル、藤原聡さんのボーカル力について、メンバーの工藤大輝さんによるラジオ番組『TALK ABOUT』(TBSラジオ 土曜22時)の中で語っています。

様々なアプローチから「Pretender」が如何に素晴らしいか紐解かれる中で、個人的に思い出したのがこの曲をクィア・リーディングの観点から語った論評でした。

そして、「Pretender」ミュージックビデオの世界観を一歩推し進めたとも言えるのが、アルバム『Traveler』(2019)以降初の新曲として先週デジタル先行で解禁された「I LOVE...」。恋愛ドラマ『恋はつづくよどこまでも』(TBS 火曜22時)の主題歌ですが、ミュージックビデオでは女性同士の恋愛要素も含む様々な愛の賛歌となっています。その前向きな思いを、2番サビ前にゴスペル的なクラップを挿れることで押し進めている気がします。

 

さて、「I LOVE...」がリリースされたのと同じ週、星野源「Ain't Nobody Know」のミュージックビデオも解禁されました。トム・ミッシュと共作し、昨年リリースされたEP『Same Thing』に収められたこの曲では、女性と女性、男性と男性の愛が美しく紡がれ、最後は星野源さんと小松菜奈さんが出会うというストーリー。

YouTubeのコメント欄で知ったのですが、同性同士のカップルは実際にお付き合いをされている方だそうです。映像の美しさも相俟って、惹かれてしまいます。

 

日本を代表する歌手となったOfficial髭男dism、星野源さんが同じ週に、同性同士の愛情を描くミュージックビデオをリリースしたのは実に興味深いこと。しかしながら特段狙ったわけではないだろうことは、以前の星野源さん…もとい”おげんさん”の発言からも理解出来るでしょう。昨日のブログエントリーでも取り上げましたが、あらためて。

LGBTQについて語ることは政治的とされる風潮もあり、また日本のエンタテインメント業界では政治的な発言が極度にタブー視されていますが、その壁を軽やかに越えていく2組の姿勢には拍手を贈りたいところです。

 

LGBTQに対して頑なに認めまいとする人々が散見されますが、彼らが存在するのは事実であり、一部の方による極端な姿勢は結局彼らを許容したくないゆえの態度かもしれません。嫌いならば余計な介入はすべきではないと思います(ましてや汚い言葉を吐くことは論外です)が、「I LOVE...」や「Ain't Nobody Know」のミュージックビデオに触れてその偏った感覚が氷解する方が出てくるならば好いですね。