イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

今年のNHK紅白歌合戦 出場決定、および落選(辞退)した歌手に関する私見

昨日、『NHK紅白歌合戦』(NHK総合 12月31日19時15分)の出場歌手が発表されました。

今日は出場決定、および落選(辞退)した歌手についての私見を。以下は今年のデータ。

今年の初出場および復活組は以下の通り。初出場には(初)と記載しています。下記の落選も含め敬称略とします。

紅組…AI、絢香市川由紀乃(初)、宇多田ヒカル(初)、大竹しのぶ(初)、欅坂46(初)、香西かおり

白組...X JAPAN桐谷健太(初)、KinKi Kids(初)、THE YELLOW MONKEY(初)、福田こうへいRADWIMPS(初)、RADIO FISH(初)

また落選は以下の通り。

紅組...今井美樹NMB48大原櫻子伍代夏子、Superfly、藤あや子、μ's、レベッカ和田アキ子

白組…EXILEゲスの極み乙女。ゴールデンボンバー近藤真彦SMAP徳永英明BUMP OF CHICKEN細川たかし美輪明宏、森進一

※AAAは昨年は紅組、今年は白組での出場

 

 

① 出場歌手の選考基準が変わった

一言で言えば、”ビルボードジャパンチャートが基準になった”ということでしょう。大袈裟かもですが、しかしCDセールス指標のみというオリコンのランキングよりも圧倒的に複合指標が反映されています。

なにより、シングルCD化しない楽曲(後にアルバム等の形で初CD化)がヒットした歌手が多く登場します。AI「みんながみんな英雄」、宇多田ヒカル花束を君に」および「真夏の通り雨」、椎名林檎「ジユーダム」および「13 jours au Japon ~2O2O日本の夏~」、PerfumeFLASH」、桐谷健太海の声」(元来は浦島太郎名義で発売)、THE YELLOW MONKEY「ALRIGHT」、福山雅治「1461日」、ゆず「見上げてごらん夜の星を ~ぼくらのうた~」、RADWIMPS前前前世 (movie ver.)」そしてRADIO FISH「PERFECT HUMAN」...漏れがあるかもしれませんがこれだけの曲が配信のみのリリースであり、シングルCDリリースがないためオリコンシングルチャートには登場しません。

昨年は先行配信曲として披露されたのがゆず「カケル」、一昨年は(特別枠は別にして)May J.のアナ雪曲くらいでしょうか。ヒットの指標が変わってきた(し、特にAI・宇多田・桐谷・RADおよびRADIO...は広く世間に浸透している)ように思います。

ちなみ未シングルCD化楽曲といえば、X JAPANも同様。今年リリースされた楽曲がシングル、アルバム共にないため昨年11月に配信された「BORN TO BE FREE」を披露するものと思われます。が、厳密に今年一年リリースのない歌手が出場出来るというのはちょっと引っかかるものがあります。

 

ちなみに、シングルCDセールスが大きく左右するジャンルがあります。それはアイドルと演歌。とはいえ女性アイドルはAKBグループで1つのみ(ライバルという体の2組は出場)となっていて、よほどのセールスやインパクト(欅坂46サイレントマジョリティ」は彼女たちのファンを越え、そのインパクトが広く一般に浸透したように思います)を残さない限り出場出来ないという狭き門になった気がします。

演歌についてはどうかというと、 昨年12月から10ヶ月間のオリコンにおけるセールスランキングがありました(勝手ながら紹介させていただきます。問題があれば削除させていただきます)。

初出場の市川由紀乃さん、そしてベテランの五木ひろしさんに天童よしみさんがきちんと結果を残しており、かなり順当な人選ですね。

 

 

SMAP不出場について

今年大ヒットした曲のひとつが「世界に一つだけの花」であることに異論の余地はありません。無論、SMAP解散という出来事に対する反対の意味などが込められた購入運動の結果といえます。しかしながらSMAPは今年の新曲リリースはない状態(来月リリースされるベストアルバムも純粋な新曲は入らず)。紅白歌合戦の舞台では過去のヒット曲を歌う人が少なくないもののその歌い手が新曲をリリースしていることが出場の前提となっていることを踏まえれば、オファーはしているとはいえ今回の不出場はやむなしかもしれないとは思います。冷徹な見方かもしれませんが。

 

さて、紅白歌合戦では事務所枠というものが存在すると言われています。陰謀論的な見方であるため個人的には好まないのですが敢えて用いるならば、SMAPの所属事務所は昨年の7枠から1つ減らしています(とはいえ昨年は特別枠を除いて52組、今年は同46組ですから、占有率ほぼ変わらず)。近藤真彦さんの出演は昨年が記念イヤーだったため特別だったと考えれば、事務所側は今年6枠確保を見越していたのかもしれません。となるとSMAPが出演しないことをあらかじめ踏まえて当初からその枠をKinKi Kidsで埋めさせたのではないか...だとしたら切ないというか、ちょっと冷酷すぎやしないかと思ってしまいます。

個人的には、中居正広さんの司会が非常にレベルが高かったため彼の司会を見てみたかったですし、リリースがないにせよたしかに貢献度は高いので仮に解散するとしたら最後のステージを紅白にというのはアリだと思っています。

 

 

SMAP以外の不出場の歌手について

こちらの記事がやや詳しいのでご紹介。

EXILEについては、もしかしたら日本レコード大賞で指摘された問題の責任ゆえ先方から辞退したかNHKから声をかけにくかったのかもしれません(後述するベストアルバムリリースがあったため出場条件はある種クリアしていたように思います)。ただその問題については、そもそも事実だったのか?メディアはなぜ誰も追及しないのか?という有耶無耶の状態のまま、グレーで終わらせようとしていないかと。きちんとはっきりさせた上で、シロだった場合は出ても差し支えなかったと思うのですが如何でしょう。この問題についての私見レコード大賞を責めるよりもまずやるべきことがある(10月27日付)にて記載しています。

 

落選と大きく報じられ、且つネットで最も話題になっている和田アキ子さんについては今朝あらためて書きました。

(ちなみに、しばらく放置していたTwitterアカウントを復活させました…長らく放置してしまい申し訳ありません。)

 

さてここからは今年出るかもしれなかったという歌手について。Mr.Childrenについては朝ドラ『べっぴんさん』のシングルを来年CDリリースすることを踏まえ、来年出場するとみています。

今回、メディアが最も出場するかしないかを報じていたと思しき安室奈美恵さんについては、出場せずとなりました。彼女の最近のテレビ出演回避が今回も...というのは非常に残念というか、NHKの五輪テーマ曲を担当してまでなぜという、少し憤慨めいた気持ちすら抱いています。

NHKオリンピックテーマ曲は夏冬あわせて6大会連続で紅白歌合戦で披露されてきました(安室奈美恵、NHK五輪テーマ曲は"紅白"への布石か(2月20日付)より)。が、日本人選手の活躍が一段と際立ったリオデジャネイロオリンピックおよび同パラリンピックのテーマ曲が披露されないというのはちょっと締まらないなという感じがします。五輪についてはもしかしたらプロデューサーとして手腕を発揮した椎名林檎さんが紅白歌合戦でその重責を担うのかもしれませんがそれにしても...と。安室奈美恵さんのテレビに出ない意志は尊重されて然るべきですが、五輪テーマ曲は紅白歌合戦で披露されるのが半ば当たり前になった流れや、彼女のその意志を知らない人にとっては今回出場しないことが悪しきイメージを帯びさせかねないのではと考えます。

個人的には、もう一組出るべきだったと思っているのが桑田佳祐さん。「ヨシ子さん」はアメリカで今年大流行したレゲエテイストを踏襲し、日本で唯一と言っても過言ではないくらいヒットさせたわけです(「ヨシ子さん」は音楽の流行を捉えている?(7月20日付)より)。事務所的な観点から言えば、福山雅治さんよりも音楽面で俄然ヒットした桑田さんに出ていただいてもよかった気がします。年越しライブで忙しいとしても、です。

 

 

 

他にも浮かび上がってきたことがあればまた書くことにします。

それにしても今年もですが、”ベストアルバム発売年に出場”という歌手が多すぎる気がしてなりません。昨年11月下旬からでいえば、AI(客演ベストも含む)、絢香E-girlsAKB48PUFFY、miwa(バラードベスト)、Sexy Zone福山雅治(以上敬称略)が該当。高橋真梨子さんはカバーアルバムをリリース。シングルがヒットしているという歌手が多くないことの表れかもしれません。

 

 

と、苦言を呈することが多かったかもしれませんが、それでも初出場組等は個人的には順当ゆえ、今年もきちんと紅白歌合戦を観ることにします。